イングリッシュ・オープニングの創生(10) 

(by Yamagishi, edit ayu)

2005年02月06日

イングリッシュ・オープニングの創生(10)

第2章 20世紀のイングリッシュ・オープニング(5)

現代の指し方(2)

レティは4ナイト・システムのキング側フィアンケットを採用
して成功を収めましたが、後にランダウとの番勝負での対
戦で実はタクティクスによりうまくいかないことを実証しまし
た。これは戦略的に妥当と思われてもタクティクスの面から
修正を余儀なくされる例の一つです。

従ってセンター、特にd5の枡を支配する別の方策が探求さ
れ、ビショップをg5に展開して黒のキング側ナイトをピンする
手が考案されました。このピンは黒にとって対処が大変難し
く、本局はその良い例です。

【第5局】ボトヴィニク(M.M.Botwinnik) − レベンフィッシュ(G.Levenfish)
ソ連選手権、1940年

  1.c4 e5 2.Nc3 Nf6 3.Nf3 Nc6 4.d4 exd4 5.Nxd4 Bb4
  6.Bg5

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  6...h6

最新型では 6...O-O 7.Rc1 d5! 8.Nxc6 (8.cxd5 なら 8...Qxd5
9.Bxf6 gxf6) bxc6 9.a3 (9.Bxf6 なら 9...Qxf6 10.cxd5 cxd5
11.Qxd5 Be6) 9...Be7 10.e3 Be6 11.cxd5 cxd5 12.Be2 c5
(サマリアン対バロフ、ブラソフ、1947年) という戦いになっ
ています。

  7.Bh4 Bxc3+ 8.bxc3

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  8...Ne5

この手では 8...d6 と指すのもありますが、以下 9.f3 O-O
10.e4 Ne5 11.Be2 Ng6 12.Bf2 Nd7 13.Qd2 Nb6
14.Nb3 Be6 (ボトヴィニク対ピルツ、モスクワ、1935年)で
白やや良しとされています。

  9.e3

より強い手は 9.f4 で、以下 9...Ng6 (9...Nxc4 なら
10.e4 Ne3 11.Qe2 Nxf1 12.e5 O-O 13.Nf5!) 10.Bxf6 Qxf6
11.g3 c5 12.Nb5! という展開になります。

  9...Ng6 10.Bg3 Ne4 11.Qc2 Nxg3 12.hxg3 d6

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  13.f4!

以前に手番が逆で同一局面になったことがあり、その時は
レベンフィッシュは 13.Be2 と指しましたが、本譜の手の方
が強い手です。

  13...Qe7

先に 13...Nf8 と備えるべきでした。

  14.Kf2 Nf8

14...Bd7 ならば 15.Bd3 Nf8 16.Be4 c6 17.Rab1 となって
b筋に圧力がかかります。

  15.c5 dxc5 16.Bb5+ Nd7

16...Bd7 と受けると 17.Nf5 Qf6 18.Qe4+ で負けます。

  17.Nf5 Qf6 18.Rad1

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  18...g6

この手は見損じのようです。しかしいずれにしても白の攻撃
を受けきるのは容易ではありません。18...c6 (18...a6 は
19.Qe4+) なら 19.Rd6 Qd8 20.Qe4+ Kf8 21.Bc4 Rg8
22.Bxf7 Kxf7 23.Qe6+ Kf8 24.Nh4 で白の勝ちです。

  19.Nxh6 Rf8 20.g4 a6 21.g5 Qe6 22.Be2 Nb6
  23.Ng4 Ke7 24.Nf6 Qc6 25.Rh7 Bf5 26.e4 Be6 27.f5
  1-0

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もし 27...gxf5 と取れば 28.exf5 Bc4 29.Bxc4 Nxc4
30.Qe4+ Qxe4 31.Rd7# で詰んでしまいます。単に
27...Bc4 と逃げれば 28.Bxc4 Nxc4 29.Nd5+ Kd7 30.Nb4+
でクィーンを取られます。

白がセンターの枡を支配し、黒が白の圧力を無効にするた
めに単純化をして反撃する典型的な例でした。白が黒の
反発を克服できるのかはまだ分かりません(6手目の参考
局を参照)。もしかしたらスコッチ4ナイト・ゲームと同じ運命
をたどって(実際非常によく似た戦型です)、ドローになり易
いと断定されるかもしれません。

投稿者 yamagishi : 13:16 | コメント (3)