Gallagher戦法(by Yamagishi, edit ayu)

2004年12月19日

Gallagher戦法・研究編(1)

私の持っている KID(King's Indian Defense) の本の中で、
Gallagher戦法が解説されているのは次の3冊です。

(1)「starting out: the king's indian」
Joe Gallagher 著、Everyman Chess 社発行、2002年初版
KID全般について考え方や勝率などが解説されたお薦め本
です。これからKIDをレパートリーにしようという人に最適です。

(2)「play the king's Indian」
Joe Gallagher 著、Everyman Chess 社発行、2004年初版
同じ著者による続編で、KID経験者向けに詳しく書かれています。

(3)「The Fianchetto King's Indian」
Colin McNab 著、batsford 社発行、1996年初版
KIDに対する白のフィアンケット戦法だけを解説した本です。
ちょっと古いので最新の変化は載っていませんが、一番詳し
い本です。

研究編として(1)に載っている三つの実戦例を順に紹介します。

【 第1局 】Hohler - Gallagher, 1994
1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nf3 Bg7 4.g3 O-O 5.Bg2 d6
6.O-O Nbd7 7.Nc3 e5 8.e4 exd4 9.Nxe4 Re8 10.h3 a6
11.Re1 Rb8 12.Be3 c5


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(上図参照)これはd6のポーンを自らバックワードポーンに
する棋理に反した(anti-positional)手です。しかし当戦法で
はそんなことは委細気にしません。黒はとにかく主導権
(initiative)を取りたいのです。

13.Nde2 Ne5 14.b3 b5 15.f4 Ned7

ここへ引くしかありません(15...Nc6 だと16.e5!)。黒はナイト
が同じ位置に戻ってしまいました。白は労せずして2手儲け
ました(14.b3 と 15.f4)。しかしこれこそ当戦法の真骨頂なの
です。14.b3 は a1-h8 の斜筋を弱めています。また 15.f4 は
e3のビショップを浮き駒にしています。

16.Qxd6 b4

黒は一見クィーン側を攻めているように見えますが、本当の
狙いは中央です。e4の白ポーンに隙ができています。

17.e5!

17.Na4 ならば 17...Nxe4 18.Bxe4 Rxe4 で、a1のルークと
e3のビショップが当たりになっています。ここに至って 14.b3
と 15.f4 とさせた効果が現れてきました。

17...bxc3 18.exf6?

18.Nxc3! Nh5 19.g4 Bf8 20.Qd2 Ng7 ならば
中央が強いのでまだ形勢不明でした。

18...Rxe3 19.fxg7 Rb6! 20.Qd1 Rbe6 21.Rc1 Qf6
22.Qc2 Qe7 23.Kf2 Nf6 24.Rcd1 Bb7 25.Bd5 Bxd5
26.cxd5 R6e4 27.Rd3 c4! 28.Rxe3 Rxe3 29.d6 Qa7
30.Qc1 Ne4+ 31.Kg2 Rxg3+! 0-1

投了以後は 32.Nxg3 Qf2+ 33.Kh1 Nxg3# で詰みです。

投稿者 yamagishi : 22:02 | コメント (2)


2004年12月20日

Gallagher戦法・研究編(2)

【 第2局 】Whiteley - Gallagher, 1989

  1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nf3 Bg7 4.g3

4.Nc3 を後回しにしているのは黒から 4...d5 と、グリュンフェルド
ディフェンスに来られるのを警戒しているためです。

  4...O-O 5.Bg2 d6 6.O-O Nbd7 7.Nc3 e5 8.e4

白は 8.h3 や 8.Re1 を先にすることもできます。そうされても
黒はルークがまだe8に廻っていないのでポーンをe4に突くこ
とができません。

  8...exd4

Gallagher戦法を指すつもりならばできるだけ早くこの交換を
する必要があります。ぐずぐずしていると白からd5とされてし
まいます。黒はa1-h8の斜筋にg7のビショップを効かします
(X線効果)。

  9.Nxd4 Re8 10.h3

後でBe3とした時に...Ng4とされないように、白はほとんどの
場合この手が必要です。

  10...a6

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この手からGallagher戦法特有の駒組みが始まります。

  11.Re1

ここまでの白の手は決まった手順がなく、いろいろ自由度が
あります。黒の方はワンパターンです。

  11...Rb8 12.b3

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この手から前局と変わります。あらかじめc4のポーンを守って
おきます。黒の...Ne5は意味がなくなっています。

  12...c5 13.Nc2

e2でなくここへナイトを引いたのは、a1のルークにひもをつけ
たのと、e1のルークのにらみを邪魔しないためです。

  13...b5! 14.cxb5 axb5 15.Qxd6

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KIDではd6のポーンはしばしば「腐ったポーン」になることが
あります。取らせまいと守るより、取らせてしまった方が駒の
展開が良くなることがあります。後でルークをd8に廻せば白は
一手費やしてクィーンを引く必要がでてきます。

KIDでは白の圧迫に対して黒はポーンのただ捨てや役駒の
交換損などで包囲網を突破する必要があります。そうしないと
いつまでも押さえ込まれたままで、圧死してしまいます。こう
いう過激な手を好まないならば、クィーンズギャンビットや
ニムゾインディアンなどの白から押さえ込まれない戦法を選ぶ
必要があります。

  15...Rb6!

今回はこの手を先にします。15...b4 を先にすると 16.Na4 と
なり、ルークがb6に上がれなくなります。

  16.Qd1 b4 17.Na4 Rbe6 18.Bb2 Qe7

e4のポーンは取れません。18...Nxe4? とすると 19.Bxg7 Kxg7
20.Bxe4 Rxe4 21.Rxe4 Rxe4 22.Nxc5! です。

  19.Ne3 Bb7 20.f3

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e4のポーンはこの手で簡単に防御できます。こんなに簡単に
守られてしまうのにどうして黒は大駒をe筋に三つも重ねたの
でしょうか?それはこの手を指させることによって、黒のキング
側の黒枡を弱体化させることにありました。黒はそこをめがけ
て新たな攻撃を開始します。白はポーンにこだわらずに、20.e5
としてポーンを返すことを考えるべきでした。

  20...Nh5! 21.Bxg7 Kxg7

g7のビショップが消えても白陣の黒枡は弱体化したままです。

  22.g4 Nf4 23.Qd2 Ne5 24.Rf1

黒から 24...Nxh3+ 25.Bxh3 Nxf3+ を狙われていたので
24.Rf1 はその防ぎです。

  24...Rd8 25.Nf5+ gxf5 26.Qxf4 Nd3 27.Qe3 f4!?
  28.Qd2 c4! 29.bxc4 Qd7 30.a3

...Qd4+ があるので白のナイトは助かりません。後は順当に
黒が勝ちを収めました。

  30...Qxa4 31.axb4 Qd7 32.Qc3+ Qd4+ 33.Qxd4+ Rxd4
  34.Rfd1 Red6 35.Ra7 Rd7 36.Kf1 Rxc4!37.Rxb7 Rxb7
  38.Rxd3 Rcxb4 39.Rd2 Rb1+ 40.Kf2 R7b2 41.Rxb2 Rxb2+
  42.Kg1 Kf6 43.h4 Ke5 44.g5 h6 45.h5 hxg5 46.Bh3 Kd4
  47.Bg4 Ke3 48.Kf1 Rh2 49.Kg1 Rh4 50.Kf1 f6 51.Kg2 Ke2 52.Kg1 Rxg4+
  0-1

以下は 53.fxg4 f3 で黒にクィーンができます。

投稿者 yamagishi : 14:36 | コメント (7)


2004年12月21日

Gallagher戦法・研究編(3)

【 第3局 】Yin Hao - Ye Jiangchuan、2000年、上海

  1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nf3 Bg7 4.g3 O-O 5.Bg2 d6
  6.O-O Nbd7 7.Nc3 e5 8.e4

8.h3 を先にしても 8...exd4 9.Nxd4 Re8 10.e4 で結局同じ形になります。

  8...exd4

厳密には棋理に反した(anti-positional)手です。普通は
こんなに簡単に中央を放棄するのは誉められません。
しかしこの場合は黒は具体的な作戦に基づいているので
首肯されます。

  9.Nxd4 Re8 10.h3 a6

...c7-c6, ...Nc5, ...a7-a5 が最もポピュラーな黒の作戦です。
しかしこの戦法では黒はなかなか白の包囲網を突破する
ことができません。私も経験がありますが、暴れたくても
争点を作り出すことができず、“将棋”にならないのです。

  11.Re1 Rb8 12.Rb1!

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一見何気ない手ですが、これが黒にとって最も手ごわい
応手です。大した手ではないですが、その代わり白陣に
何も悪影響を与えていません。つまり 12.Be3 と違って
e筋のポーンの防御に邪魔になっていないし、12.b3 の
ように a1-h8 の斜筋を開けっ放しにもしていません。

  12...Ne5 13.b3 c5 14.Nc2 Nc6!


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この局面では 14...b5 は通用しません。14...b5 15.cxb5 axb5
16.f4 Ned7 17.Qxd6 で、黒に良い手がありません。当初は
14...b5 が成立しないようではひどいポーンの形が残っただけ
の局面のように考えられていましたが、だんだんとこれでも
十分に戦えることが分かってきました。

  15.a4 Be6! 16.Bb2 h5 17.Qd2 Nh7! 18.Red1 Be5!

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  19.f4 Bg7 20.Kh1

20.Qxd6? ならば 20...Bd4+ があります。

  21...Qa5 21.Nd5 Qxd2 22.Rxd2 Bxd5 23.cxd5

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白は 23.exd5 の方が良かったようです。23.cxd5 と取った
形は白のポーンが威容を誇っているように見えますが、
実際はe4のポーンは弱く、かっこうの攻撃目標となっています。

  23...Na5 24.Bxg7 Kxg7 25.b4 cxb4 26.Rxb4 Nf6
  27.Ne3 Rbc8 28.Kg1 Rc3 29.Kf2 Nb3 30.Nd1 Rxg3!
  31.Rc2 h4 32.Rc3 Nc5 33.e5? Rxc3! 0-1

以下は 34.exf6+ Kxf6 35.Nxc3 Nd3+ です。

投稿者 yamagishi : 20:25 | コメント (2)


2004年12月22日

Gallagher戦法・実戦編(1)

これからICC(Internet Chess Club)での私の実戦例を見て
いきます。6局戦って3勝2分1無勝負です。

これは私が強いのではなく、Gallagher戦法を
知らない相手が多いためなのではないかと推測されます。

ちなみにICCでの戦績は155勝255敗85分(勝率40%弱)です。
JCAでのレイティング1751のAsahigaokaが指しているので、
捜せば当然疑問手や悪手がいろいろと見つかります。

対戦の前における私のGallagher戦法の知識はGallagherの
「the king's indian」の実戦例3局を並べただけでした。

Gallagherの「play the king's Indian」は当時まだ出版
されていませんでした。

McNab の「The Fianchetto King's Indian」は非常に詳しいですが
変化の羅列なので読む気はしません(こういう本は調べるた
めの本です)。

私の実戦例を掲載する目的は相手がどう対応してきたのかを
紹介するためです。何しろ棋理を無視する破天荒な戦法ですから
私のレベルでも指しこなせるのか半信半疑でした。

【 第1局 】Raziell(ICC2100) - Asahigaoka(ICC1932)、
持ち時間各15分、非レイティング戦、2004年5月30日

  1.Nf3 Nf6 2.d4 g6 3.g3 Bg7 4.Bg2 d6 5.c4 O-O
  6.O-O Nbd7 7.Nc3 e5 8.e4 exd4 9.Nxd4 Re8
  10.h3 a6 11.Be3 Rb8 12.b3

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Re1 を省略して来ました。対局後 McNab の「The Fianchetto
King's Indian」で確認しましたがこれも定跡のうちです。
とにかくワンパターンのとおり行くしかないと考えました。

  12...c5 13.Nde2 b5 14.Qxd6 b4 15.Na4 Nxe4
  16.Bxe4 Rxe4 17.Rad1 Qe7

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ICC の対局では対局中にメッセージを書いて相手に送る
ことができます。17...Qe7 と指したら相手がこの手は新手
だと言って来ました。こちらは 12.b3 から知らない局面に
入っていますから、そんなことを言われても知ったこっちゃ
ありません。定跡通の相手で、あっさり負かされるかなと
思いました。18.Nxc5 が当然の好手で、観念しました。

McNab の「The Fianchetto King's Indian」には 17...Qe8
18.Nf4 Bf8 1/2-1/2 Zarkovic - Z.Ilic, 1990 という実戦
例が出ていました。勿論ドローの局面ではなく、両対局者
ともあまり戦闘意欲がなかったのでしょう。

  18.Nxc5 Rxe3 19.Nxd7 Rb7 20.Nc5

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20.Nc5 だったので逆転してしまいました。Fritz8 によると
20.Qc6 又は 20.Qc5 で白の勝勢です。

  20...Rxe2 21.Nxb7 Bxb7 22.Qb8+ Bf8 23.Rd8 Kg7

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23...Bc6 または 23...Bf3 ならば黒の勝勢のままでした。
23...Kg7 では 24.Rxf8 Qxf8 25.Qxb7 で白の方がやや
有利になってしまうところでした。確か白は1分以上長考
して次の手を指しましたが、たちまち終わってしまいました。

  24.Rfd1 Qe4 0-1

25.Kf1 としても 25...Rxa2 で防ぎになりません。

投稿者 yamagishi : 21:17 | コメント (2)


2004年12月23日

Gallagher戦法・実戦編(2)

【 第2局 】Blunderov(ICC2004) - Asahigaoka(ICC1961)
持ち時間各20分++20秒、レイティング戦、2004年7月27日

  1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.g3 Bg7 4.Bg2 d6 5.e4 O-O 6.Ne2

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ICCでは35本のチェス講座があります。その中に「Strategic
Petrosian #1,#2,#3」というのがあり、ペトロシアンがこの白の
構えで戦略的に勝った実戦が解説されています。白はそれに
啓発されて同じ形を用いてきているようです。こちらとしては
経験のないオープニングに誘い込まれるのはいやなので、
早めにポーンを交換して(8...exd4)こちらのテリトリーで戦います。

  6...e5 7.O-O Nbd7 8.Nbc3 exd4 9.Nxd4 Re8 10.h3 a6 11.Be3 Rb8 12.a4

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この手も知りませんでした。McNab の「The Fianchetto
King's Indian」によるとこの手は「critical try」だそうです。
黒の応手は私の指した ...Ne5 の他に ...Nc5 もあるそうです。

  12...Ne5 13.b3 Nc6

Y041223A.GIF

McNab の本には 13...Bd7 の変化が載っています。確かに
それが自然な手です。13...Nc6 と指したのは、e5 にいても
どうせ白の f2-f4 に追われるし、白が 14.Nxc6 と取ってくれ
ば 14...bxc6 と取り返して、ダブルポーンになるけれどもオー
プンファイルに面しているのではないからさほど弱くなく、中央
が厚くなると共にb筋がオープンファイルになる利点もあると
いうものでした。しかし局面の展開からすると良い手ではな
かったようです。ここから後はどういう方針で指し進めたら
良いか分からず、黒の迷走が始まります(決してこれで良いと
考えて指していたわけではないです)。

  14.Rc1 Nxd4 15.Bxd4 Be6 16.Re1 Nd7 17.Bxg7 Kxg7
  18.Qd4+ Qf6 19.Qxf6+ Kxf6 20.Nd5+ Bxd5 21.cxd5 Nc5
  22.Rc3 b5 23.b4 Nxa4 24.Rxc7 Nb6 25.Ra1 Rec8

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この手に対して 26.Rc6 と指されていたら黒がはっきり悪
かったです。26...Rxc6 27.dxc6 となった時、すぐにルークを
廻してc6の白ポーンを取るわけにはいきません(白から
e4-e5+ がある)。25...Rec8 と指す前から分かっていました
が、他に指しようがありませんでした。ルークを交換してくれ
たので助かりました。

  26.Rxc8 Rxc8 27.Rxa6 Rc1+

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これで f2 の白ポーンを狙ってドローになると思いました。
しかし白としても a6 のポーンを取るしかないところです(...Na4
があるので)。29...Rc2 で 29...Rb1 と指せば黒がわずかに
有利かもしれませんが、中盤でずっと苦戦だったので指す
気力がわきませんでした。

28.Kh2 Nc4 29.Ra8 Rc2 30.Kg1 Rc1+
31.Kh2 Rc2 32.Kg1 Rc1+ 33.Kh2 Rc2 1/2 - 1/2

投稿者 yamagishi : 14:33 | コメント (0)


2004年12月24日

Gallagher戦法・実戦編(3)

【 第3局 】BigNEazy(ICC2041) - Asahigaoka(ICC1977)
持ち時間各15分、レイティング戦、2004年9月22日

  1.d4 Nf6 2.Nf3 g6 3.g3 Bg7 4.Bg2 O-O 5.O-O d6
  6.c4 Nbd7 7.Nc3 e5 8.e4 exd4 9.Nxd4 Re8 10.Re1 a6
  11.h3 Rb8 12.Be3 Ne5 13.b3 c5 14.Nde2 b5

12...Ne5 と 13...c5 はどちらを先に指しても構いません。
Gallagher の「starting out: the king's indian」ではこの後
15.f4 でしたが白は違う手を指してきました。

  15.cxb5 axb5 16.Rc1

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McNab の「The Fianchetto King's Indian」によれば 16...b4
17.Na4 Ba6 で黒がやや良し(=/+)だそうです(Kraehenbuehl -
Landenbergu, 1989)。ここから最終手まではお互い疑問手
の連発で、形勢は頻繁に変動しています。特に 17...Bc8 は
思わず吹き出したくなるような手損です。また白のキング側の
構えからは 17.f4 が当然の手です。

  16...Be6 17.Nf4 Bc8 18.a4 bxa4 19.Nxa4 Ba6 20.Nb2 Qb6
  21.Nc4 Bxc4 22.bxc4 Qb3 23.Qxd6 Nxc4 24.Qxc5 Rbc8
  25.Qa7 Nxe4 26.Bxe4 Rxe4 27.Nd5 Rce8 28.Rb1 Qa3
  29.Qxa3 Nxa3 30.Rb4 Rxb4 31.Nxb4 Bc3 0-1

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両取りがかかり相手は少考の後投了しました。しかし対局後
Fritz8 で調べたら 32.Nd5! という手がありました。32...Bxe1
33.Nf6+ Kf8 ならば 34.Bc5+ があります。結局 c3 のビショップ
を動かすしかなく、形勢はほぼ互角(白が悪くない)だそうです。

投稿者 yamagishi : 16:38 | コメント (2)


2004年12月25日

Gallagher戦法・実戦編(4)

【 第4局 】agof(ICC1976) - Asahigaoka(ICC1939)
持ち時間各7分++12秒、レイティング戦、2004年9月26日


  1.c4 Nf6 2.g3 g6 3.Bg2 Bg7 4.e4 d6 5.d4 O-O
  6.Nc3 e5 7.Nge2 exd4 8.Nxd4 Re8 9.O-O Nbd7
  10.Re1 a6 11.h3 Rb8 12.Be3 Ne5 13.b3 c5
  14.Nde2 b5 15.f4 Ned7 16.Qxd6 b4

(下図参照)ここまでは研究編(1)の本譜手順と同じ
です。

Y041225A.GIF

  17.Na4

同編の解説にあるとおりこの手では白がはっきり悪くなり
ます。解説にあるとおり白の正着は 17.e5! で、以下
17...bxc3 18.Nxc3! Nh5 19.g4 Bf8 20.Qd2 Ng7 で形勢
不明です。20...Ng7 の局面で Fritz8 に調べさせても形勢
に差がありません。

  17...Nxe4 18.Qd3 Bxa1 19.Rxa1 Qe7
白ネットワーク接続切断のため無勝負

Y041225A.GIF


(上図参照)これで楽勝と考えていたのですが、
局後 Fritz8 で調べると 20.Bxe4
Qxe4 21.Qxe4 Rxe4 22.Kf2 で差が1ポイント
未満しかなくあまり有利でありませんでした。
Fritz8 によると正着は 19....Bb7 で2ポイント
近くの差がありはっきり優勢でした。

投稿者 yamagishi : 10:01 | コメント (4)


2004年12月26日

Gallagher戦法・実戦編(5)

【 第5局 】Stevebaiano(ICC2081) - Asahigaoka(ICC1933)
持ち時間各7分++12秒、レイティング戦、2004年10月2日

  1.Nf3 Nf6 2.d4 g6 3.c4 Bg7 4.g3 d6 5.Bg2 O-O
  6.O-O Nbd7 7.Nc3 e5 8.e4 exd4 9.Nxd4 Re8
  10.h3 a6 11.Be3 Rb8 12.a4 Ne5 13.b3

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  13...c5

第2局で書いたとおりここは 13...Bd7 が正着です。

  14.Nc2 Be6 15.f4 Nc6 16.Qd2

Y041226B.GIF

黒のキング側の黒枡を狙う 16...Nh5 を先に指していたら
Fritz8によるとほぼ形勢互角でした。よけいなこと(16...Qa5)
をしてから 17...Nh5 と指したため形勢が悪くなりました。

  16...Qa5 17.Rad1 Nh5 18.Ne2

こうナイトを引かれて g3 のポーンを守られると同時にクィ
ーンが当たりになることに気づきませんでした。

  18...Qxd2 19.Rxd2

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  19...Nd4

何とか手を作らなければと焦った手です。ここからはずっと
敗勢の状態が続きます。Fritz8 によれば 19...Na5 なら黒が
少し悪いという程度です。

  20.Nexd4 cxd4 21.Bf2

こうビショップを引いて g3 のポーンを守らなければならない
ということは、最初から 20.Ncxd4 と反対のナイトで取ってい
れば 21.Bf2 は必要ありませんでした。しかしそれでも白の
勝勢には変わりありません。

  20...b5 22.axb5 axb5 23.Nxd4 Bxd4 24.Rxd4 bxc4
  25.bxc4 Rb3 26.Kh2 Rc8 27.Rc1 Rb4 28.Bf1 Rb2
  29.Kg1 Rb3 30.Kg2 Rc6 31.Be2

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Fritz8 によればここで 31...Bxh3 という手がありました。
32.Kxh3 ならば b3 のルークの横利きを利用して 32...Nxf4+
があります。しかし相手にしないで 32.Kh2 とかわしていれば
白が優勢です。

  31...Nf6 32.g4 Rb2 33.Kf3 h6 34.f5 gxf5 35.gxf5 Bc8
  36.Rg1+ Kh7 37.Bg3 Rb3+ 38.Kf2 Rb2 39.Ke3 Ba6
  40.Rxd6 Rxd6 41.Bxd6 Nxe4

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  42.Bd3

対局中既に気づいていましたがこの手では 42.Be5 で決
まりでした。ルークとナイトが当たりになっていて 43...Rb3+
としても 44.Kxe4 と幸便に取られてしまいます。また Rg7+
の後の空き王手も辛らつです。42.Bd3 としたためついに
逆転してしまいました。

  42...Nxd6 43.f6+ Kh8 44.c5 Rb3

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この手が黒の用意していた手でした。

  45.Rd1 Nf5+

Fritz8 によると正着は 45...Nb7 と、c5 のポーンの面倒を
みる手でした。45...Nf5+ だと 46.Ke4 で、d3 で駒の清算を
することができません。清算するとナイトで c5 のポーンを
すぐに止められません(その場合でも形勢は黒優勢ですが)。

  46.Kf4 Bxd3 0-1

投稿者 yamagishi : 16:03 | コメント (1)


2004年12月27日

Gallagher戦法・実戦編(6)

【 第6局 】 2004年11月21日
Raziell(ICC2100) - Asahigaoka(ICC1974)
持ち時間各15分、非レイティング戦

第1局の相手との再戦です。相手は
非レイティング戦しか指さないので
レイティングが変化していません。
相手はこちらを忘れていたみたい
ですが、こちらは定跡通のあいつ
だなと覚えていました。

  1.d4 Nf6 2.Nf3 g6 3.g3 Bg7
  4.Bg2 d6 5.c4 O-O 6.O-O Nbd7
  7.Nc3 e5 8.e4 exd4 9.Nxd4 Re8
  10.h3 a6 11.Re1 Rb8 12.Rb1 Ne5
  13.b3 c5 14.Nc2 Be6

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研究編(3)にあるとおり 14...Nc6 が
定跡です。そう指さなかったのは独自
の考えがあったからではなく、単に
定跡を忘れていたからです。定跡から
はずれた後はもうお手本がないので
自分の頭で考えて指しています。

  15.a4 h6 16.Ne3 Nc6 17.Ned5 Nd4
  18.Be3 Kh7 19.Bxd4 cxd4
  20.Nxf6+ Qxf6 21.Nd5 Qd8
  22.Qd2 Qg5 23.Qxg5 hxg5
  24.Nc7 Re7 25.Nxe6 Rxe6
  26.Rbd1 Ree8 27.f4 1/2-1/2

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相手がドローを提案してきたので応じま
した。Fritz8 によると白がやや有利です。

投稿者 yamagishi : 09:07 | コメント (0)


2004年12月28日

Gallagher戦法・番外編

Gallgher戦法を指そうと思ってもそうなるとは限りません。
次の対局はその一例です。相手は FIDE の IM です。ICC
(Internet Chess Club)ではIM/GMによる同時対局があり
ます。挑戦者側は30人から40人くらいです。持ち時間
付きなのでIM/GMがある局面の次の手を考えていると
他の全ての対局の持ち時間が同時に減っていきます。
普通の同時対局より厳しいかもしれません。

【 番外編 】 Voja(FIDE IM) - Asahigaoka(ICC1988)
2004年12月23日 同時対局
持ち時間各50分++15秒、非レイティング戦

  1.d4 Nf6 2.Nf3 g6 3.g3 Bg7 4.Bg2 d6 5.O-O O-O
  6.c4 Nbd7 7.Nc3 e5

Y041228A.GIF

  8.dxe5

退嬰的ですがこう取ってくる手もあります。こうなるともう
Gallagher戦法にはなりません。ここから後はきちんと
解説した本はありません。

  8...dxe5 9.e4 c6 10.h3 h6 11.Be3 Qc7 12.Qc2 Re8
  13.b4 Nf8 14.Rfd1 Ne6 15.c5 b6 16.cxb6 axb6
  17.a4 Bb7 18.Rac1 Rad8 19.Qb3 Rxd1+ 20.Rxd1 Rd8
  21.Rxd8+


Y041228B.GIF

ここで相手の IM がドローを提案してきました。ダルい局面
になると同時対局をしているIM/GMは対局数を減らして、
より厳しい局面に集中するためか突然ドローを提案してくる
ことがあります。この時点でまだ十数局残っていたと思い
ます。たしかにドローっぽい局面かもしれませんが、負かさ
れても良いから上達のために IM の底力を見せてほしかっ
たので指し続けました。

  21...Nxd8 22.Nd2 Ne6 23.Qc4 Nd7 24.b5 Ndc5
  25.bxc6 Bxc6 26.Nd5 Bxd5 27.exd5 Nd4 28.Bxd4 exd4
  29.Nb3 d3 30.Nxc5 Qxc5 31.Qxd3 Be5 32.Qb5 1/2-1/2

Y041228C.GIF

32...Qxb5 と取って色違いビショップのエンディングになる
ので白がポーン一個得していてもドローは明らかです。
1対1の対局ならば白はクィーン交換をせず勝ちを目指し
たでしょう。色違いビショップでも他に役駒が残っている
場合、逆にドローになりにくくなります。相手のビショップ
の色の枡をこちらのビショップで守れないためです。

Gallagher戦法は今回で終わりです。初めて指す前はいろ
いろと不安があったのですが、何局か指してみた感想は
まともな戦法で、これは使えると思いました。

投稿者 yamagishi : 13:13 | コメント (0)