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2007年11月 アーカイブ

2007年11月02日

「ヒカルのチェス」(40)

「Chess Life」2001年9月号(2/2)

前回の続きで、ヒカルへの優勝者インタビューが掲載されています。

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IMヒカル・ナカムラ

13歳のヒカルは K-12 部門で 6.5 ポイントで同点優勝した。彼が大会への参加を決めたのは木曜の夜で、試合開始の半日前だった。

ジェニファー・シャヘード「今どんな気持ちですか?」

ヒカル・ナカムラ「嬉しいです。7-0 ならもっと良かったけど。」

ジェニファー「チェスでの当面の目標は何ですか?」

ヒカル「できるだけ早くグランド・マスターになることです。」

ジェニファー「好きな選手は誰ですか?」

ヒカル「カスパロフとおかしくなる前のフィッシャーです。」

ジェニファー「たった13歳でIMになるのに最も役立った本は何ですか?」

ヒカル「本はそんなに見ません。普通はコンピュータで1日2時間くらい研究します。」

ジェニファー「昔の名局は見ないんですか?」

ヒカル「そんなに見ません。時間の無駄だと思います。」

ジェニファー「何千人もの参加者の中で試合をするのはどんな気分ですか?」

ヒカル「楽しいです。チェスを指す多くの若者がいるのは良いことだと思います。子供たちには未来があります。」

ジェニファー「これからどのように優勝を祝いますか?」

ヒカル「特に祝うことはありません。次の大会に備えるだけです。」

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(この号終わり)

2007年11月05日

上杉くんの名前がグランプリに(3)

「Chess Life」2007年8月号で3位に下がり、9,10月号で名前が消えた上杉君が、11月号で3位に復活しました。

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2007年11月09日

チェスとドーピング

朝日新聞電子版より
「セーリング、チェス選手が薬物違反 2年間資格停止処分」
http://www.asahi.com/sports/update/1109/JJT200711080012.html

スポーツ報知電子版より
「チェスの高橋雅美選手がドーピング…2年間の資格停止処分」
http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20071108-OHT1T00210.htm
『常用していた血圧の薬を治療目的として申請しなかったミスが要因とみられ、大会を辞退した。』と書いてあります。

「ヒカルのチェス」(41)

「Chess Life」2001年10月号(1/3)

米国チェス史上最年少でIM(インターナショナル・マスター)になったヒカルが表紙を飾りました。

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表紙の説明の文章

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Y071109B.JPG ヒカル・ナカムラはチェス界の最年少スターの1人だが、写真の被写体としても興味ある対象である。

 彼はおとなしく座っているのはどうしても性に合わない。活発な13歳の少年なのだからやることのできることで最も気が乗ることではない。勿論チェスを指している時はその限りではない。

 しかし彼は協力的な人間だった。そして表紙の写真の撮影の時にはわざわざお気に入りのジャンパーを着てくれた。



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目次のページに米国のそれぞれの選手権者の顔写真が掲載されています。2001年米国ジュニア選手権者となったヒカルの写真も掲載されています。

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本誌で3ページに渡ってヒカルの特集記事が掲載されました。

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チェスのプロフィール

ヒカル・ナカムラが米国最年少のインターナショナル・マスターに

インタビューと写真 ブライアン・キリグルー

 ヒカル・ナカムラは 1998 年突如米国チェス界になだれ込んできた。その時彼はまだ10歳79日でわずか3年の棋歴で米国チェス史上最年少でマスターになった。

 翌年彼はGMアレグザンダー・ストリプンスキーを破って、正規の持ち時間の試合でグランドマスターを破った最年少の選手の1人となった。これまでに全国学校選手権に8回優勝している。2001年には土壇場で参加を決めた2001年高校選手権でも優勝した。世界青年選手権には過去4年間米国の代表の1人として出場し2001年には4位に入賞した。

 2001年2月にハンガリーのエゲルで3度目のIM基準を達成し現在は米国最年少のIM称号保持者となっている。

 ヒカルは瞬く間にこれほどのことを成し遂げたがまだ13歳の少年である。彼の部屋の4フィート(約1.2メートル)と5フィート(約1.5メートル)の優勝トロフィーの間にはスポーツのポスター、ゲームの詰まった道具箱、それから自分で組み立てたレゴのテニスコートが置いてある。近くで誰も聞いていない時には彼はスポーツのアナウンサーになったつもりで架空のマイクロフォンに向かってひいきのフットボールチームのテネシー・タイタンズの実況中継をやっている。

 この若い才能が記録破りのペースを続けることができればボビー・フィッシャーの持つ米国最年少グランドマスターの不滅の記録も射程距離に入るだろう。

Y071109D.JPG ブライアン・キリグルー「チェスを初めて指し始めたのはいつ頃ですか?誰かに教わったのですか、それとも自分で覚える気になったのですか?」

ヒカル・ナカムラ「自分で覚えようと思いました。その頃父(FMスニル・ウィラマントリー)と兄が真剣にチェスを指していて、僕がよくその回りにいたからです。」

「それは何歳の時でした?」

「7歳です。」

「何でこんなに早く強くなったのですか?」

「覚えたての頃父がいろいろ教えてくれました。僕がマスターになれるまで本当に一緒に猛勉強しました。」

「最初の頃の大きな節目は97年にマーシャル・チェスクラブでインターナショナル・マスターのジェイ・ボーニンを負かした時ですね。それはマスターを目指すことに役立ちましたか?」

「父は最年少のマスターを目指してはどうかと言ってくれました。実際そこまで行けるとは思いませんでした。でもやってみる価値はありました。それで本当に必死で勉強しました。1998年版の『世界記録のギネスブック』にはビナイ・バートが10歳176日で米国の最年少マスターになった記録が載っていました。僕が目指したかったのはその記録でした。でも僕がビナイの記録を破った後ギネスはその記録を載せなくなってしまいました。」

「記録を破った時どんな気持ちでした?」

「大きな出来事でした。でも公式に発表されるまでは全然確信がありませんでした。なぜならかなりの差で破ったのにその後の大会の成績が悪かったので。レイティングが発表され本当になった時はとても嬉しかったです。」

「マスターになった後突然メディアから多くの注目を受けるようになったけど、人前に出ることにはどのように対処しましたか?」

「あんなに注目されるとは全然予想していませんでした。少し落ち着きませんでした。あんなに記者が来るとは。たちどころにでした。CBSニュースのゲーリー・アップルが僕にインタビューするためにホワイト・プレーンズのリッジウェー小学校にやって来ました。僕は全部の大ネットワークやたくさんの新聞や雑誌に出ました。『危険!』という番組の問題にさえ名前が出ました。何ヶ月か後にテレビでヤンキースの試合を見ていたらニューヨーク・タイムズのコマーシャルが流れました。画面に僕と兄のアスカと母の写真が映った時には信じられない気持ちでした。僕たちが新聞の1面に載った時の写真でした。」

「『リージスとキャシー・リーと一緒に生で』にも出ましたね。」

「はい、でもそれまでトーク・ショーには出たことがなかったので少し不安でした。リージスは僕を落ち着かせようとしてくれました。一度は僕の靴ひもがほどけているよと言って観客をみんな笑わせました。チェスではある駒は他の駒よりもっと価値があることを彼が分かっていなかったことを覚えています。ショーに出たことはとても楽しかったです。」

「チェスの勉強はどのようにしているのですか?」

「勉強にはコンピュータを使っています。それから定跡や自分の試合の棋譜を研究しています。コンピュータ相手に試合をすることもあります。」

「負けた試合は調べますか?」

「はい、ひどい負けの場合は特にそうです。」

「負けた時はどんな気持ちですか?試合に負けたことで落ち込みますか、それとも何か学ぼうとしますか?」

「それはどのくらいひどい負けかどうかによります。接戦で手も足も出なかったのでなければ少し気持ちがぐらつきます。でも完全に圧倒された時は普通は試合から何か学ぼうとします。」

「大人と指すのと比べて子供と指すのは気持ちの上で何か違いますか?」

「米国内では大人と指す時の方がずっと手ごわいです。でも世界ユースのような国際大会で指す時は同じくらいの年の子供だけしかいません。国内では同じくらいの強さの子供と指すことはそれほど多くないのできついです。ヨーロッパの大会に出てくる子供は皆強いので指すのは大変です。」

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(この号続く)

2007年11月16日

「ヒカルのチェス」(42)

「Chess Life」2001年10月号(2/3)

インタビューの続き

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ブライアン・キリグルー「子供と指す方が好きですか、それとも大人との方が好きですか?気持ちの上で何か違いがありますか?」

ヒカル・ナカムラ「多分同じだと思います。相手が同じくらいの強さでなくても自分と同じくらいの強さだと思って指すのであまり違わないと思います。」

「1999年にグランドマスターのストリプンスキーを破った時その経験がもっとチェスに集中するのに役立ちましたか?」

「あの時はとても感動しました。彼は僕が初めて勝ったグランドマスターでした。あの時彼は僕より断然強い相手でした。僕はマスターにやっとなったばかりでしたから。愉快だったです。実際は途中では負けの形勢だったのでそれだけあの勝ちが嬉しかったです。僕でもあのレベルの選手に勝てると実感できました。」

「ボビー・フィッシャーの記録を破ってアメリカの最年少GMになれると考えたことがありますか?」

「フィッシャーはアメリカの最も偉大な選手です。彼の記録を破れるかどうかは分かりません。でもそれに近づくだけでもすごいことだと思います。」

「いろいろな所に行ってますが他の国に行くのは好きですか?」

「はい、行ったことのない所へ行って名所を見るだけでも楽しいです。大体1日か2日観光のために泊まるようにしています。」

「尊敬するチェス選手はいますか?」

「カスパロフです。彼の攻撃的な棋風が好きです。」

「今年は3大会でIM基準を3回達成するというようにおおわらわでしたね。IM称号を獲得した時はどんな気持ちでした?」

「IMになれてとても満足しています。勿論それが最終目標ではなくGMになりたいです。それが次の目標です。」

「大抵の選手にはトレーナーがついているのに、1人でたくさん勉強しているようですが。」

「猛勉強しているのでトレーナーは必要ありません。自分でやるのが好きなんです。」

「現在の世界チャンピオンは誰だと思いますか?」

「今現在は二人の正統な世界チャンピオンがいます。クラムニクとアナンドは二人とも正統な世界チャンピオンです。クラムニクの方がアナンドよりもずっと正統です。多くの人が真の世界チャンピオンだと考えているカスパロフを破ったのは彼ですから。アナンドはFIDE世界選手権戦で優勝しました。でもあまりはっきりしません。ハリフマンがFIDE称号を獲得した時誰も彼を世界チャンピオンと呼ばなかったのですから。」

「カスパロフに勝てるのはクラムニクだけのようなのに、カスパロフが絶対負けない他の選手にクラムニクは負けることがあるようですね。」

「そうなんです。カスパロフはクラムニク以外のトップの選手たちにはうまく指します。でもクラムニクはどういうわけかカスパロフ相手にはうまく指すのに他のトップの選手たちにはそれほど多く勝っていません。」

「スポーツが好きなようですがどういう所がそんなに面白いのですか?」

「試合に勝つための動きやドラマそれにプレッシャーが好きです。一番好きなのは戦いです。テニスもしています。プロスポーツ特に野球、バスケットボールそれにフットボールを見るのも好きです。いつも全力を尽くす選手を特に尊敬しています。僕もチェスで全力を尽くすようにしています。」

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「チェスはスポーツだと思いますか?」

「精神のスポーツだと思います。肉体のスポーツだとは思っていません。体は必要ありませんが頭脳が必要です。」

「チェスのどこが一番好きですか?」

「序盤、戦術、終盤を始め全部好きです。他のスポーツには問題を解くことや手筋がありませんがチェスにはあります。そういった要素が全部組み合わさっているところが好きです。」

「チェスで勝つことはどのくらい重要ですか?」

「勝つことは非常に大切です。それはより高いレベルに上げてくれるからです。でも勝つことだけが重要なのではありません。」

「他に大切なことは何ですか?」

「負けた試合も大切です。自分のミスを学びますし、それにいつも勝っていたら自分が多くのミスをしていると考えないでしょう。自分のやっていることはいつも正しいと考えて自分の試合を省みなくなるでしょう。」

「では負けることは上達するために大切なのですね?」

「負けはどこを上達させるか理解するのを助けるために大切です。」

「お父さんもお兄さんもマスターという強いチェス選手のいる一家の一員ですね。このような環境の中で育ったことはどのような影響がありましたか?お互い助け合いますか?」

「それはとても大きなことでした。自分の周りがチェスだらけだったからです。確かに大事な試合ではお互いに励まし合います。それに家族に幾人もチェス選手がいる時は一緒にチェスのことを話したり研究したりできます。」

「オクラホマ州のタルサで行われる米国ジュニア招待ではお兄さんのアスカ君も参加することになっていますね。お兄さんと対戦するのはどんな気持ちですか?」

「兄とは他の選手の時と同じように戦うつもりです。兄とはこれまでブリッツ大会で何回か対戦したことがあり気持ちよく指せました。特に変わったことはありません。楽しいくらいです。」

「しばらくの間勉強はお母さんが在宅教育してくれたそうですがそれはどんな具合でした?」

「それは断然良いです。大会に参加するのが以前より楽でした。学校ではチェスの大会のことを理解してくれないしチェスがとても大切だとも考えてくれません。米国では以前のようにチェスを指すことが大切だと考えられなくなっています。フィッシャーがスパスキーと対戦した70年代は米国でも皆チェスが大切だと考えていました。チェスは猛勉強が必要なのにほとんどの人はそれが分かっていません。」

「若い選手たちのために何かアドバイスがありますか?」

「人間を相手に多くのチェスを指すことです。それは僕がレイティングが1800あるいは1900くらいになるまでしてきたことです。人間を相手にたくさん指すことは本当に大切です。ある程度のレイティングになるまではたくさん勉強することはそれほど重要ではありません。実戦の方がもっと重要です。レイティングがある所から上がらなくなったら本格的に勉強を始めるべきです。ある所までは実戦が上達のためのカギです。」

「どうして皆チェスを指すのでしょう?」

「僕たちがチェスを指すのはいろいろな要素が全部組み合わさって非常にワクワクし興味深く面白いゲームになっているからだと思います。」

「これまでチェスをしてきて最も誇りに思うことは何ですか?」

「誇りに思っているのは米国の最年少のマスターになったことと、米国の最年少のインターナショナル・マスターであるということです。」

「将来の目標は何ですか?」

「本当の目標は2年くらいでGMになることです。」

「長期的な目標は何ですか?」

「2600台の強いグランドマスターになりたいです。どのくらい上まで行けるかは分かりません。でも行けるところまで行くつもりです。」

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(この号続く)

2007年11月18日

チェス500名局(1)

「チェス500名局」
タルタコーワ、デュ・モン著

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 はしがき

 本書には固有の価値を持つ棋譜が収められている。古今の棋譜には傑出した内容の棋譜が多数存在するが、ここではチェスの歴史においてそれぞれの時代を代表する名局が選ばれている。

 棋譜を定跡別に分類しそれぞれの中では年代順に並べることにより、棋譜の学習的な価値が増すことを期待した。

 布局の特性はしばしば中盤に及び、またポーン構造の特徴によっては終盤にまで影響を及ぼす可能性がありしばしばそうなることがあることは銘記しておいた方が良い。本書のような編集は布局定跡の標準的な棋譜集を補うものと見ることもできる。

 著者らは全体の校正に多大の労苦をして頂いたカステヨ氏およびコレス氏、援助をして下さったその他の方たちに感謝の意を表したい。

 さらにジョーン・キーリー嬢、現ロナルド・スミス夫人には特に感謝したい。彼女は8千局もの棋譜から、最終的な選択のために2千局以上をコピーし一部は訳すという偉業を、類まれな完璧さと正確さで行なってくれた。

 タルタコーワ、デュ・モン

第1部 開放型

第1章 ジュオコ・ピアノ

第1局

白 ブレダウ
黒 フォン・デル・ラーザ
1839年、ベルリン

 モーフィーの確立した偉大な原則-ポーン中原の形成、役駒の最速の展開(たとえ数量損をしても)、攻撃の筋のこじ開け、深く進攻したポーンの絶大な効果-これらは全て古い本局に既に見かけられる。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.c3

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 次にポーンをd4に突くことによりポーン中原を確立する構想。今のチェスが生まれた頃から既に知られ認められている構想である。

4...Qe7

 初期の頃の防御法の一つ。

5.d4 Bb6

 前の手と関連した手。黒は明らかにe5の地点を保持したがっている。もし 5...exd4 と中原を放棄すれば白は 6.O-O とポーンを犠牲にして(6...dxc3 7.Nxc3)圧迫を強め、黒にとっては面倒なことになるだろう。

6.O-O d6 7.a4

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 黒が放置すれば白が駒得をする。つまり 8.a5 Bxa5 (8...Nxa5 は 9.Rxa5 Bxa5 10.Qa4+ でビショップが取られる) 9.Rxa5 Nxa5 10.Qa4+ Nc6 11.d5 a6 12.dxc6 b5 13.Bxb5 で白が駒得を維持する。

7...a5

 7...a6 8.b4 という変化もある。

8.Be3 Nf6

 8...exd4 9.cxd4 Qxe4 とポーンをかすめ取るのは 10.Re1 で、キングとクイーンが直列に並んでいるので黒の方が困る。

9.dxe5

 9.Nbd2 として中原の争点を維持することもできた。

9...Nxe5 10.Nxe5 dxe5 11.Bxb6 cxb6 12.Nd2 O-O 13.Qe2

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13...Bd7

 13...Be6 で単純化を目指す代わりに、黒はもっと積極的な行動を取る。

14.Rad1

 白はポーン損をかえりみずに展開を急ぐ。

14...Bxa5 15.b3 Bc6 16.f4

 f筋を開けるのは重要である。

16...Rad8 17.fxe5 Qxe5 18.Rf5

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18...Qd6

 18...Qe7 と逃げるのは 19.e5 b5 20.Ne4 で白の圧迫がさらに効果的になる。

19.e5 Qc5+ 20.Kh1 Ne4

 駒交換により一息つけようという黒のもくろみは失望に終わる。しかし 20...Nd5 と逃げるのは 21.e6 と突かれるし、20...Nd7 又は 20...Rde8 には 21.Rdf1 とルークを重ねられて白の優勢は動かない。

21.Nxe4 Rxd1+ 22.Qxd1 Bxe4

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 攻撃的なルークが逃げてくれることを期待している(例えば 23.Rg5 なら 23...h6 24.Rh5 Bg6 の後 25...Qxe5、又は 23.Rh5 なら 23...Bg6 24.Rg5 Qe3)。それよりも面白いのは本譜の以下のドラマで、敏感なf7の地点を巡って展開される。

23.Rxf7 Rxf7 24.Qd8+ Qf8 25.Bxf7+ Kxf7 26.e6+ Kg8 27.e7 黒投了

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 このポーンの働きが攻撃の決め手になった。

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2007年11月21日

「ヒカルのチェス」(43)

「Chess Life」2001年10月号(3/3)

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キングズ・インディアン防御 [E61]
白 GMアレハンドロ・ホフマン(Alejandro Hoffman)
黒 ヒカル・ナカムラ (2289)
1999年 米国オープン

自戦解説 IM ヒカル・ナカムラ

アルゼンチンのGMアレハンドロ・ホフマンはラスベガスのシーザーズ・パレスでの1999FIDE世界選手権戦に参加後にレノにやって来ました。

1.d4 Nf6 2.c4 g6 3.Nc3 Bg7 4.Nf3 O-O 5.Bf4 d6 6.h3 c5 7.d5

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7...a6

ホフマンは1992年のオゾリンク(Ozolinck)戦で同じ局面を指しています。その試合では黒が 7...Nbd7 と指し白が 34 手で勝っています。

8.a4 Nh5

これは新手です。それまで指された手は 8...Re8 (ザイチク(Zaichik)対コズル(Kozul)、1988 年トビリシ)と 8...Qa5 (ナギ(Nagy)対レシカ(Resika)、1998 年セゲド(Szeged))です。

9.Bd2

9.Bh2!? e5 10.e3 Nf6 は形勢互角です。

9...f5 10.e3 e5

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11.dxe6e.p.

白は有利を目指すなら取らなければなりません。11.Be2?! Nf6 12.O-O Qe7 13.a5 Nbd7 は互角の形勢です。

11...Bxe6 12.Be2 Nc6 13.O-O f4?

13...Nf6 と指す方が勝りました。

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14.Nd5?!

白は 14.exf4 Nxf4 15.Bxf4 Rxf4 16.Qd2 Qf8 17.Rad1 Rd8 18.Ng5 のように f4 の地点で駒を交換すべきでした。

14...Bh6 15.Ra3!? Bxd5 16.cxd5 Ne7 17.e4 Nf6 18.Qb1 g5

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19.a5

ここでは 19.e5! Nfxd5 20.Bd3 Rf7 21.e6 Rg7 22.Re1 と指す方が勝りました。

19...Ng6 20.b4 cxb4 21.Bxb4 Qe7 22.Bd3 g4 23.Nd4 Nh4 24.hxg4 Nxg4

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25.Ne6?

25.Nf5 も 25...Nxf5 26.exf5 Qh4 でだめです。白は黒のルークを攻めるよりも自陣の守りを固めるべきでした。つまり 25.Be2 Ne5 (25...Nxg2? は 26.Bxg4 Qh4 27.Be6+ Kh8 28.Rh3 Qg5 29.Nf3 Qg6 30.Bc3+ Bg7 31.Bf5 Rxf5 32.exf5 Qg4 33.Bxg7+ Qxg7 34.f6 Qg8 35.Qxh7+ Qxh7 36.Rxh7+ Kxh7 37.Kxg2 でだめです) 26.Kh1 と指す方が良かったのです。

25...Nf3+!

ナイトの二丁捨ての開始です。

26.gxf3 Qh4 27.fxg4 Qxg4+ 28.Kh2 Qh4+

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29.Kg1 Qg4+ 30.Kh2 Qh4+

持ち時間がとても少なくなっていて 40 手目に早く到達するために2回同じ手順を繰り返しました。

31.Kg1 Kf7

g筋を空けて詰みを狙います。

32.Bc3 b5

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白クイーンがチェックでb7のポーンを取って侵入して来る手を防がなければなりませんでした。

33.Bg7?

この手が敗着でした。33.Rc1 f3 (33...Rg8+? は 34.Bg7 Bxg7 35.Rc7+ でだめです) 34.Bg7 Qg4+ 35.Kf1 Bd2 36.Nf4 Qh4 37.Rc7+ Kg8 38.Kg1 Bxf4 も同様です。白は 33.Rd1! Rg8+ 34.Bg7 Bxg7 35.Kf1 Bb2 36.Qxb2 f3 37.Ke1 Rg1+ 38.Kd2 Qxf2+ 39.Kc3 Rc8+ 40.Kb3 Qxb2+ 41.Kxb2 Rxd1 と指すべきで互角の形勢でした。

33...Qg4+ 34.Kh2 f3 35.Rg1 Qh4# 黒勝ち

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この試合に勝って自分の部門で単独首位になりさらにもう1人のグランドマスターにも勝ちました。

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9.Bd2 の変化の 9.Bh2 e5 は 10.dxe6e.p. でd6のポーンが落ちるので 9...f5 の間違いかもしれません。

(この号終わり)

2007年11月26日

実戦に役立つエンディング(1)

実戦に役立つエンディング (Practical Chess Endings)
   パウル・ケレス (Paul Keres)

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 序文

 チェスのオープニング定跡、中盤戦、大会そして実戦集については無数ともいえる数の本が世界中で出版されてきた。しかしエンディングについては試合の最も重要な部分の一つにもかかわらず比較的少ない数の本しか書かれてこなかった。

 実際のところ終盤戦の良い指し方や勉強にかけた時間の報酬の重要性は強調してもし過ぎることはない。本書の目的は読者に終盤戦における実戦的な知識を伝えることにある。

 多くのチェス愛好家は終盤戦が退屈だと考えているために勉強することを毛嫌いしている。ある程度はそれも正しい。というのはエンディングの定石は内容が比較的無味乾燥で、正確な読みを必要とし個人の想像力を発揮する余地がほとんどないからである。それでもこの分野には面白さが多くあり、全てのチェス愛好家は必要な技術をマスターすることにより自らの技量を向上させるように努めるべきである。

 本書では基本原則に的を絞るために例題の数を減らし通常よりも説明を詳しくするようにした。これにより終盤の理論がいくらかでも楽しく感じられることを期待した。必然的に多くの理論的に片寄った分析を排し、実戦に最も役立つような教材に制限することになった。

 本書を上梓するにあたりエンディングに対する興味を喚起すると共に、一般的なチェス選手の終盤の平均的な技術レベルの向上につながれば幸いである。

パウル・ケレス(Pau Keres)
1972年7月 タリン(Tallinn)にて

 はじめに

 チェスの試合は普通はオープニング、中盤およびエンディングの三つの段階からなっている。オープニングでは対局者は最も効果的に自分の駒を展開し有利な中盤戦の可能性が得られるように努める。中盤は最も内容豊かで明らかに最も難しい部分である。そこでは対局者は決定的な有利あるいは少なくとも優勢な終盤を目指す。そして最後のエンディングはオープニング又は中盤で得た有利を勝ちにつなげなければならない段階である。

 結果的にエンディングは試合の最も重要な段階の一つであることは明らかである。オープニングや中盤では不正確な手あるいははっきりした悪手を指しても必ずしも敗勢の局面に陥らない冗長さがある。これはこの二つの段階では複雑さのために相手の誤りに気付き咎めることが実戦では困難なことがあるという事実により説明できる。これに反して終盤では悪手は決定的な局面になり易く、またチャンスが巡ってくることはまれである。

 終盤技術を完璧にする必要性は証明するまでもなく明らかである。世界の一流のチェス選手達はこの分野に格段の注意を払い、現代の見事な終盤の試合を数多く見ることができる。

 確かに純粋に技術的な観点からは終盤の勉強は例えばオープニングの定跡や中盤の戦略よりもはるかに面白さに欠けると認めざるを得ない。しかしこの勉強は必須であり、少なくともほとんどのエンディングは勝ちや引き分けの可能性の正確な分析に役立つという有利な面がある。

 以降の本文では実戦的な種々のエンディングの正確な手順のための最も重要な原則を読者に説明するように努めた。現在の終盤理論は全体では分厚い何冊もの本になるということは誰にも分かる。それは少し覗き見しただけでもしり込みしてしまうような分量である。それゆえに本書の目的は膨大な資料から最も実戦に役立つエンディングを厳選することにより幾分なりとも読者の負担を軽くすることにある。例えばチェス用語の必須のイロハを用いながらすべての基本的な終盤の局面を分析する。そのようなやり方を軽んじてはいけない。偉大な選手の中には終盤に弱点があった選手も知られている。

第1章 初歩のエンディング

 本章ではすべての選手にとって基本中の基本に属しことさら詳しい説明を必要としない局面について考察する。ここでわざわざ採り上げるのは完璧を期すためである。まず、単独のキングを詰めるのに必要な駒の組み合わせを調べる。

1.1 キング+クイーン対キング

 これは常に勝ちである。唯一の危険性はステールメイトの可能性である。

YKeres001.JPG 図1

 この局面からの勝ち方の一例は次のとおりである。

1.Qc3 Ke4 2.Kb7 Kd5

 明らかに黒キングはできるだけ長く中央にとどまろうとする。

3.Kc7 Ke4 4.Kd6 Kf4 5.Qd3 Kg5 6.Ke5 Kg4 7.Qe3 Kh5 8.Kf5 Kh4 9.Qd3 Kh5 10.Qh3#

 この手順は多分最短の勝ち方ではなく 1.Kb7 の方がもっと早く詰むだろう。しかし上にあげた手順はこのような駒配置で黒キングがいかに簡単に詰まされるかを示したものである。


2007年11月27日

実戦に役立つエンディング(2)

第1章 初歩のエンディング

1.2 キング+ルーク対キング

 これも常に勝ちがある。1.1と同様に詰みの前に盤端に敵キングを追い込まなければならない。ただしその手順は少し手間がかかるようになる。クイーンの場合は自分のキングの助けを借りずに敵キングを盤端に追い込むことができるが、ルークの場合は自分のキングと協力してこれを達成しなければならない。

YKeres002.JPG 図2

 図2で白の手順は特に難しくはない。黒キングを盤端に追い込むにはまずルークを 1.Ra4 又は 1.Re1 で横または縦に利かして黒キングを遮断するのが一番簡単である。しかしその後白キングの助けなしには何も進展しないので最も簡明な策は

1.Kb7 Ke4 2.Kc6 Kd4 3.Re1

 で敵キングをa筋に移動させることである。

3...Kc4 4.Re4+ Kd3 5.Kd5

 これで黒キングはe筋にも4段目にも行けなくなった。

5...Kc3 6.Rd4 Kc2 7.Kc4 Kb2 8.Rd2+ Kc1

 既に黒キングは一番下の段に追い詰められた。

9.Kc3 Kb1 10.Kb3 Kc1 11.Rd3 Kb1 12.Rd1#

 特に注意を要する点はルークが待機するところである。

2007年11月28日

実戦に役立つエンディング(3)

第1章 初歩のエンディング

1.3 キング+2ビショップ対キング

 キングと1ビショップでは単独のキングを詰められないことは明らかである。しかし2ビショプになると図3で示すように簡単に詰ますことができる。

YKeres003.JPG 図3

 詰みに至る手順はこれまでの例と同様である。2ビショップが協力して逃げ道をふさいでいくことにより黒キングはしだいに盤端に追い詰められていく。以下の手順は容易に理解できるであろう。

1.Kb2 Ke4 2.Kc3 Kd5 3.Bf3+ Ke5 4.Bg3+ Ke6 5.Kd4

 黒キングは2ビショップにより完全に遮断された。この後黒キングを隅に追い詰めるのは簡単である。

5...Kf5 6.Kd5 Kf6 7.Bg4 Kg5 8.Bd7 Kf6 9.Bh4+ Kg6

 黒キングの行動範囲はさらに狭められた。これを詰ませるには隅に追い込まなければならない。

10.Ke5 Kf7 11.Kf5 Kg7 12.Be8 Kf8 13.Bg6 Kg7 14.Be7 Kg8 15.Kf6 Kh8 16.Bf5 Kg8 17.Kg6 Kh8 18.Bd6 Kg8 19.Be6+ Kh8 20.Be5#

 もちろんもっと早く詰ませることができるかもしれないが、要領はすべて同じである。

チェス500名局(2)

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第1部 開放型

第1章 ジュオコ・ピアノ

第2局

白 タラシュ
黒 アリョーヒン
1925年、バーデン=バーデン

 本局での黒の戦略は深く練られ余人には思いもつかないような駒の組み替えに満ちている。11...Qd8 と 13...Ba7 はそのような絶妙な手待ちであり、意表の飛び出しの 21...Bf5 は勝着の 22...Bxh3 の先触れだった。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.c3 Bb6

Y071128A.JPG

 古い手順の 4...Qe7 5.d4 Bb6 と同じことになる。しかし微妙な違いがある。本譜の手に対して白が (5.d4 の代わりに) 5.d3 と指せば黒はeポーンの「過剰防御」のためにクイーンを動かす必要がなく、この点において勝っている。

5.d4 Qe7 6.O-O Nf6

Y071128B.JPG

 この手も定跡の改良であり 6...d6 よりも積極的である。ここで白はeポーンを守るために何かしなければならない。そしてそのために白の攻撃力が減殺される。

7.Re1

 ここでの最も快活な手は 7.Bg5 である。7.dxe5 では局面が単純化し過ぎるし、7.d5 Nb8 では窮屈な局面になる。

7...d6 8.a4 a6 9.h3

Y071128C.JPG

 精力的な 8.a4 の後のこの手は慎重すぎてキング翼の弱点となる可能性もある。意欲的に指すならば 9.Na3 である。

9...O-O 10.Bg5 h6 11.Be3

 この手に対して 11...Nxe4 ははまりで、12.d5 で黒が駒損になる。

11...Qd8

Y071128D.JPG

 eポーンを守る役目を終えてクイーンは元の位置に戻り、ナイトのためにその地点を空けてやる(12.d5 Ne7)。

12.Bd3

 ここは白にとって 12.dxe5 Nxe5 13.Nxe5 dxe5 14.Bxb6 cxb6 15.Qe2 で単純化を図る機会で、互角の形勢となるところだった。

12...Re8 13.Nbd2 Ba7

Y071128E.JPG

 これも先受けの手。このビショップ引きは 14.Nc4 に備えると共に、14.d5 に続く 15.Bxb6 により黒のポーン構造が壊されるのを防いでいる。

14.Qc2 exd4 15.Nxd4

 15.cxd4 とポーンで取ると 15...Nb4 が来る。

15...Ne5 16.Bf1

 ここまで深く引くよりも 16.Be2 の方が良かった。

16...d5

Y071128F.JPG

 このポーン突きにより白は主導権を握った。

17.Rad1

 17.f4 は 17...Ng6 18.e5 Nh5 で黒が有利である。

17...c5 18.N4b3 Qc7 19.Bf4

 駒を交換することにより争点を緩和する意図である。

19...Nf3+

Y071128G.JPG

 読みの入った手。黒はキング翼に襲撃部隊を集結させることに成功し、ポーンの犠牲も十分な根拠がある。

20.Nxf3 Qxf4 21.exd5

 差し出されたポーンを頂く。この手に対してすぐに 21...Bxh3 は 22.gxh3 Qxf3 23.Bg2 で白の陣形は強固なので怖くない。

21...Bf5

 この威嚇的な手の意味は白のビショップを監視の地点からそらしてから、薄くなったキング翼に襲いかかろうというものである。

22.Bd3

Y071128H.JPG

 もっともそうな手。しかし直前の解説に照らして 22.Qc1 又は 22.Qd2 と指す方が賢明だった。しかしそう指しても黒が 22...Qxa4 とポーンを取り返して優勢だったろう。

22...Bxh3

 白陣を破壊し(白の9手目の解説を参照)さらに 23...Bxg2 24.Kxg2 Qg4+ を狙っている。

23.gxh3

 23.Qd2 の方がもっとねばれた。

23...Qxf3 24.Rxe8+

 だまって 24.Bf1 と指し以下 24...Rxe1 25.Rxe1 Qxd5 となれば白は1ポーン損ではあるが本譜のような破滅を避けられただろう。

24...Rxe8 25.Bf1 Re5

Y071128I.JPG

 縦からの攻めが決め手である。

26.c4 Rg5+ 27.Kh2 Ng4+

 素晴らしい。

28.hxg4

 28.Kg1 とかわしても 28...Nxf2+ で簡単に詰む。

28...Rxg4 29.Bh3 Rh4 白投了

Y071128J.JPG

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2007年11月29日

実戦に役立つエンディング(4)

第1章 初歩のエンディング

1.4 キング+2ナイト対キング

 キングと1ナイトでは単独のキングを詰ませることができないことは明らかであるが、2ナイトの場合は強制的に詰ませることができないことはそれほど明白ではない。2ナイトの場合理論上は詰み形があるが、正しく受けられれば白はその形に持って行くことができない。次の図4でそれが分かる。黒キングが隅にいるにもかかわらず白はこれ以上進展させることができない。

YKeres004.JPG 図4

 黒キングの動きを制限する 1.Ne7 や 1.Nh6 はステイルメイトになってしまう。以下のようにいろいろ試してみても

1.Nf8 Kg8 2.Nd7 Kh8 3.Nd6 Kg8 4.Nf6+

 もしここで 4...Kh8? と間違えてくれれば 5.Nf7# で詰みになるのだが黒は

4...Kf8

 と逃げて白はまた最初からやり直しとなる。つまり白がどんなに頑張っても2ナイトでは黒キングを強制的に詰ませることはできないのである。

2007年11月30日

実戦に役立つエンディング(5)

第1章 初歩のエンディング

1.3 キング+ビショップ+ナイト対キング

 この駒割だと白は確実に詰めることができ、その手法は習得するに値する。当然ながらここでも黒キングは隅に追い込まなければならない。そして詰み形はどの四隅でも可能である。しかし強制的に詰むのはビショップのいる枡と同じ色の2隅でのみ可能である。他の2隅では2ナイトの場合と同様にキングが逃げ方を間違えた場合のみ詰めることができる。

 ということは詰ませる方はかなりややこしくなる。まず敵キングを盤端に追い詰め、次に隅に、そしてもしその隅の色がビショップの枡の色と異なる場合はさらに別の隅に追い込まなければならない。クイーン、ルーク又は2ビショップの場合はキングを縦や横や斜めの筋に沿って遮断することは容易であったが、ビショップ+ナイトの場合は難しい作業になる。この2駒は絶えず味方のキングの助けを必要とする。つまりキングとナイトでビショップの利かない枡を押さえることができるようにしなければならない。それでは図5からどのような手順でやっていくのかを見てみることにしよう。

YKeres005.JPG 図5

 白はもちろん敵キングの方に近づいていかなければならないし、一方黒キングはできるだけ中央に留まろうとしなければならない。黒キングは中央から追われたら「誤った」隅、即ちa8又はh1を目指す。そこなら正しく受ければ詰まされることはない。以下は具体的な手順の例である。

1.Kb2 Kd3 2.Nc7 Kc4

 黒キングは敵キングの進路を抑えるようにする。

3.Ne6 Kd5 4.Nd4 Kc4 5.Kc2

YKeres005A.JPG

5...Kb4

 5...Kd5 は 6.Kd3 で良くない。

6.Kd3 Kc5 7.Bh2

 局面を見れば分かるように白の2駒はキングの協力の下に黒キングから多くの枡を奪っている。

7...Kd5 8.Nb3

YKeres005B.JPG

8...Kc6

 黒キングは後退しなければならない。それでa8を目指す。8...Ke6 は 9.Ke4 でh8の方に追われてしまう。

9.Kc4 Kb6

 9...Kd7 10.Kd5 となるよりもこちらの方が良い。

10.Nc5 Kc6 11.Na4

YKeres005C.JPG

 白の8手目の局面と似ている。ビショップとナイトで敵キングを後退させる典型的な手法が見られる。

11...Kb7 12.Kb5 Kc8

 12...Ka7 13.Kc6 は本譜の後の局面と同じになる。

13.Kc6 Kd8 14.Kd6

YKeres005D.JPG

14...Kc8

 もし黒キングが 14...Ke8 と逃げると 15.Ke6 Kf8 16.Be5 又は 15...Kd8 16.Nb6 でa8に遁走する暇なくh8に追い詰められる。

15.Nb6+ Kb7 16.Kc5 Ka6 17.Kc6 Ka5 18.Bd6 Ka6 19.Bb8

YKeres005E.JPG

 黒キングをa8に逃げ込めなくし、a1に追い込む作戦を開始する。

19...Ka5 20.Nd5! 21.Ka4

 20...Ka6 と戻るのは 21.Nb4+ Ka5 22.Kc5 Ka4 23.Kc4 Ka5 24.Bc7+ で白の作業がもっと簡単になる。

21.Kc5 Kb3 22.Nb4!

YKeres005F.JPG

 ナイトのこの動きは非常に重要で、ある隅から隣接する別の隅に敵キングを追い込む典型的な手法である。

22...Kc3 23.Bf4

YKeres005G.JPG

 ナイトがいかに絶好の位置で敵キングの逃走を防いでいるかが分かる。

23...Kb3 24.Be5 Ka4 25.Kc4 Ka5 26.Bc7+ Ka4 27.Nd3 Ka3 28.Bb6

YKeres005H.JPG

 ビショップは手待ちをする。黒キングはa1に向かわざるを得ない。

28...Ka4 29.Nb2+ Ka3 30.Kc3 Ka2

YKeres005I.JPG

31.Kc2 Ka3 32.Bc5+ Ka2 33.Nd3 Ka1

YKeres005J.JPG

 ようやくa1に追い込んだ。黒キングはあと3手で詰まされる。

34.Bb4 Ka2 35.Nc1+ Ka1 36.Bc3#

YKeres005K.JPG

 読者はこのエンディングが決して易しくないことを実感されるであろう。白の8手目、19手目及び22手目の典型的な局面は特に注意が必要である。初心者は白の3駒の協力の手法に習熟するために、盤上のいろいろな枡に駒を配置して黒キングを隅に追い込む練習をしてみるのが良い。忘れてならないのは敵キングを50手以内で詰めなければならないことである。さもないと規定により引き分けになってしまう。そのためには敵キングを追い込む際に貴重な手数を無駄にしないように勝ち方の手法に完全に精通することが肝要である。

「ヒカルのチェス」(44)

「Chess Life」2001年11月号

2001年6月18日から26日にかけてニューヨーク市クイーンズのエルムハースト病院(Elmhurst Hospital)講堂でニューヨーク市長杯戦(New York City Mayor' Cup)が行なわれました。IMヒカル・ナカムラは4引き分けによる2ポイントで最下位でした。

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Y071130A.JPG
左下隅がIMヒカル・ナカムラ

Y071130B.JPG
前列右から3人目がIMヒカル・ナカムラ

Y071130C.JPG

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(この号終わり)

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