2006年01月28日

「激闘争覇のクィーンズ・ギャンビット」(第41回)

第4章 現代のシュタイニッツ戦法

今日(1950 年頃)では白の孤立 d4 ポーンに象徴される
シュタイニッツ戦法は当初の形では滅多に指されません。
ルビーンシュタイン(Rubinstein)は少しの工夫を施して復
活させようと試みましたが防御側が難しいことには変わり
がありませんでした。さらにもっと融通性があり有望な防
御法が開発されたことも加わりました(後の第44局と第45
局)。シュタイニッツでさ自分のシステムが黒に確固たる
優位を与えるとは主張していませんでした。彼の指摘して
いたのは黒が d4 のポーンをせき止めることができること、
そしてこの障壁の内側で慎重に駒繰りを行なうことによっ
て黒が有利な収局に持ち込むことが期待できるということ
のみでした。

本局は現代の様相のシュタイニッツ戦法です。結果的に
カロ・カン(Caro-Kann)からオーソドックス(Orthodox)防御
へ有利に転移しています。

カロ・カン防御からの転移によるシュタイニッツ戦法

【第27局】ボトヴィニク(M.M.Botwinnik) - エイベ(M.Euwe)
ヘースティングズ(Hastings)、1934-5年

  1.c4 c6 2.e4 d5 3.exd5 cxd5 4.d4 Nf6 5.Nc3 Nc6

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  6.Bg5 e6 7.Nf3 dxc4 8.Bxc4 Be7 9.O-O O-O

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白枡ビショップが既に g5 に展開してしまっているので白
は準備をしないと Qe2 と指せません。Be3 と戻るのは手
損です。

  10.Rc1 a6 11.Bd3

この手は 11...b5 の防ぎです。11...b5 には 12.Ne4! Bb7
13.Bxf6 Bxf6 14.Nc5 があります。

  11...h6!

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大切な一手で、f4 の地点の支配が目的です。

  12.Be3

この手よりも 12.Bh4 Nb4 13.Bb1 b5 14.a3 Nbd5 15.Qc2
で黒に 15...g5 又は 15...g6 と突かせる方が優りました。

  12...Nb4 13.Bb1 b5 14.Ne5 Bb7 15.Qd2

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  15...Re8

ビショップ切りへの備えです。16.Bxh6 には 16...gxh6
17.Qxh6 Bf8 で受かります。

  16.f4 Nbd5 17.Nxd5

17.Bf2 と逃げるのは 17...Nxc3! 18.bxc3 Ne4! で良くあり
ません。

  17...Qxd5 18.f5 Bd6 19.fxe6 Rxe6

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白のナイトを動けなくしています。20.Nf3 と引くと 20...Ng4!
21.Bf2 Bxh2+、20.Nd3 とこちらへ引くと 20...Rxe3! があり
ます。20.Bf4 は 20...Bxe5 21.dxe5 Qxd2 で e5 のポーン
を取られます。

  20.Bf5 Re7 21.Bh3 Bxe5 22.dxe5 Qxe5

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  23.Bf4

23.Bd4 には 23...Rd8 があります。

  23...Qd5 24.Qxd5

24.Bxh6 の強襲は 24...gxh6 25.Qxh6 Re2! (26.Rf2 Rxf2
27.Kxf2 Ng4!) があるので成立しません。

  24...Nxd5 25.Bd2 Rae8 26.b3 Re2

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  27.Rf2 Nf6 28.Ba5 Rxf2 29.Kxf2 Ne4+ 30.Kf1 Ng5

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  31.Bd7

31.Bg4 の方が優りました。

  31...Re7 32.Bf5 Re5 33.Bb1 Be4 34.Bxe4 Nxe4

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  35.Rc6

36.Rc8+ Kh7 37.Be1 と指すべきでした。

  35...Rf5+ 36.Ke1

36.Kg1 には 36...Rf2 37.a4 Rb2!、36.Ke2 には 36...Rf2+
37.Ke3 Rxa2 があります。

  36...Rf2 37.a4 Rxg2 38.Rxa6 bxa4 39.bxa4 Rxh2
  40.Ra8+ Kh7

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  41.Bb6 Ra2 42.a5 h5 43.a6 h4 44.a7 h3 45.Bg1 Nf6

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  46.Kd1!

46.Rd8 は 46...Rxa7 47.Bxa7 h2 でポーンの昇格を止め
ることができません。

  46...Ng4 47.Re8 h2

47...Rxa7? は 48.Bxa7 h2 49.Re1(白の 46.Kd1 の意味)
でダメです。しかし局後のボトヴィニクの指摘によると
47...Nf2+! 48.Ke1 Nd3+ 49.Kd1 Rxa7! 50.Bxa7 h2 なら
ルークが e1 に行けないので勝負はここで決まっていました。

  48.Bxh2 Rxa7 49.Bb8 Ra8 50.Rd8 Ne5

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  51.Bc7 Rxd8 52.Bxd8 Kg6 53.Ke2 Kf5 54.Ke3 Kg4
  55.Bc7 Nf3 56.Kf2 f5 0-1

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投稿者 yamagishi

2006年01月31日

「激闘争覇のクィーンズ・ギャンビット」(第42回)

第4章 現代のシュタイニッツ戦法

ラスカーの指法

本局は次の重要な疑問に対して一つの手がかりを与え
てくれる点で興味深いものがあります。「チェスの知識が
深化した状況において、一局の他の段階と同様に布局
に一般原則だけを適用し現代の定跡を無視して指してい
くことができるのだろうか?」ラスカーはこの理論の主唱
者だったことで良く知られています。そして本局で彼は
クィーンズ・ギャンビット受諾では白のクィーン側のナイト
の展開をできれば遅らせるのが最良であるというのが常
識なのにわざとその「机上」の変化を避けました。

【第28局】ラスカー(Em.Lasker) - レシェフスキー(S.Reshevsky)
ノッティンガム(Nottingham)、1936年

  1.d4 d5 2.c4 dxc4 3.Nf3 Nf6 4.e3 e6 5.Bxc4 c5 6.Nc3

現代(1950 年頃)の定跡ではこの手は遅らせるのが最善
とされています。

  6...a6

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  7.O-O

7.a4 で黒の ...b5 を阻止するのもあり 7...Nc6 8.O-O Be7
9.Qe2 cxd4 10.Rd1 e5 11.exd4 exd4 12.Nxd4 Nxd4
13.Qe5 Qd6 と進んで互角の形勢です。

  7...b5 8.Bd3

8.Bb3 とこちらに引く方が良いですがそれでも黒は 8...Bb7
と指し d5 と e4 の地点を制することができます。

  8...cxd4!

この手は大切な手で白のポーンを固定するのが目的です。

  9.exd4 Bb7 10.Bg5 Be7

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  11.Qe2

白は布局を無造作に指し進めた結果、苦しい局面にはま
り込もうとしていることに気付いていないようです。アリョー
ヒン(Alekhine)はここで黒のクィーン側ビショップの威力を
そぐために 11.Bxf6 Bxf6 12.Be4 という手順を推奨してい
ます。

  11...O-O 12.Rad1 Nbd7 13.Ne5

この手はクィーンズ・ギャンビットに特有の手ですがそも
そも白に攻撃の機会のないこの局面ではまったくの的
外れでした。代わりに 13.Bc1 Nd5 14.Ne4 で単純化を
避けるべきでした。

  13...Nd5

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  14.Bc1

ラスカーはまだ主導権が得られるものと期待していたよう
です。そうでなければ 14.Bxe7 Nxe7 (14...Nxc3 は
15.Bxh7+!、14...Qxe7 は 15.Nxd5 Bxd5 16.Be4!) 15.Be4
Bxe4 16.Nxe4 と指していたでしょう。そうなればポーンは
弱くても強いナイトという代償があったでしょう。

  14...Nxc3 15.bxc3 Nf6 16.a4

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このポーンを犠牲にして c ポーンを突き進めようという考
えです。しかしこの局面にはそのような戦術の余地があ
りません。しかもラスカーは同じくらいの技量の戦術派を
相手にしています。レシェフスキーはここから最善手を続
けます。

  16...Qd5! 17.Nf3

17.f4 と1手詰みを防ぐと 17...b4 とかわされます。

  17...Rfc8 18.Bb2

18.axb5 axb5 19.Bxb5 Rxc3 は白が良くありません。

  18...Ne4 19.Rc1

19.axb5 axb5 20.Bxe4 Qxe4 21.Qxb5 は 21...Ba6 で黒の
交換得になります。

  19...Ng5

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  20.axb5

20.Ne1 には 20...bxa4 です。

  20...axb5

20...Nxf3+ は 21.Qxf3 で白にも反撃の可能性が出てきます。

  21.Bxb5

ここで 21.Ne1 は 21...Nh3+ 22.Kh1 Nf4 です。

  21...Nxf3+ 22.gxf3 Qg5+ 0-1

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23.Kh1 と逃げても 23...Qg4 で全然ダメです。

ラスカーは布局の指し方で失敗しました。それは彼が定
跡研究家たちの重要な発見を無視し相手にクィーンズ・
ギャンビット受諾の理想的な態勢を許したためでした。あ
る時点でほぼ互角の形勢を達成したかもしれないという
事実も彼の理論を裏打ちすることにはなりません。という
のは白は込み入った布局の分析を行なわなくてもいつも
局面の均衡を維持して行けるからです。

偉大な戦術家でも同等の技量の相手と対すると早い段
階で失った地歩を取り戻すのは至難の業です。現代の
布局定跡とも対峙しなければならないならばそれは実際
不可能です。

前局と本局ではシュタイニッツ戦法の現代の展開を見て
きました。そこから二つの顕著なことが分かりました。一
つ目は白はクィーン側ビショップの展開に細心の注意を
払わなければならないということです。このビショップは
g5 にあって黒にキング側の弱体化(例えば ...h6 とポー
ンを突かせれば g5 が白の攻撃目標となる)を余儀なく
させることができれば強い存在です。しかし黒が ...Nd5
で単純化を図ることができれば弱い存在です。二つ目は
黒がしばしばクィーン側ビショップを b7 に展開して対角
に攻撃性を発揮できるということです。これはこのビショッ
プを d7 から e8 に据えてキング側の守りにつかせるシュ
タイニッツの守勢の展開とは異なります。

投稿者 yamagishi

2006年02月06日

「激闘争覇のクィーンズ・ギャンビット」(第43回)

第4章 現代のシュタイニッツ戦法

オーソドックス防御からの遷移-ボトヴィニクの指法

果たして我々の攻撃の技術は進歩したのであろうかとい
うことがしばしば問題になります。他方でこの科学的な指
法の時代は攻撃を助長するのだろうかということが議論
の種になっています。

この問題に答えるために無数の遷移の可能性のあるクィ
ーンズ・ギャンビット受諾の研究は最も役に立ちます。「戦
術家」でなく「戦略家」とみなされているボトヴィニクは本
局で 7.Rc1 から起こる「手得競争」の戦型を避けることに
よってシュタイニッツ(Steinitz)戦法に特有な局面を作るよ
うに相手に仕向けました。試合自体はツカートルト(Zuker
tort)対シュタイニッツ戦(第 24 局を参照)に似た面があり
ボトヴィニクの攻撃法は攻撃の技術は習得できるのかと
いう疑問に明確な解答を与えています。

【第29局】ボトヴィニク(M.M.Botvinnik) - ヴィドマール(M.Vidmar)
ノッティンガム(Nottingham)、1936年

  1.c4 e6 2.Nf3 d5 3.d4 Nf6 4.Bg5 Be7 5.Nc3 O-O
  6.e3 Nbd7 7.Bd3

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もっと普通の 7.Rc1 に代わるこの手は黒に無事に 7...c5
と指させます。

  7...c5 8.O-O cxd4 9.exd4 dxc4 10.Bxc4 Nb6
  11.Bb3 Bd7 12.Qd3

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  12...Nbd5

手順の入れ替えでクィーンズ・ギャンビット受諾の形にな
りました。

黒はこの手よりも 12...Nfd5 と指すのが良く 13.Bc2 なら
13...g6 と受けておいて ...Nb4 と ...Bxg5 の二つの狙いが
残ります。また 13.Be3 なら 13...Nxc3 14.bxc3 Ba4、
13.Ne4 なら 13...Ba4 で共に黒が白の強力な白枡ビショッ
プを交換することにより単純化への良い展望が開けました。

(通常の ...Nbd5 でなく)キング側のナイトを d5 に持って
来るボトヴィニクのこの分析は非常に参考になります。彼
の着想に従えば黒は小駒の交換を迫って局面を楽にする
ことができました。

  13.Ne5 Bc6 14.Rad1

黒の状況は思わしくなくなってきました。14...Nh5 なら
15.Nxc6 bxc6 16.Bc1 で、14...Qa5 なら 15.Bc1 Nxc3
16.Nxc6 bxc6 17.bxc3 で白が優勢です。

  14...Nb4 15.Qh3

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クィーンが無駄なくこの強力な地点に来ることができまし
た。ここから黒の脆弱な e6 と h7 の地点ににらみを利か
せることができます。

  15...Bd5 16.Nxd5 Nbxd5

16...Nfxd5 17.Bc1 Rc8 の方が良く、白が優勢ですが黒
にも受けのチャンスがありました。

  17.f4

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  17...Rc8

17...g6 は 18.Bh6 Re8 19.Ba4 で白の交換得になります。
17...Ne4 は 18.Nf7! Kxf7 (18...Rxf7 19.Qxe6!) 19.Rde1!
です。

  18.f5 exf5

18...Qd6 は 19.fxe6 fxe6 (19...Qxe6 20.Qf3) 20.Rde1!
です。

  19.Rxf5

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  19...Qd6?

この手は即負けにつながります。しかし最善の 19...Rc7
でも 20.Rdf1 で強い圧力が維持されます。

  20.Nxf7! Rxf7

20...Kxf7 には 21.Bxf6 で d5 のナイトが落ちます。

  21.Bxf6 Bxf6

21...Nxf6 は 22.Rxf6 Bxf6 23.Qxc8+ です。

  22.Rxd5!

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22.Bxd5 よりもはるかに強力です。

  22...Qc6 23.Rd6

23.Rc5? は 23...Bxd4+ ではまりです。

  23...Qe8 24.Rd7 1-0

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投稿者 yamagishi

2006年02月09日

「激闘争覇のクィーンズ・ギャンビット」(第44回)

第4章 現代のシュタイニッツ戦法

カパブランカの指し方

カパブランカがクィーンズ・ギャンビットを受諾するのは極
めてまれでした。従って本局はその珍しい試合の一局と
言えます。おまけに面白いのは対戦相手のフロールがし
ばしばギャンビットを受諾する側だったということです。

カパブランカがこれまでの定跡にほとんど知識がなかっ
たことは実に幸運でした。というのは布局の問題へ偏見
なく取り組むことにより彼は旧型と新型のいわば折衷型
を産み出すことに成功したからです。彼は白のクィーン・
ポーンを孤立させますがそれでも自分の駒の可動性を
維持することができました。

【第30局】フロール(S.Flohr) - カパブランカ(J.R.Capablanca)
ゼメリング・バーデン(Semmering-Baden)、1937年

  1.d4 d5 2.c4 dxc4 3.Nf3 Nf6 4.e3 e6 5.Bxc4 c5
  6.O-O a6 7.Qe2 Nc6 8.Rd1 Qc7 9.Nc3

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  9...Be7

カパブランカの棋風を良く表している手です。形を決める
9...b5 10.Bb3 Bb7 11.d5 exd5 12.Nxd5 Nxd5 13.Bxd5 Be7
14.b3 O-O 15.Bb2 という指し方はカパブランカの好みで
はありません。そしてポーンの形を弱めることなくセンター
での争点を維持し、最大限の効果が見込める時に限りクィ
ーン側から進攻を行なうのを常としていました。

  10.a3

ここで 10.d5 exd5 11.Nxd5 Nxd5 12.Bxd5 と開戦してくれ
ば 12...O-O 13.e4 Bg4 で戦えます。

  10...b5 11.Ba2 b4 12.Na4 cxd4 13.exd4 Bd7 14.axb4

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  14...Nxb4

クィーン側で駒繰りの自由を確保し白のクィーン・ポーンを
孤立させたカパブランカの指し回しは実にみごとです。こ
れは第 25 局のピルズベリー(Pillsbury)対シュタイニッツ
(Steinitz)戦における黒の指し方からの大きな進歩です。
14...Nxd4 とこちらのポーンを取るのは 15.Rxd4 Bxa4
16.Bc4 で a ポーンを取られるので良くありません。

  15.Nc3 Bb5!

カパブランカに特徴的な単純化を図る手です。

  16.Qe5

16.Nxb5 axb5 17.Qxb5+ は 17...Nd7 で白の駒損に終わ
ります。

  16...Qb7 17.Bb3 Nd3 18.Qg3

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  18...Nxc1 19.Raxc1 Bd7 20.Bc4 Rac8 21.b3 O-O
  22.Ne5 Bb5 23.Qd3

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  23...Bxc4

23...Ba3 24.Rc2 Bb4 ならクィーン側での主導権を維持で
きたでしょう(25.Bxb5 axb5 26.Nxb5? Rxc2)。

  24.bxc4 Rfd8 25.Qe2 Qa7 26.c5

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26.Qd3 より簡明な手です。26.Qd3 に 26...Bd6 と応えら
れると白はポーンを安全に守るのに苦労したかもしれま
せん。

  26...Nd5 27.Nxd5 Rxd5 28.Ra1 a5 29.Qb5 Bxc5

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  30.dxc5

30.Rxa5 は 30...Bxd4 31.Rxa7 Rxb5 で黒良しです。

  30...Rxe5 31.Rxa5 Qe7 1/2-1/2

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カパブランカの自由闊達な指し口は、選手たちが研究に
とらわれて選択の間口を狭めていた布局においてことに
際立っています。

(第4章終わり)

投稿者 yamagishi