第2章 ポーン・エンディング
2.3 キング+2ポーン対キング+ポーン
A 孤立ポーンがパスポーンの場合(続き)
本項の最後に同種のエンディングをもう一つ見てみる。
図21
パスポーンがルーク筋にあることとこのポーンの左側でキングが活動する余地がないために白の課題はことのほか難しくなっている。白の唯一の希望は右側から攻撃することだが黒キングの逆襲には絶えず気を配らなければならない。例えば単刀直入に 1.Kc3 Ka4 2.Kd3 と指すと黒は 2...Kb4(2...Ka3 は誤りで 3.Ke4 Kxa2 4.Kd5 で白が簡単に勝つ)で白の片方のポーンを取って明らかな引き分けになる。ここでも深い分析が必要である。
白が勝つためには自分のキングがd5の地点に行く間に、黒にaポーンを取らせずに、そして ...Kb4 でポーンを保護する態勢にさせないようにしなければならない。黒が ...Kb4 と指した時白は Kd3 と指せる態勢になければならない。そうなった時黒はツークツワンクの状態で、白の Ke4-d5 を防ぐことができない。だから最初の対応枡の組は白のd3と黒のb4である。
この作業を続けてみる。黒キングがa3にいてa2のポーンを取ろうとしている時白は Kd5 で応えなければならない。だから白のe4と黒のa3が対応枡となる。従って黒のa4(a3とb4に行ける)と白のe3(e4とd3に行ける)が対応枡、黒のa5(a4とb4に行ける)と白のd2(d3とe3に行ける)が対応枡となる。
ここまでが最も難しい部分であった。残っている作業は白キングが注意深くd2に行くことで、そうなれば黒は白キングがd5に到達することを防げない。念のために言うと黒キングがa6又はb6にいる時白キングはc1、c2又はc3のどこにいても良い。その位置ならば ...Ka5 に対して Kd2 と応じることができる。
直前に述べたことから黒の手番ならば早く負けになることは明らかである。すなわち 1...Kb6(又は a6)に対して白はすぐに 2.Kc3(又は c2)Ka5 3.Kd2! と指せる。白の手番ならばことはもっと複雑であるが次のように強制的に勝つ手順がある。
1.Ka3!
勝つにはこの手に限る。他の手だと黒は 1...Ka4 と指す。白キングは関連枡のe3から遠過ぎて間に合わない。白は本譜の手で1手かせぐことができる。
1...Kb6 2.Kb2 Ka5
最善の手である。他の手では白は 3.Kc3 で簡単に勝つ。黒キングが中央方面に行っても何もならないことは言うまでもない。
3.Kb3!
また手をかせぐことができる。
3...Kb6 4.Kc3(又は c2)Ka5
4...Ka6 ならば白は Kc2(c3)-d3-e4-d5 で勝つ。
5.Kd2!
勝ちを決定付ける手。クリングによって初めて発見された。しかし対応枡の理論を用いれば簡単に分かる。
5...Ka4 6.Ke3! Kb4 7.Kd3
白は目的を達成した。以下は 7...Ka3 8.Ke4 Kxa2 9.Kd5 又は 8...Ka4 9.Kd5 Kb4 10.a3+ で簡単である。
このように一見複雑そうな局面でも対応枡を用いると楽に理解できる例は数多くある。これから先の局面でも対応枡の重要性にまだまだ出会える。
(この節続く)