イングリッシュ・オープニングの創生(3) 

(by Yamagishi, edit ayu)

2005年01月16日

イングリッシュ・オープニングの創生(3)

第1章 19世紀のイングリッシュ・オープニング(3)

「ワイヴィルの手法(1)」

19世紀におけるイングリッシュ・オープニングのもう一人の
信奉者はワイヴィルです。彼は1851年のロンドン大会の
準優勝者です。スタントンは彼を「英国の最も優れたプレー
ヤーの一人」と呼んでいました。彼はこの戦型しか指しませ
んでした(黒ではシシリアン・ディフェンスを指していました)。
彼を特定のオープニングのスペシャリストの先駆者とみなし
てもよいでしょう。彼の実戦にはオープニングの精神を理解
していたことが見てとれます。それゆえイングリッシュ・オー
プニングの初期の戦略について結論を引き出す上で有用な
材料を提供してくれます。

【第3局】ワイヴィル(M.Wyvill) − ロウ(Lowe)
ロンドン、1851年

  1.c4 e5 2.e3 c5 3.Nc3 Nc6 4.g3 Be7 5.Bg2 d6
  6.d3 Nf6 7.a3 Be6 8.Nge2

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少し手順の相違はありますが、局面は今日(1950年頃)指
されているものと変わりありません。黒は白のクィーン・ポー
ンのブロックを狙い、逆に白はわざと相手の策戦にのって
後で黒のセンターを Pd3-d4 で破壊することを狙っています。
現在では白は 8.Nd5 と指すはずで、白にはセンターで色々
な作戦の可能性がありますが、黒には何もありません。

  8...d5 9.cxd5 Nxd5 10.O-O O-O

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  11.Qc2

11.d4 では 11...cxd4 12.exd4 exd4 13.Nxd4 Nxd4
14.Qxd4 Bf6 で黒有利です。11.d4 と突けないようではブ
ロックを許し後で反撃するという白の戦略がおかしかった
ということです。

  11...Nxc3

正着は 11...Rc8 として ...Nd4 を狙うべきでした。

  12.bxc3 Bd5 13.e4 Be6 14.Be3!

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要着です。14...c4 なら手順に 15.d4 と指せます。

  14...Qd7

14...f5 なら 15.Rab1 で白の g2 のビショップの強さが際立っ
てきます。しかし 14...Qd7 でも白はセンターを効果的に破壊
できることを見せつけます。

  15.f4! f5

15...Bh3 と来れば 16.Bxh3 Qxh3 17.fxe5 Nxe5 18.Nf4 で
白有利です。

  16.fxe5 Nxe5

16...fxe4 には 17.d4 が強手です。

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  17.Nf4 Ng4 18.Bd2 c4 19.d4 Bf7 20.e5 Rab8
  21.h3 Nh6 22.d5

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スタントンは「白のセンター・ポーンは手がつけられない」と
評しています。

  22...Bc5+ 23.Kh1 Qe7 24.Rae1 Qg5

黒のポカですがこの手がなくても黒の負けの形勢です。

  25.Ne6 Qe7 26.Bg5 Qe8 27.Nxf8 以下41手目で白勝ち

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この対局では白のポーン f4 突きの威力が目に付きます。
今日では常識ですが、当時は認識されず、その後も長い間
評価されませんでした。同様に重要なポイントは黒の弱点
b7 に対する白のフィアンケット・ビショップの睨みです。これは
今日でも非常に有効な策戦です。

投稿者 yamagishi : 13:48 | コメント (1)