第2章 ポーン・エンディング
2.5 キング+2ポーン対キング+2ポーン
ポーンの数が同じ時は通常は引き分けになるのでこの種のエンディングに特定の原則を挙げることはできない。しかし駒の損得以外に駒の配置が結果に重大な影響を及ぼしている場合がある。それを陣形の優位と呼ぼう。最も重要で簡単な例のいくつかをこれから紹介していく。もちろんこのような局面の特徴はもっと複雑なエンディングにも見られるが、そのようなエンディングは本書の範囲を超えるので扱わない。
A パスポーンの生成
これはポーンが相手の防御線を強行突破することによって成される。この強行突破は普通は両方のキングが盤の別の所にいてそのためパスポーンの阻止や支援ができない時に起こる。ポーンの強行突破は通常は一つのポーンを捨てることを伴う。そのため敵味方の両方にパスポーンができる。だから仕掛ける側は敵のポーンが自分のポーンよりも危険な存在にならないように正確に読んでおかなければならない。図45を考えてみよう。
図45
白キングを近づけるという通常の原則に従っても何もならない。1.Ke4 Ke6 で引き分けが避けられない。しかし白は一つのポーンを捨てることによって勝つことができる。
1.c5!
このような突き捨てを決行する時には以下のことを読んでおかなければならない。一番目は 1...bxc5 2.a5 の後黒キングが白のパスポーンを止められないということである。二番目は新たにできた黒のパスポーンを白が止めることができることである。三番目はポーン捨てを拒否しても得にならないことである。
1...b5
黒の手として三番目を選んだ。最初の二つは大丈夫である。1...bxc5 2.a5 でこのaポーンは黒に捕まらない。2...c4 3.a6 c3 4.Ke3 で白は黒のcポーンを止めることができる。もし黒がポーンを取らずに 1...Ke6 と指せば 2.cxb6 Kd7 3.a5 で白の勝ちは簡単である。
2.a5!
2.axb5 は間違いで 2...cxb5 3.c6 Ke6 で引き分けになる。本譜の手の後黒はbポーンがパスポーンになるが白キングが十分近くにいる。
2...b4 3.Ke4 b3 4.Kd3 で白が勝つ。
黒は白のaポーンのクイーン昇格を防ぐことができない。
(この節続く)