第2章 ポーン・エンディング
2.3 キング+2ポーン対キング+ポーン
B 孤立ポーンがパスポーンでない場合(続き)
白の2ポーンが二重ポーンになっている場合は、後ろのポーンに動く余裕がある時だけ白に勝つ可能性がある。面白い図23を考えてみる。
図23
黒キングの方が白キングよりはるかに活動的なのでちょっと見たところでは白が勝てそうにないように見える。しかしf3のポーンが急所の場面で決定的な役割を果たす。巧妙な勝ちの手順は次のとおりである。
1.Kf5!
後ろのポーンがf3でなくf2だったら白は何の問題もなく 1.Kg5 Ke5 2.f3 ですぐに勝てる。しかしこの局面では 1.Kg5 は 1...Ke5 2.f4+ Ke6 3.f5+ Ke5 で引き分けにしかならない。1.Kg4 も 1...Ke6 2.Kg5 Ke5 で手詰まりである。白はまずポーンをf4に進めて黒キングがe5の地点に来れないようにしなければならない。
1...Kd6
白の狙いは 2.f4 で、その後キングがh5からh6へ侵入することであった。例えば 1...Kd4 ならば 2.f4 Kd5 3.Kg4!(3.Kg5 は 3...Ke6! で白が手詰まりになる)Kd6 4.Kh5 Ke6 5.Kg5 から 6.Kh6 で白が勝つ。それで黒キングはこの侵入を防ぐために後ろに下がる。
2.f4 Kd7 3.Kg4!
ここでも 3.Kg5? は 3...Ke6! で引き分けになる。
3...Ke8 4.Kh5
後で分かるが 4.Kg5 は 4...Kf8 で白が手詰まりになる。
4...Kf8 5.Kg5
手詰まりに置かれたのは黒で、白にいずれの側からの進入を許すしかない。興味深いことに全体の配置が一段下だったら黒は 5...Kf8! で白キングがどちらへ行くかを見定めることができて引き分けにできた。しかし本譜の局面では黒キングにはこの余裕がない。
5...Kg8
5...Ke8 6.Kh6 Kf8 7.Kh7 は白が楽に勝つ。
6.Kf5 Kh7
6...Kf8 はもう間に合わず 7.Ke5 Ke8 8.Kd6 Kd8 9.f5!(勝利の手待ち)Ke8 10.Kc7 で白が勝つ、。
7.Ke4!
白はまだ慎重に指さなければならない。7.Ke5 は 7...Kg6! で黒に引き分けにされてしまう。白は黒の手番でこの局面を迎えたいのである。
7...Kh6 8.Kd5 Kg6 9.Ke5 Kh5 10.Kd6 Kh6 11.Ke7 Kg6 12.f5+ で白の勝ち
妙手と美の兼ね備わったスタディであった。
(この節続く)