第1章 初歩のエンディング
1.3 キング+ビショップ+ナイト対キング
この駒割だと白は確実に詰めることができ、その手法は習得するに値する。当然ながらここでも黒キングは隅に追い込まなければならない。そして詰み形はどの四隅でも可能である。しかし強制的に詰むのはビショップのいる枡と同じ色の2隅でのみ可能である。他の2隅では2ナイトの場合と同様にキングが逃げ方を間違えた場合のみ詰めることができる。
ということは詰ませる方はかなりややこしくなる。まず敵キングを盤端に追い詰め、次に隅に、そしてもしその隅の色がビショップの枡の色と異なる場合はさらに別の隅に追い込まなければならない。クイーン、ルーク又は2ビショップの場合はキングを縦や横や斜めの筋に沿って遮断することは容易であったが、ビショップ+ナイトの場合は難しい作業になる。この2駒は絶えず味方のキングの助けを必要とする。つまりキングとナイトでビショップの利かない枡を押さえることができるようにしなければならない。それでは図5からどのような手順でやっていくのかを見てみることにしよう。
図5
白はもちろん敵キングの方に近づいていかなければならないし、一方黒キングはできるだけ中央に留まろうとしなければならない。黒キングは中央から追われたら「誤った」隅、即ちa8又はh1を目指す。そこなら正しく受ければ詰まされることはない。以下は具体的な手順の例である。
1.Kb2 Kd3 2.Nc7 Kc4
黒キングは敵キングの進路を抑えるようにする。
3.Ne6 Kd5 4.Nd4 Kc4 5.Kc2
5...Kb4
5...Kd5 は 6.Kd3 で良くない。
6.Kd3 Kc5 7.Bh2
局面を見れば分かるように白の2駒はキングの協力の下に黒キングから多くの枡を奪っている。
7...Kd5 8.Nb3
8...Kc6
黒キングは後退しなければならない。それでa8を目指す。8...Ke6 は 9.Ke4 でh8の方に追われてしまう。
9.Kc4 Kb6
9...Kd7 10.Kd5 となるよりもこちらの方が良い。
10.Nc5 Kc6 11.Na4
白の8手目の局面と似ている。ビショップとナイトで敵キングを後退させる典型的な手法が見られる。
11...Kb7 12.Kb5 Kc8
12...Ka7 13.Kc6 は本譜の後の局面と同じになる。
13.Kc6 Kd8 14.Kd6
14...Kc8
もし黒キングが 14...Ke8 と逃げると 15.Ke6 Kf8 16.Be5 又は 15...Kd8 16.Nb6 でa8に遁走する暇なくh8に追い詰められる。
15.Nb6+ Kb7 16.Kc5 Ka6 17.Kc6 Ka5 18.Bd6 Ka6 19.Bb8
黒キングをa8に逃げ込めなくし、a1に追い込む作戦を開始する。
19...Ka5 20.Nd5! 21.Ka4
20...Ka6 と戻るのは 21.Nb4+ Ka5 22.Kc5 Ka4 23.Kc4 Ka5 24.Bc7+ で白の作業がもっと簡単になる。
21.Kc5 Kb3 22.Nb4!
ナイトのこの動きは非常に重要で、ある隅から隣接する別の隅に敵キングを追い込む典型的な手法である。
22...Kc3 23.Bf4
ナイトがいかに絶好の位置で敵キングの逃走を防いでいるかが分かる。
23...Kb3 24.Be5 Ka4 25.Kc4 Ka5 26.Bc7+ Ka4 27.Nd3 Ka3 28.Bb6
ビショップは手待ちをする。黒キングはa1に向かわざるを得ない。
28...Ka4 29.Nb2+ Ka3 30.Kc3 Ka2
31.Kc2 Ka3 32.Bc5+ Ka2 33.Nd3 Ka1
ようやくa1に追い込んだ。黒キングはあと3手で詰まされる。
34.Bb4 Ka2 35.Nc1+ Ka1 36.Bc3#
読者はこのエンディングが決して易しくないことを実感されるであろう。白の8手目、19手目及び22手目の典型的な局面は特に注意が必要である。初心者は白の3駒の協力の手法に習熟するために、盤上のいろいろな枡に駒を配置して黒キングを隅に追い込む練習をしてみるのが良い。忘れてならないのは敵キングを50手以内で詰めなければならないことである。さもないと規定により引き分けになってしまう。そのためには敵キングを追い込む際に貴重な手数を無駄にしないように勝ち方の手法に完全に精通することが肝要である。