第2章 ポーン・エンディング
2.2 キング+ポーン対キング+ポーン
B ポーンが異なる列にある場合
お互いに相手のポーンを止められない時には非常に面白い状況になる。その場合直前の例で見たようにチェスでは2地点間の最短の道筋は必ずしも直線とは限らないという事実を利用したキングの動きで勝てることが良くある。そこでGMドゥラスのエンディングを見てみよう。
図15
ちょっと見たところでは両方のポーンともまだ原位置にあり白キングの位置がわずかに勝っているだけなので互角の局面に思われる。しかし驚くべきことに、白の手番であることとこの最小限の有利が最終的には白に必ず勝ちをもたらす。しかし勝つためには白は極度の正確さが要求される。特にキングの位置には注意が必要である。
1.Kc5!
明らかに白キングは自分のポーンの前進を助けなければならない。さもないと黒キングによって止められてしまう。しかしどうして白キングはわざわざ黒ポーンが将来クイーンに昇格した時チェックになるような地点に行くのであろうか。以下の手順でその理由が分かる。
a)1...Kg6
黒はキングで白ポーンを止めようとする。1...g5 と競争するのは次のb)で述べる。
2.b4 Kf7 3.b5 Ke7 4.Kc6!
ここで 1.Kc5! でなければならなかった理由が分かる。4.b6 Kd7 と 4.Kb6 g5 5.Kc7 g4 は引き分けである。
4...Kd8
要点は黒キングが最下段の不利な位置に置かれたということである。このため後に白クイーンによってチェックされる。
5.Kb7! g5 6.b6 g4 7.Ka7 g3 8.b7 g2 9.b8=Q+ で白の勝ち。
b)1...g5
今度は敵ポーンの前進を止める代わりに黒が自分のポーンを突き進めてみる。チェックでクイーンに昇格できるかもしれない期待が持てる。しかし白キングの適応能力は次のような巧妙な手順で勝利する。
2.b4 g4 3.Kd4!
黒ポーンは味方のキングの助けが必要である。これにより白はクイーンができた時にチェックになる地点に黒キングを追いやることができる。3.b5? は 3...g3 で逆に黒の勝ちとなる。
3...Kg5
3...g3 は 4.Ke3 Kg5 5.b5! で本譜と同じになる。ただし 5.Kf3? は間違いで 5...Kf5 で引き分けになる。
4.b5 g3
黒が 4...Kf4 で白キングを押さえようとすると白ポーンが先にチェックでクイーンに昇格する。
5.Ke3 Kg4 6.b6 Kh3 7.b7 g2 8.Kf2 Kh2 9.b8=Q+ で白の勝ち。
(この節続く)