第1章 キングズ・ギャンビット受諾
古典的防御
【第8局】シュピールマン(R.Spielmann) - グリュンフェルド(E.Grunfeld)
ウィーン(Vienna)、1922年
1.e4 e5 2.f4 exf4 3.Bc4 Nc6
この手は手待ちで、黒は古典的防御への移行を意図し
ています。
4.Nf3
4.d4 と指せば白は古典的防御への移行を避けられまし
た。しかし「Larobok i Schack」によれば 4...Nf6 5.e5 d5
6.Bb5 Ne4 7.Bxf4 f6 (訳注 Fritz9 によれば 7...Qh4+ で
簡単に黒の勝勢のようです) 8.Nf3 fxe5 9.Nxe5 Bb4+
10.c3 O-O 11.O-O となって形勢はほぼ互角です。
4...g5 5.O-O d6 6.d4 Bg7
7.c3
7.Nc3 に対してはシュレヒター(Schlechter)は 7...Be6 を
推奨していました(訳注 Fritz9 によると 8.d5 で白の勝勢
です)。
7...h6 8.g3 g4 9.Nh4 f3
10.Qb3
他に考えられる手は 1922 年のテプリツ-シェーナウ
(Teplitz-Schonau)でのシュピールマン対グリュンフェルド
戦の 10.Nd2 Bf6 11.Ndxf3 gxf3 12.Qxf3 Rh7? (最善手は
12...Qe7) 13.Ng6! でシュピールマンが勝ちました。しかし
検討の結果このナイト捨ては無理筋でした。本譜で採用
された戦略はこの戦型での攻撃法の中で最も有力であ
ると考えられています。
10...Qe7 11.Nf5 Bxf5
12.exf5
12.Qxb7 は難解な戦いになります。以下 12...Qxe4
13.Bb5 Nge7 14.Qxa8+ Kd7 15.Qb7 Bxd4+ 16.cxd4 Qxd4+
17.Rf2 Qd1+ 18.Rf1 となり黒は強制的に引き分けにでき
ます。17.Kh1 は危険な手で 17...f2 が強硬な応手です。
12...Nd8
12...O-O-0 の方がより安全な手で 13.Bxf7 Qe2 14.Qe6+
Rd7 となり白は 15.Rf2 Qd1+ で引き分けにするしかありま
せん。
13.Bf4 Nf6 14.Nd2 O-O 15.h3!
15...h5 16.Bd3 Qd7 17.hxg4 hxg4 18.Kf2 Nc6
19.Rh1 Rfe8
シュピールマンは圧倒的な態勢を築きましたがここでチャ
ンスを逃がしました。20.Rh4 と指していたならば攻撃は
揺るぎないものとなっていたでしょう。黒は本譜のように
20...d5 から ...Ne4+ と指すことができません。それは f6
のナイトが g4 の守りに縛り付けられているからで、しか
も Rah1 となれば白の圧力は圧倒的だったでしょう。
20.Rh4 d5 21.Rah1 Ne7 22.Be5 Nxf5 23.Bxf6 Bxf6
24.Rxg4+ となれば攻撃は決定的です(Fritz9 によれば
23...Nxh4 で黒の方が優勢です)。
20.Bg5? d5 21.Rh4
この手は手遅れでした。
21...Ne4+ 22.Bxe4 dxe4 23.f6
23...e3+!
唯一の凌ぎ手です。
24.Bxe3 Bxf6 25.Rh5 Rxe3
今や攻守所を換え黒が攻撃する立場になりました。
26.Kxe3 Bxd4+ 27.Kd3 Rd8! 28.Kc2 Be3
29.Qc4
29...Qd3+ に備えた手です。
29...Qxd2+ 30.Kb3 Qd7 31.Re1 f2
32.Reh1
32.Rxe3 は 32...Qd1+ の後 33...f1=Q です。
32...Qe6 33.Qxe6 fxe6 34.R5h4 Rf8 35.Rxg4+ Kf7
36.Re4 Ke7 37.Rf1 Rf3 0-1