「Chess Life」2001年10月号(2/3)
インタビューの続き
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ブライアン・キリグルー「子供と指す方が好きですか、それとも大人との方が好きですか?気持ちの上で何か違いがありますか?」
ヒカル・ナカムラ「多分同じだと思います。相手が同じくらいの強さでなくても自分と同じくらいの強さだと思って指すのであまり違わないと思います。」
ブ「1999年にグランドマスターのストリプンスキーを破った時その経験がもっとチェスに集中するのに役立ちましたか?」
ヒ「あの時はとても感動しました。彼は僕が初めて勝ったグランドマスターでした。あの時彼は僕より断然強い相手でした。僕はマスターにやっとなったばかりでしたから。愉快だったです。実際は途中では負けの形勢だったのでそれだけあの勝ちが嬉しかったです。僕でもあのレベルの選手に勝てると実感できました。」
ブ「ボビー・フィッシャーの記録を破ってアメリカの最年少GMになれると考えたことがありますか?」
ヒ「フィッシャーはアメリカの最も偉大な選手です。彼の記録を破れるかどうかは分かりません。でもそれに近づくだけでもすごいことだと思います。」
ブ「いろいろな所に行ってますが他の国に行くのは好きですか?」
ヒ「はい、行ったことのない所へ行って名所を見るだけでも楽しいです。大体1日か2日観光のために泊まるようにしています。」
ブ「尊敬するチェス選手はいますか?」
ヒ「カスパロフです。彼の攻撃的な棋風が好きです。」
ブ「今年は3大会でIM基準を3回達成するというようにおおわらわでしたね。IM称号を獲得した時はどんな気持ちでした?」
ヒ「IMになれてとても満足しています。勿論それが最終目標ではなくGMになりたいです。それが次の目標です。」
ブ「大抵の選手にはトレーナーがついているのに、1人でたくさん勉強しているようですが。」
ヒ「猛勉強しているのでトレーナーは必要ありません。自分でやるのが好きなんです。」
ブ「現在の世界チャンピオンは誰だと思いますか?」
ヒ「今現在は二人の正統な世界チャンピオンがいます。クラムニクとアナンドは二人とも正統な世界チャンピオンです。クラムニクの方がアナンドよりもずっと正統です。多くの人が真の世界チャンピオンだと考えているカスパロフを破ったのは彼ですから。アナンドはFIDE世界選手権戦で優勝しました。でもあまりはっきりしません。ハリフマンがFIDE称号を獲得した時誰も彼を世界チャンピオンと呼ばなかったのですから。」
ブ「カスパロフに勝てるのはクラムニクだけのようなのに、カスパロフが絶対負けない他の選手にクラムニクは負けることがあるようですね。」
ヒ「そうなんです。カスパロフはクラムニク以外のトップの選手たちにはうまく指します。でもクラムニクはどういうわけかカスパロフ相手にはうまく指すのに他のトップの選手たちにはそれほど多く勝っていません。」
ブ「スポーツが好きなようですがどういう所がそんなに面白いのですか?」
ヒ「試合に勝つための動きやドラマそれにプレッシャーが好きです。一番好きなのは戦いです。テニスもしています。プロスポーツ特に野球、バスケットボールそれにフットボールを見るのも好きです。いつも全力を尽くす選手を特に尊敬しています。僕もチェスで全力を尽くすようにしています。」

ブ「チェスはスポーツだと思いますか?」
ヒ「精神のスポーツだと思います。肉体のスポーツだとは思っていません。体は必要ありませんが頭脳が必要です。」
ブ「チェスのどこが一番好きですか?」
ヒ「序盤、戦術、終盤を始め全部好きです。他のスポーツには問題を解くことや手筋がありませんがチェスにはあります。そういった要素が全部組み合わさっているところが好きです。」
ブ「チェスで勝つことはどのくらい重要ですか?」
ヒ「勝つことは非常に大切です。それはより高いレベルに上げてくれるからです。でも勝つことだけが重要なのではありません。」
ブ「他に大切なことは何ですか?」
ヒ「負けた試合も大切です。自分のミスを学びますし、それにいつも勝っていたら自分が多くのミスをしていると考えないでしょう。自分のやっていることはいつも正しいと考えて自分の試合を省みなくなるでしょう。」
ブ「では負けることは上達するために大切なのですね?」
ヒ「負けはどこを上達させるか理解するのを助けるために大切です。」
ブ「お父さんもお兄さんもマスターという強いチェス選手のいる一家の一員ですね。このような環境の中で育ったことはどのような影響がありましたか?お互い助け合いますか?」
ヒ「それはとても大きなことでした。自分の周りがチェスだらけだったからです。確かに大事な試合ではお互いに励まし合います。それに家族に幾人もチェス選手がいる時は一緒にチェスのことを話したり研究したりできます。」
ブ「オクラホマ州のタルサで行われる米国ジュニア招待ではお兄さんのアスカ君も参加することになっていますね。お兄さんと対戦するのはどんな気持ちですか?」
ヒ「兄とは他の選手の時と同じように戦うつもりです。兄とはこれまでブリッツ大会で何回か対戦したことがあり気持ちよく指せました。特に変わったことはありません。楽しいくらいです。」
ブ「しばらくの間勉強はお母さんが在宅教育してくれたそうですがそれはどんな具合でした?」
ヒ「それは断然良いです。大会に参加するのが以前より楽でした。学校ではチェスの大会のことを理解してくれないしチェスがとても大切だとも考えてくれません。米国では以前のようにチェスを指すことが大切だと考えられなくなっています。フィッシャーがスパスキーと対戦した70年代は米国でも皆チェスが大切だと考えていました。チェスは猛勉強が必要なのにほとんどの人はそれが分かっていません。」
ブ「若い選手たちのために何かアドバイスがありますか?」
ヒ「人間を相手に多くのチェスを指すことです。それは僕がレイティングが1800あるいは1900くらいになるまでしてきたことです。人間を相手にたくさん指すことは本当に大切です。ある程度のレイティングになるまではたくさん勉強することはそれほど重要ではありません。実戦の方がもっと重要です。レイティングがある所から上がらなくなったら本格的に勉強を始めるべきです。ある所までは実戦が上達のためのカギです。」
ブ「どうして皆チェスを指すのでしょう?」
ヒ「僕たちがチェスを指すのはいろいろな要素が全部組み合わさって非常にワクワクし興味深く面白いゲームになっているからだと思います。」
ブ「これまでチェスをしてきて最も誇りに思うことは何ですか?」
ヒ「誇りに思っているのは米国の最年少のマスターになったことと、米国の最年少のインターナショナル・マスターであるということです。」
ブ「将来の目標は何ですか?」
ヒ「本当の目標は2年くらいでGMになることです。」
ブ「長期的な目標は何ですか?」
ヒ「2600台の強いグランドマスターになりたいです。どのくらい上まで行けるかは分かりません。でも行けるところまで行くつもりです。」

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(この号続く)