イングリッシュ・オープニングの創生(9) 

(by Yamagishi, edit ayu)

2005年02月03日

イングリッシュ・オープニングの創生(9)

第2章 20世紀のイングリッシュ・オープニング(4)

4ナイト・システム − 白のセンター早期征服作戦 − レティの貢献(2)

本局もセンターの概念に貢献した重要な一局です。本局
では黒はポーンセンターにすることを控えました。。そして
役駒の展開を進めて白に対し、センターの支配をポーン得
などの何らかの具体的な利益に結びつけられるのかという
問題を突きつけています。

【第4局】レティ(R.Reti) − グリュンフェルド(E.Grunfeld)
バーデンバーデン(Baden Baden)、1925年

  1.g3 e5 2.Bg2 Nf6 3.Nf3 Nc6 4.d4 exd4 5.Nxd4 Bc5
  6.Nxc6 bxc6 7.c4

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手順の違いはありますが、イングリッシュ・オープニングの
典型的な型になりました。レティは巧妙に黒から ...Bb4 と
してナイトをピンされる手順を避けています。このピンは黒
の最も有力な対抗策と考えられています。

  7...O-O 8.O-O Re8 9.Nc3 Bf8 10.Bf4

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10.Bg5 は効果がありません。黒はすぐに 10...h6 と突いて
ピンをはずすことができます。

  10...Rb8 11.Qc2 Bb7 12.Rfd1 a6

この手は単に 12...c5 と突くと 13.Nb5 と跳ねられるのを
防いでいます。

  13.Rd2

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  13...c5

ようやく黒はセンターにポーンを突くことを決めます。しかし
ポーンが宙吊り状態になる 13...d5 ではなく、ルイ・ロペス
定跡のシュタイニッツ戦法に見られる堅固な形を目指しま
す。それでも白はこの形に特有な d5 の枡の支配を得るこ
とができます。

この手の代わりに 13...d6 と指せば、14.Qa4 Qd7
15.Bg5 Be7 16.Bxf6 Bxf6 17.Nd5 (18.Nb4 の狙い)という
展開が予想されます。

  14.Bxb7 Rxb7 15.Bg5

黒の d5 が弱くなったのでこの手が有力になってきました。

  15...Be7 16.Qa4 h6

ポーン損になっても黒は白の b2 に圧力をかけることにより
何らかの反撃のチャンスを得ることを狙っています。

  17.Bxf6 Bxf6 18.Rxd7 Qb8


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  19.Rd2

優勢を維持する最も単純な手です。さらに有利を拡大する
ために 19.Nd5 Bxb2 20.Rd1 も考えられ色々な狙いがあり
ます(21.Ne7+ として次に Nc6 としたり、21.Nxc7 と取るな
ど)。

  19...Bxc3 20.bxc3 Rb1+ 21.Rxb1 Qxb1+ 22.Kg2 Re6
  23.Qc2 Qxc2 24.Rxc2 Re4

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黒はポーンを取り返すことができますが、白は整然とキン
グ側のポーンの数の優位を保っています。

  25.f3 Rxc4 26.e4 Kf8 27.Kf2 Ke7 28.Ke3 Ra4
  29.Kd3 Kd6 30.Rb2 c4+ 31.Ke3 Kc5 32.f4 Ra3 33.Rc2

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  33...g6

黒はルークを働かせることができないのでエンディングで
不利な戦いを強いられています。33...Ra5 と引き次に
34...Rb5 を狙ったら互角の戦いになるチャンスがあったか
もしれません。その後は ...Rb1 と突っ込んだり、ポーンを
...a5,...a4,...a3 と進めてから ...Rb2 と入る狙いです。

  34.Kf3 Kd6 35.Ke3 Kc5 36.h4 h5 37.f5 gxf5
  38.exf5 Kd6 39.Kf4 f6 40.g4 hxg4 41.Kxg4 Ke7
  42.h5 Kf7 43.h6 Kg8 44.Kh5 Kh7

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  45.Rd2

このルークによる進入が決め手です。

  45...Rxc3 46.Rd7+ Kh8 47.Kg6 Rg3+ 48.Kxf6

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  48...c5

48...Rh3 の方がもっと頑強な抵抗でした。以下
49.Kg5 Rg3+ 50.Kh4 Rf3 51.Kg4 の後 52.Rxc7 という
展開になるでしょう。

  49.Rc7 c3 50.Rxc5 Kh7 51.Kf7 Kxh6 52.f6 Rf3
  53.a4 Rd3 54.a5 Rf3 55.Rc6 Kg5 56.Kg7 1-0

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黒は負けはしましたが敗因は見当たりません。勝敗を分け
た要因はそもそも白のすぐれた戦略にあったと考えるべき
でしょう。

投稿者 yamagishi : 16:25 | コメント (0)