第2章 ポーン・エンディング
2.3 キング+2ポーン対キング+ポーン
C パスポーンのない連結ポーンの場合(続き)
a)片方のポーンがせき止められている時(続き)
白のせき止められていない方のポーンがもっと後ろにあって手待ちできる場合がある。もちろんこれは白にとって大変有利で勝つ可能性が大いに高まる。これまで見合いに依存していた局面はすべて白が見合いを取ることができるということで白の勝ちになっていた。これ以上の説明は必要ないくらいである。
しかし我々にとって興味があるのは、これまで見込みがなかった局面がそのようなポーンのために勝ちになることである。その例が図32である。
図32
クリング、1848年
白のhポーンがh3にあったならどちらの手番であろうと引き分けになることは疑いない。しかし本図でのポーンの手待ちはこの局面の評価が変わるほど重要なのだろうか。見合いが意味を持たないこの図でhポーンの遊び手がなぜ大切なのだろうか。
上のことは普通のことなのかもしれないが、ポーンの遊び手を使う前にまず白がキングの位置を改善できるかどうかを考えてみなければならない。最初に思いつくのは白キングが4段目を占めることである。そうすれば遊び手を使って見合いを取り、黒はf5からの侵入を防げなくなる。即ち白がポーンをh3に進める前にキングがe4に行ければ白が勝つ。
さらに黒キングが遠くへ行き過ぎると白にはh4と突く狙いも出てくる。黒はh5を許すことはできないのでこのポーンを取らなければならない。その場合白キングがh4のポーンを取り返せば黒キングはすぐにg6へ来られるようにしておかなければならない。つまりf6にいなければならず、さもないと負けてしまう。
これまでのことをまとめると幾つかの対応枡を挙げることができる。白キングがg3にいてh4突きを狙っている時黒キングはf6にいなければならない。次にf3の白キングはe4とg3に行けるのでf6とe4に利いている黒キングの枡はe5だけである。最後にe3の白キングはe4とf3に行けるので対応する黒キングの枡はd5だけである。これで黒のf6、e5及びd5に対応する三つの枡が分かった。
この作業を続けると、白が Kf2 と指したらどうなるのだろう。白キングはここからe3、f3及びg3へ行ける。従って黒キングはd5、e5及びf6へ行けなければならない。だからe6が黒の対応枡となる。g2の白キングはf3とg3に行けるから、e5とf6に利いている対応枡は同じくe6となる。これで我々の問題への解答が分かる。つまり黒キングがe6の地点に行ったら白は Kg2(又は Kf2)と指せば良い。そうすれば黒キングは対応枡のe6を去らなければならず負けてしまう。実際の手順を見てみよう。
1.Kf2!
クリングの手順は 1.Kf3 Ke5 2.Kg3 Kf6 3.Kg2 Ke6 4.Kf2 だったがそれでも良い。本譜の手は一手だけ短い。
1...Ke6
白には 2.Kg3 から 3.h4 の狙いがあるので黒キングはすぐにf6を目指さなければならない。1...Ke5 は 2.Kf3 で白が勝つ。
2.Kg2!
2...Kf6
2...Ke5 は 3.Kf3 Kd5(4.Ke4 を防ぐ)4.Kg3 Ke6 5.h4 gxh4+ 6.Kxh4 Kf6(手遅れ)7.Kh5 Kg7 8.Kg5! で白が勝つ。黒キングの他の手は Kf3-e4 又は Kg3 から h4 で黒が負ける。
3.Kg3!
黒は手詰まりに陥った。
3...Kg6
3...Ke6 なら 4.h4、他の手なら本譜の手に戻る。
4.Kf3 Kf6 5.Ke4 Ke6 6.h3!
ようやく決め手となる遊び手が使えた。白はこれで見合いが取れて 6...Kf6 7.Kd5 で勝てる。非常に参考になる例であった。
(この節続く)