第1章 初歩のエンディング
1.4 キング+ポーン対キング
このエンディングは次章のポーン・エンディングで採り上げても良かったのだが、本章では最も簡単なエンディングを採り上げているのでこの章に入れるのが適当だと判断した。この種のエンディングでは一般的な原則を挙げるのが難しい。それはすべてが駒の配置によって変わってくるからである。勝ちはポーンが昇格できる場合にのみ可能であることは言うまでもない。そこで要件は昇格が可能かそうでないかをはっきりさせることにある。
もちろん敵キングが遠く離れていてポーンのクイーン昇格を阻止できない場合は白の勝ちは明白である。同様に白キングが自分のポーンが取られてしまうのを防げない時も引き分けになることは明らかである。それでここでは黒キングがポーンの前方に待ち構えている場合に議論を絞ることにする。まず図6のようにポーンが6段目にいて黒キングがその前方の最下段にいる基本的な局面を調べよう。
図6
左半分はこのエンディングの典型的な局面である。もともとポーンがもっと後ろの位置にいたとしても、黒がこのポーンの6段目への前進を防ぐことはできないので必ずこの局面に到達できる。勝ちかどうかはどちらの手番かによって決まる。白の手番ならば
1.c7+ Kc8 2.Kc6
でステイルメイトになるので引き分けである。それに白は同じ局面で黒に手番を渡すこともできない。例えば
1.Kd5 Kc7 2.Kc5
の後黒は正着の
2...Kc8!
を指せば以下 3.Kd6 Kd8 でも 3.Kb6 Kb8 でも図6左側と同じ状況になる。黒の受け方は易しい。つまり自分のキングをできるだけ長くc7とc8に留め、白キングが6段目に来たらすぐにそれと相対するように指せば良い。
このようなエンディングに関連して二つのキングの位置に関する非常に重要な関係を紹介しておきたい。すべてのポーン・エンディングにおいて図6のようにキング同士が向かい合っている時(即ち同じ列または段で1枡だけ離れた位置にいる時)「見合い」、もっと正確には「近接見合い」の位置にあると言う。3又は5枡離れている場合は「遠方見合い」と言う。1、3又は5枡離れた斜めの見合いの場合もある。
このような状況で相手に手番が渡っている時「見合いを取る」と言う。そのような場合相手は見合いを失っている。以上により図6の左半分を次のように定義することができる。「この局面で勝ちがあるかどうかはどちらが見合いを取っているかによる。白が取っているならば白の勝ちである。黒ならば引き分けである。」
この規則はルーク・ポーン以外の全ての類似の局面に当てはまる。例えば図6の右半分では白が見合いを取っていても勝てない。
1...Kh8 2.h7
でステイルメイトになってしまう。
(この節続く)