第2章 ポーン・エンディング
2.3 キング+2ポーン対キング+ポーン
D パスポーンのない連結ポーンの場合(続き)
b)せき止められたポーンがない時(続き)
ここで例外的な局面について触れておかなければならない。それは図34のように黒ポーンがビショップ列にある場合である。
図34
これは図33の局面を1段下げ白キングをg3からh3に移した局面である。この普通なら問題にならないわずかな違いでどちらの手番であっても引き分けになる。それはビショップ列にあるポーンの特殊な性質による。それではこの局面を詳しく調べてみよう。まず白番から始める。
(1)
1.Kg2
もちろん 1.Kg3 は 1...f4+! でたちまち引き分けの形になってしまう。1.Kh2 も 1...Kf6 で進展がない。
1...Kf6!
他の手では白キングがクイーン翼に回って白が勝つ。例えば 1...Kg6 は 2.Kf2 Kf6 3.Ke2 Ke5(3...Ke6 は 4.Kd3 Ke5 5.Kc4 Kd6 6.Kd4 Ke6 7.e4! で白勝ち)4.Kd3 Kd5 5.f4! で図33の手順に出てくる形になる。1...f4 も 2.e4 Kf6 3.Kf2 Ke5 4.Kf1! で図26に出てきた形と同様になり白が勝つ。
2.Kg3
2.Kf2 Ke5(e6) は本譜に戻る。
2...Kf7!
ここでも絶対手である。g列は 3.Kf2 とされるので行けないし、e列も 3.Kh4 とされるので行けない。本譜の手の後 3.Kf4 Kf6 も 3.Kh4 Kg6 も白にとって望みがないのでクイーン翼に可能性を賭けるしかない。
3.Kf2 Ke6 4.Ke2 Kd5 5.Kd2
5...Kd6
5...Ke5(又は c5)は 6.Kd3 Kd5 7.f4 で白が勝つ。黒は Kd3 に対して ...Kc5 と応じられるようにしなければならない。
6.Kd3 Kc5!
7.Kc3
勝とうとするならこの手しかない。7.e4 なら 7...Kd6! 8.Kd4 fxe4 9.Kxe4 Ke6、また 7.f4 なら 7...Kd5 で引き分けになる。
7...Kd5 8.Kb4
8.f4 なら 8...Kc5 で引き分けになる。ただし 8...Ke4? は誤りで 9.Kd2 Kd5 10.Kd3 で白が勝つ。
8...f4!
この手が核心の手である。黒は図19の本譜と図26の白の3手目の解説に出てきたビショップ列ポーンの特殊な性質を利用する。
9.e4+ Kd4 10.Kb3 Ke3! 11.e5 Kxf3 12.e6 Kg2 13.e7 f3 14.e8=Q f2
白キングが離れすぎていて勝てない。この形は後のクイーン・エンディングの章で出てくる。
次は黒番の場合である。
図34(再掲)
(2)
1...Kf6!
引き分けるために唯一の手である。もし黒キングがh列に行けば白は Kg3-f2-e2-d3 で勝てる。1...Kg6 ならば 2.Kh4 でこの手順に行き着く。本譜の手に対して 2.Kh4 なら 2...Kg6!、2.Kg3 なら 2...Kf7! で引き分けになる。
2.Kg2 Ke6
2...Kf7 は 3.Kg3! で黒が手詰まりになる。例えば 3...Kf6 なら 4.Kf4、3...Kg6 なら 4.Kf2、そして 3...Ke6 なら 4.Kh4 である。しかし 2...Ke7 は可能である。
3.Kg3 Kf7!
これで(1)の黒の2手目の局面と同じになった。
(この節続く)