「CHESS通信」1258ページに「2006全米学生学年別選手権 晋作が初優勝!」という記事がありますが、その時の最終戦の棋譜が「Chess Life」2007年3月号に解説付きで掲載されました。
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オーランドで米国の学生トップ選手たちが大活躍
(前略)
9年生(日本の中学3年生)の部門では上杉晋作(2163、メリーランド州)とThomas Riccardi(2169,ニューヨーク州)が7回戦中6ポイントで同点優勝した。最終戦でRiccardiは6回戦で首位のStanley Yang(2018、テキサス州)を破り、晋作(友人からは「晋」と呼ばれている)はJayson Lian(2016、ニュージャージー州)を難解なグリュンフェルト戦法で打ち負かした。
グリュンフェルト防御(D88)
Jayson Lian(2016)-上杉晋作(2163)
全米学生学年別選手権
第7回戦、2006年12月9日
1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 d5 4.cxd5 Nxd5 5.e4 Nxc3 6.bxc3 Bg7 7.Bc4
7.Nf3 が一番多く指されている手で現在の定跡の主流となっている。
7...O-O 8.Ne2 c5 9.O-O Nc6 10.Be3 cxd4
強い選手ほどこの交換をもう2,3手保留する。
11.cxd4 Bg4 12.f3 Na5 13.Bxf7+
この手はセビリア戦法と呼ばれている。1987年にスペインの同市での世界選手権戦カスパロフ対カルポフ戦で初めて指されてそう呼ばれるようになった。通常の手は 13.Bd3 Be6 14.d5 Bxa1 15.Qxa1 である。
13...Rxf7 14.fxg4 Rxf1+ 15.Kxf1 e5 16.d5 Nc4 17.Qb3
この手はおかしかった。本筋は 17.Bf2 Qf6 18.Kg1 か 17.Qd3 b5 (17...Nxe3+ もある)である。
17...Rc8
晋の知っていた定跡手順はここまでだった。
18.Rc1 b5 19.Kg1 a6 20.Ng3
次にナイトを f1 に引いて e3 のビショップを守る意図だが受け一方になってしまった。
20...Bf8 21.Nf1 Qa5 22.a4?
黒にやらずもがなのパスポーンを許してしまった。晋は勝勢になったと感じていた。
22...bxa4
クイーンを交換する 22...Qxa4 も同じくらい良い手だった。しかし多分晋は白キングの方が黒キングよりもっと危ないと判断したのだろう。
23.Qb7 Nd6
晋は 23...Rc7 は 24.Qb8 で最下段に問題を抱えると見て選択しなかった。
24.Qd7 Rxc1 25.Bxc1 a3 26.Bd2
26...Qb5
フリッツによればは 26...Qb6+ の方が良く以下 27.Be3 (27.Kh1? は 27...Qf2! で負け) Qb2 (a3-a2-a1 を狙う 27...Qb1? は白に 28.Bc5 a2 29.Qe6+ Nf7 30.Qe8
という面白い手があり黒は 30...Qxf1+ 31.Kxf1 a1=Q+ 32.Ke2 Qb2+ 33.Kd1 Qb1+
というようにクイーン切りから千日手を狙うしかない)
28.Qe6+ (28.Bc5 a2 29.Qe6+ Kg7 は前の変化と異なり今度は黒クイーンが e5 のポーンに利いているので成立しない) Kg7
となりここで意表の 29.Bh6+ は 29...Kxh6 30.Qf6 Qb8 31.g5+ Kh5 32.Ng3+ kh4 33.Qf2 Kxg5 34.Qe3+ Kf6 35.Qxa3
でうまくいかない。黒は駒得でしかもa筋にパスポーンまであり、白から心配な手がない。もっともコンピュータの分析の使えない実戦でこのような変化を指すのは恐いものである。
27.Qe6+ Nf7 28.d6 Qb6+ 29.Ne3 Qxd6 30.Qd5 Qxd5 31.exd5
31...Bc5 32.Kf2 Bd4 33.Ke2 a2 34.Nc2 a1=Q 35.Nxa1 Bxa1 36.Kd3
36...Nd6 37.Bb4 e4+ 38.Ke3 Be5 39.Bxd6 Bxd6 40.Kxe4
40...Bxh2 41.Kd4 Bd6 42.Kc4 Kf7 43.g5 Be7 44.g4 Bxg5
白投了 0-1
晋は最近は定跡の勉強にほとんどの時間を割いている。これはコーチのVictor Shermanが一番の弱点と指摘しているためだ。晋はグリュンフェルトに加えて非常に高度な定跡のスベシュニコフも指す。彼の好きな本は「Nunn’s Chess Openings」だそうだ。
(後略)
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