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「キングズ・ギャンビットの不思議」第11回

第2章 現代のキングズ・ギャンビット受諾

キングズ・ギャンビットに対する現代防御(Modern defence)

ルイス・パウルセン(Louis Paulsen)はキーゼリツキー
(Kieseritzky)・ギャンビットでの彼の構想により黒が十分
な局勢を得ていると考えられていた時代の1884年にこの
現代的な戦型を登場させました。しかし前の戦法が難解
なのに比しこの新戦法は簡明直截的でした。この戦法は
パウルセン防御と同じくセンターの緊張の緩和という考え
に基づいていて、旧来の防御法と比べて序盤で自分の
キング側の弱体化に手を染めないという利点がありまし
た。布局における問題点はまだ徹底的には研究されて
おらず実戦での徹底的な試練も経ていないので、この防
御法の評価はまだ定まっていません。本局は最も初期
の試合の一局です。

【第11局】シャロップ(E.Schallop) - パウルセン(L.Paulsen)
ナッセングルント(Nassengrund)、1884年

  1.e4 e5 2.f4 exf4 3.Nf3 Nf6 4.Nc3 d5

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  5.exd5 Nxd5 6.Nxd5 Qxd5 7.d4 Bd6

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この局面がキングズ・ギャンビットに対する現代防御で通
常見られる局面です。黒はセンターの形を決め ...g5 と指
すことなくポーンを守ろうとします。1914年のバーデン・バ
イ・ウィーン(Baden bei Wien)で開催されたギャンビット大
会で絶えず指されたこのビショップ出は相手からの攻撃
にさらされます。

  8.c4 Qe6+ 9.Kf2 c5 10.Bd3 Qf6 11.Re1+ Kf8 12.b4

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このポーン捨ては白の最も有望な手順です。

  12...cxd4 13.c5 Bc7 14.Bb2 Nc6 15.b5 Ne5
  16.Bxd4 Bg4

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この難解な局面でパウルセンは受けの絶対手を見つけ
ました。釘付けと逆釘付けによる手筋により戦いは佳境
に入ってきました。

  17.Be4

17.Nxe5? は 17...Qh4+ ではまりです。

  17...Bxf3 18.Bxf3 Rd8 19.Kf1

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黒の狙いの 19...Rxd4 20.Qxd4 Ng4+ を避けました。

  19...g5

三つ目の駒をビショップによる釘付けの利きにさらすのは
かなり無思慮のように思われます。しかし黒は他に指し
ようがありません。それどころかこの手は 20.Bxb7 に対
するすごい狙いを秘めていました。即ち 20...f3 21.gxf3
(21.Bxf3? g4! これが 19...g5 の意味でした) Qe6! で
22...Qc4+ と 22...Qh3+ の二つの狙いがあります。見事
な受けの手筋です。

  20.b6! axb6 21.cxb6 Bb8 22.Rc1 Kg7

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パウルセンは相手のビショップの利きに四つ目の駒を置
いても指しこなせる自信を持っていたことでしょう。

  23.Rc7

絵に描いたような局面です。黒の前途は怪しそうです。し
かし白がどのように e5 のナイトに対する圧力を増すのか
というとそれはかなり難しい問題です。23.Rc5 は
23...Qxb6 24.Rexe5 (24.Rcxe5 Qxd4!) Bxe5 25.Bxe5+ f6
26.Rc7+ Kh6 というねじり合いになり、黒にとって不利で
ありません。

  23...Rxd4!

パウルセンは明らかに白の23手目を予期していました。

  24.Qxd4 Bxc7 25.bxc7 Nxf3 26.Qxf6+ Kxf6

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  27.gxf3 Rc8 28.Rc1 Ke6 29.Rc5

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  29...f6

この受けの妙技で黒はギャンビット・ポーンを守ることが
できます。皮肉にもそれを活用することはできませんでし
た。29...f5 と指すと 30.h4 g4 (30...h6 31.h5) 31.Kg2 b6
32.Rc4 Ke5 33.a4 となり、黒は f4 のポーンを犠牲にし
ないと陣形を良くすることができないし、勝てる可能性も
ごくわずかです。

  30.h4 gxh4

この手はたちどころに引き分けになります。黒は 30...b6
31.Rc6+ Ke5 32.h5 f5 33.Kg2 Kd4 を試みることもできま
した。

  31.Kg2 Kd6 32.Rf5 Rxc7 33.Rxf4 Ke5 34.Rb4

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この手は最善手です。

  34...Rc2+ 35.Kh3 Rxa2 36.Rxb7 Kf4 37.Rxh7 Kxf3
  38.Rf7 Ra6

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  39.Kxh4 Kf4 40.Kh3 f5 41.Kg2 Ra2+ 42.Kf1 Ke4
  43.Rb7

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  43...Kf3 44.Rb3+ Kg4 45.Rc3 f4 46.Rb3 Rh2 47.Ra3

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以下59手目で引き分けになりました。

パウルセンの見事な指し回しで自分のキング側の形を崩
すことなくギャンビット・ポーンを保持することができました。
最も印象深いのはセンターでの白のポーンの進攻を防い
だ素晴らしい手筋でした。今日では白の攻撃は成功する
はずだったと思わずにはいられません。しかしこの試合は
新しいシステムの最初の一局で、それゆえに完璧を期待
することはできないことを忘れるわけにはいきません。

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2006年06月08日 20:19に投稿されたエントリーのページです。

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