2005年02月21日
イングリッシュ・オープニングの創生(15)
第2章 20世紀のイングリッシュ・オープニング(9)
黒がより堅実な防御システムを採用
これからの2局では黒が別の防御システムを用います。
これらのシステムでは黒は 1...e5 と形を決めるのを避け、
3...d5 と突いて
d5 の地点を争います。
その功罪はまだ定まっていませんが、これまでのシステム
よりは黒にとって良い防御法であるとみなされています。
というのは早期に 1...e5
と指さなければ白に(d4 または
f4 による)攻撃目標を与えないからです。
【第9局】フロール(S.Flohr) − カシュダン(I.Kashdan)
フォークストン(Folkestone)、1939年
1.c4 Nf6 2.Nc3 e6 3.e4 d5
黒はこの手でセンターの緊張を明らかにしようとします。
しかし 3...c5 の方がもっと堅実です。4.e5 ならば 4...Ng8
5.Nf3 Nc6 6.g3 Ne7 7.b3 Ng6 8.Qe2 d6 9.exd6 Bxd6
で
黒良しです(ランダウ対エイベ、10番勝負第7局、1939年)。
4.Nf3 なら 4...Nc6 5.d4 cxd4 6.Nxd4 Bb4
でシシリアン・
ディフェンスに移行し互角の形勢です。
4.e5 d4 5.exf6 dxc3 6.bxc3 Qxf6 7.d4 b6 8.Nf3 Bb7
9.Be2 Nd7 10.O-O Bd6
この手が後の紛糾の元でした。10...h6 と突いておかなけ
ればなりませんでした。
11.Bg5 Qf5 12.Qa4 c6 13.c5!
黒が次にキャッスリングしようとするまさにその時に d 筋を
開けます。
13...bxc5 14.dxc5 Qxc5
14...Bxc5 (14...Nxc5 Qd4!) は 15.Rad1 Ne5 16.Nxe5 Qxe5
17.Ba6 Qc7
で、危険そうですが黒も指せそうです。
15.Rfd1 Be7
16.Be3 があるので黒はキャッスリングしている暇がありません。
16.Rxd7
このルーク切りの好手で白は主導権を握ります。当面
駒得につながる切りではないので特に賞賛に値します。
16...Kxd7 17.Be3 Qa3
17...Qf5 と逃げると 18.g4! Qf6 19.Rb1 Rhb8 20.Bd4 Qf4
21.Ne5+ Kc8 (21...Ke8
22.Rxb7 Rxb7 23.Qxc6+ Kd8
24.Qxb7) 22.Rxb7 Rxb7 23.Qxc6+ Kb8 24.Qe8+
で白が
勝ちます。小駒が良く働いています。
18.Qd4+ Ke8 19.Qxg7 Rf8 20.Ng5 Rd8
21.Bh5
罠には引っかかりません。21.Nxh7 は 21...Qb2! 22.Re1 Qxe2
で黒の勝ちです(訳注 Fritz8によると
23.Qxf8+ Bxf8
24.Nf6+ Ke7 25.Ng8+ Ke8 26.Nf6+ でドローです)。
21...Bxg5 22.Bxg5 Rd5 23.c4 Rxg5
ルークをお返しするしかありません。23...Rd7 は 24.Qf6 Qd6
25.Re1 となり、Rxe6 と切る狙いで白の勝勢です。
24.Qxg5
24...Kd7
24...Qb2 25.Rd1 Qb6 ならまだ抵抗の余地があったでしょう。
25.Rd1+ Kc8 26.Bxf7! Kb8
27.Bxe6 Qxa2 28.Rd8+
Kc7
(訳注 Fritz8によると 28...Bc8 29.Rxc8+ Rxc8 で
互角のようです。従って白は急がずに
28.f3 とでも指し
ておけば勝勢を維持できました。)
29.Qe7+ Kb6 30.c5+
1-0