第2章 ポーン・エンディング
2.2 キング+ポーン対キング+ポーン
B ポーンが異なる列にある場合
前回はほんの少数の駒数のポーン・エンディングの中にも単純にはいかないものがあることを示した素晴らしいスタディであった。比較的単純な局面から驚くほど深い着想を秘めた例はまだ数限りなくある。ここではもう一つだけスタディを採り上げる。それはキング+ポーン同士のチェスの局面の中で恐らく最も有名なものである。
図16
レティ 1922年
白の手番であるが、クイーンに昇格しようとしている黒ポーンを止めるには少なくとも2手足りないので負けは避けられないように見える。白のポーンは黒キングによって簡単に止められるのでほとんど助けにならないように見える。しかしここでもチェス盤における幾何の原則を用いることにより白キングは奇跡を呼び起こすことができる。
1.Kg7 h4 2.Kf6 Kb6
黒キングに一手かけさせることにより白は一手稼いだ。2...h3 は 3.Ke7 h2 4.c7 で両方のポーンが同時にクイーンに昇格するので引き分けになる。黒の最初の2手は逆でも良い。1...Kb6 でも 2.Kf6 で次に 3.Kg5 があるので 2...h4 としなければならない。
3.Ke5!
手順全体の核心の手である。白には次に 4.Kf4 で黒ポーンを捕まえる手があるので黒は以下のように進めるしかない。
3...h3 4.Kd6 h2 5.c7 h1=Q 6.c8=Q
これで明らかな引き分けである。
最初の局面で誰がこのような可能性を予想したであろうか。もちろんこれまでの例ですべてが尽くされたわけではない。しかし最も単純なポーン・エンディングにさえ色々な可能性が含まれているということはお分かりになったと思う。後にもっと複雑な局面が単純化されて行く過程に出会うことになる。
(この節終わり)
コメント (3)
ブログの不具合に対処するために、
いろいろやっているうちにコメントの水野優さんの分が
消えてしまいました。
復旧しましたが、日付が変わっていることをご了承ください。
水野さんすいません。
投稿者: ayu | 2007年12月12日 19:57
日時: 2007年12月12日 19:57
これは私も別の本で訳しましたし、もちろんその前から知っていますが、感動的ですね。
投稿者: 水野優 | 2007年12月12日 20:15
日時: 2007年12月12日 20:15
Yamagishiさん
お世話になります。
チェスの玉手箱のブログ、長崎の大会での参加者にも話題になっていました。
毎日アップされていて、しかも内容も濃い、すごいと評判でした。
ここのエンディングのエントリーは
並べています。
今日の分は、もし自分が黒だとして
勝ちかと思っていたのが、ドローになる・・・
その日は酒でも飲まないと眠れないでしょうね。
投稿者: ayu | 2007年12月12日 20:18
日時: 2007年12月12日 20:18