第1章 キングズ・ギャンビット受諾
ビショップス・ギャンビット
ビショップス・ギャンビット(Bishop's Gambit)はかつてはキ
ングズナイト・ギャンビット(King's Knight Gambit)よりも本
筋であると考えられていましたが、人気がなくなってきま
した。それは黒が 3...Nc6 によってこの戦法を避けること
ができること(第8局を参照)や、わざとクィーンで3手目に
チェックをかけたりせず 3...Nf6 によって大した危険もなく
センターで十分な態勢が得られることが分かったことに
よります。
【第10局】シュピールマン(R.Spielmann) - ボゴリュボフ(E.D.Bogoljubov)
カールスバート(Carlsbad)、1923年
1.e4 e5 2.f4 exf4 3.Bc4
タルタコーワ(Tartakower)博士は小ビショップス・ギャン
ビット(Lesser Bishop's Gambit)の方が良いと考えていま
した。しかし旧法の 3.Be2 f5! 4.e5 d6 5.d4 dxe5 6.dxe5
Qxd1+ 7.Bxd1 Nc6 は黒が有利となります。
3...Nf6 4.Nc3
4...c6
4...Nc6 は 5.Nf3 Bb4 6.Nd5 Nxe4 7.O-O O-O 8.d4 Nf6
9.Nxb4 Nxb4 10.Bxf4 (シュピールマン対ボゴリュボフ、
トリベルク(Triberg)、1921年)で、白が有利でした。本譜
の手はこれよりも積極的な手です。
5.d4
この手は緩手でした。5.Qf3 d5 6.exd5 Bd6 7.d3 Bg4
8.Qf2 O-O 9.Bxf4 Re8+ 10.Kf1 b5 11.Bb3 b4 12.Nce2
Nxd5 13.Bxd5 cxd5 14.Qg3 Bxe2+ 15.Nxe2 Qf6 と指す
方が良く形勢は互角でした(訳注 Fritz9 によると黒の勝
勢です)。
5...Bb4 6.Qf3
6...d5!
ビルガー(Bilguer)の「Handbuch des Schachspiels」(チェ
スのハンドブック)はここで 6...O-O 7.Bxf4 Nxe4 を推奨し
ていました。本譜の方がはるかに積極的な手です。
7.exd5 O-O 8.Nge2 cxd5 9.Bd3
9...Bg4!
黒の主導権を維持する好手です。
10.Qxf4 Bxe2!
11.Kxe2
11.Bxe2 と取るのは 11...Re8 で白のキングがキャッスリ
ングできません。シュピールマンは本譜の手の後キング
を安全な所に移すつもりです。
11...Nc6 12.Be3 Re8 13.Rhf1
Rf3 として Kf1 とするつもりです。
13...Qe7 14.Rf3 Rad8!
白の待ち受けている手には乗りません。14...Nxd4+ には
15.Qxd4 Bc5 16.Nxd5 があります。
15.Kf1 Rd6
16.Qh4
16.Kg1 は受け一方の手で 16...Bxc3 17.bxc3 Ne4! で白
の形が悪くなります。そこでシュピールマンは本譜の手
で攻撃に転じます。
16...Bxc3 17.Bg5
形勢は白の有利に転じたように見えます。しかしタルタ
コーワはここで正着を見つけます。
17...Bxd4!!
シュピールマンはここで 17...h6 18.Bxh6 Ng4 19.Bh7+!
で白に有利な複雑化を期待していたのかもしれません
(訳注 Fritz9によると 19...Kxh7 20.Bg5 Rh6 で黒の圧倒
的勝勢です)。
18.Bxf6 Qxf6 19.Qxh7+ Kf8 0-1
(第1章終わり)