2005年02月18日
イングリッシュ・オープニングの創生(14)
第2章 20世紀のイングリッシュ・オープニング(8)
ゴロンベクの指し方
ポーンを f4 と突くのは、交換にしかならないセンター・ポー
ンの d4
突きよりも強力であることが前局から分かりました。
しかしアリョーヒンの指した Nf3
はフィアンケットしたビショッ
プの斜筋を邪魔するという欠点がありました。本局ではゴロ
ンベクはナイトを h3
に跳ねています。これはより柔軟性の
ある指し方です。
【第8局】ゴロンベク(H.Golombek) − クルス(O.Cruz)
ブエノスアイレス団体戦、1939年
1.c4 e5 2.Nc3 Nf6 3.g3 d5 4.cxd5 Nxd5 5.Bg2 Nb6
6.Nh3
この手はゴロンベクの創始によるものです。この手の意味
はナイトを活動させるのとビショップの利きを妨げないこと
です。
6...Nc6 7.O-O Be7 8.f4 O-O 9.d3
9...Bg4?
この手は手損になります。9...f6 と突いてセンターの補強に
努めるべきでした。
10.Nf2 Be6 11.fxe5 Qd4
黒が 11...Rb8 と指さなかったのは 12.Bf4 g5 13.Bd2 Nxe5
でキング側の形が弱くなるのを嫌ったためでした。しかし
その方がまだましでした。本譜はクィーンがいじめられます。
12.e3 Qxe5 13.d4
13...Qa5
駒損を避けるにはここへ逃げるしかありません。13...Qg5
や 13...Qf5 では 14.e4 の後 15.d5 で両取りです。
14.a3 Bf5 15.Re1 Rad8 16.Bd2
17.Nd5 の後の 18.Nxc7 を狙っています。
16...Qa6 17.b3 Bd3 18.Nxd3 Qxd3 19.Be4
クィーンを追い払います。
19...Qa6 20.Qc2 Nc8
クィーンを助けるには h7 のポーンを見捨てるしかありませ
ん。20...g6 では 21.Bd3 Qa5 22.Nb5
でクィーンの逃げ場
がありません。
21.Bxh7+ Kh8 22.Bd3 Qb6
戦いを続けるには 22.Qa5
しかありませんでした。しかし
ポーン損と駒の配置の悪さのため絶望的な局勢です。
本譜は面白い戦いが見られます。
23.Na4 Nxd4
この手は 24.exd4 Qxd4+ の後 d3
のビショップを取る狙い
です。しかし白はこの手に対してちょっと気付き難い対策
を用意していました。
24.Qd1!
冷静な好手です。
24...Nxb3
クィーン取りとナイト取りと 25.Qh5+ からのメイトを全部同
時に防ぐ手がありません。24...Qd6 は25.Qh5+ Qh6
26.Qxh6+ gxh6 27.exd4 Rxd4 28.Bc3 で白勝ちです。
25.Nxb6 Rxd3 26.Nxc8 Rxc8
26...Rxd2 とビショップを取ると 27.Qh5+ Kg8 28.Nxe7# で
メイトです。
27.Ra2 Kg8 28.Rb2 Rcd8 29.Rxb3 1-0
現在(1950年頃)のところこのシステムはイングリッシュ・
オープニングの飛躍的な進化と考えてよいでしょう。本局
は役駒とポーンの協力でどのようにセンターを支配するか
を分かり易く見せてくれました。