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「キングズ・ギャンビットの不思議」第5回

第1章 キングズ・ギャンビット受諾

ブラックバーンの貢献

ツカートルト(Zukertort)は黒が首尾よく白のセンターを攻
撃し破壊することができることを証明しました(前局を参照)。
これはパウルセンの優れた防御の構想を裏打ちしていま
す。ツカートルトの対シュタイニッツ戦の勝利は長期に渡る
影響がありました。それはガンズバーグ(Gunsberg)やそ
の他の者によってキーゼリツキー(Kieseritzky)・ギャンビッ
トへの反駁であるとみなされました。

その後ブラックバーン(Blackburn)は白にとって非常に重
要な新構想を披露しました。それは本局に最も良く現わ
れています。

【第5局】シュタイニッツ(W.Steinitz) - シュレヒター(K.Schlechter)
ウィーン(Vienna)、1897年

  1.e4 e5 2.f4 exf4 3.Nf3 g5 4.h4 g4 5.Ne5 Bg7
  6.d4 Nf6 7.Bc4 d5 8.exd5 O-O 9.Nc3 Nh5 10.Ne2 c5
  11.Nxf4

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これがブラックバーンの新機軸です。白はセンターを保持
しようとせず、黒の幾分散漫なポーンの形を乱そうとして
います。それこそがこの戦型の中心的な構想です。

  11...Ng3 12.Ne6

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  12...fxe6

ブラックバーン対パウルセン(L.Paulsen)戦(ウィーン、1873
年)では 12...Bxe6 13.dxe6 Nxh1 14.Qxg4 Qxd4 15.exf7+
Kh8 16.Qxd4 cxd4 17.Bf4 Nc6 と進み、ここで白が(実戦
の 18.Nd7? の代わりに) 18.Nxc6 と指していれば有利な
形勢でした。

  13.dxe6 Bxe6 14.Bxe6+ Kh8 15.Qxg4 Nxh1 16.Be3

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  16...cxd4

黒は 16...Nc6 17.Nxc6 bxc6 18.Rd1 Qc7 と指すほうが
簡明でした。

  17.Bxd4 17...Qxd4!

ハッとさせるクィーン切りです。黒の防御戦略はこの手に
かかっていました。そして形勢はほぼ互角のはずでした。

  18.Qxd4 Nc6

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  19.Nxc6

この手は仕方がありません。19.Qg1 とクィーンを引くのは
19...Bxe5 20.Qxh1 Bg3+ 21.Kd2 Rad8+ となり、白のクィー
ンが遊んでいるので本譜よりも黒の攻撃が強力です。

  19...bxc6

致命的な悪手です。黒は形勢を楽観していました。
19...Bxd4 20.Nxd4 Ng3 21.O-O-O なら互角の形勢でした。

  20.Qc4 Rab8

20...Nf2 なら 21.Ke2 です。

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  21.O-O-O

この手は最善手です。21.c3 は 21...Nf2 が非常に強力な
手になります。

  21...Bxb2+ 22.Kd2 Nf2 23.Rb1 Rad8+ 24.Ke2 Bg7
  25.Rb7!

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この手は後に分かるように受けに重要な役目を果たします。

  25...Rd4 26.Qxc6 Re4+ 27.Kd2 Rd4+ 28.Ke3

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  28...Nd1+

28...Re4+ は 29.Qxe4 と切られてダメです。

  29.Ke2 Bh6 30.Bf7!

30...Rf2+ からの詰みを防いでいます。

  30...Rfd8 31.Qxh6 1-0

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熱戦でしたが今日の試合ではあまり見られない波乱万丈
の展開でした。しかし評価に当たってはこの試合が 19 世
紀の巨匠たちの得意戦法に含まれる戦型から発展した試
合であるということを忘れてはなりません。当時の研究や
実戦に見られるように難解な戦術が主流だったので、昔の
達人たちが今日の我々よりもはるかに速くこの種の込み
入った局面を正しく判断する能力は高く評価できます。

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2006年05月21日 20:19に投稿されたエントリーのページです。

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