第2章 ポーン・エンディング
2.3 キング+2ポーン対キング+ポーン
A 孤立ポーンがパスポーンの場合(続き)
ルーク・ポーンの場合は白の勝つ可能性は大幅に減ってしまう。しかし意外なことに今回の駒配置の場合はそれが当てはまらない。図20を見てみよう。
図20
ファールニ対アラピン
この局面は図17の駒配置を1列左へ移動し白がパスポーンを進めた局面と考えることができる。この局面で黒番なら白の勝ちは容易だが、白の手番ならばどう指したら良いだろうか。図17の時と同じ手順ではうまく行かない。つまり 1.Kd5 Kc8 2.c7? Kxc7 3.Kc5 Kb7 も 2.Kd6 Kd8 3.c7+ Kc8 も黒が引き分けにできる。だから単純な手段では勝てず、もっと深く考察しなければならない。黒の手番ならば白が勝つのだから、手を渡して同じ局面に持って行けないだろうか。
ここでちょっと対応枡の理論を用いて考えてみよう。黒は白の Kc5 には ...Kc7、Kd6 には ...Kd8 と応じなければならないからこの二組が対応枡である。白のd5に対応する黒の枡はどこだろうか。この枡から白キングはc5とd6に行けるので黒キングは対応枡のc7とd8に行けなければならない。c8が唯一の枡でありこれがまた対応枡になる。
これを続けて行くと白のc4(d5とc5に行ける)は黒のb8とd8(c8とc7に行ける)に対応していることが分かる。このように二つの枡がたった一つの枡に対応していることもあり得る。それでは白のd4の枡の場合はどうなるだろうか。この枡からはd5とc5に行けるので黒の対応枡はb8とd8である。
このような事前の考察を行なって我々の課題はもう解決したも同然である。白が Kc4 と指し黒が対応枡のうちb8を選んだとしよう。そこで白キングはd4へ行き、黒に対応枡のb8かd8に行かなければならないようにする。しかし黒キングは既にb8にいる。b8からd8へ二枡行くことは当然できない。だから黒は対応していない枡へ行かなければならず負けてしまう。いよいよ具体的な手順を見てみよう。
1.Kd5 Kc8 2.Kc4
ここはc4でもd4でも関係ない。どちらでも同じ結果になる。
2...Kd8
2...Kb8 でも同じである。
3.Kd4! Kc8
3...Kc7 なら 4.Kc5 でもっと早く白が勝つ。
4.Kd5! Kc7 5.Kc5
これで図20の局面で黒の手番になった。5...Kd8 6.Kd6 Kc8 7.c7 Kb7 8.Kd7 Ka7 9.Kc6(9.c8=Q はステイルメイトになってしまうので要注意)で白はあと2手で詰みにできる。
(この節続く)