第2章 ポーン・エンディング
2.5 キング+2ポーン対キング+2ポーン
E その他
これまでに挙げた優位の他にもポーン・エンディングで役立つ色々な要因がある。例えば好位置のキング、深く前進したポーン、二重ポーンに対する連結ポーン等である。これらの要因を個別に全部調べるのは大変である。そこでここでは二つの例を紹介するに留めておく。まず図52から始める。
図52
ベーティング、1900年
ちょっと見たところではそれぞれに連結パスポーンがあるが両方のキングがそれらを止めることができるので形勢は互角のように思われる。また相手のポーンをクイーンへ昇格させずに自分のポーンをさらに前進させることもできないように見える。
しかしこれらの事実にもかかわらず白には決定的に有利な点がある。それは白のポーンの方がクイーンへの昇格枡に近いので黒キングの動きを完全に制限しているということである。これはつまり黒キングが手詰まりで動けなくなれば自分のポーンに不利な動きをさせなければならなくなるということである。図52の時点で白の手番でなかったら黒は既に手詰まりに陥っていてすぐに負けの形になることも明らかにしておく。
まず図52で黒の手番としてどんな手があるかを少し考えてみる。1...Ke8 とキングが動くと 2.Ke5 と進まれ 3.Ke6 からの詰みを防げばdポーンが取られてしまうのでだめである。1...d3 は 2.Ke3 でたちまちこのdポーンを取られてしまうので、残るはcポーンを動かす手だけである。
以降の正解手順の中で出てくるが 1...c5 なら 2.Ke4 で黒は既に手詰まりの状態である。1...c6 も 2.Kf3 Ke8(2...c5 なら 3.Ke4)4.Ke4 c5 5.Kd5 で、同様に正解手順に現れる勝ちの局面に達する。
図52で黒が手詰まりに陥っていることを明らかにしたところで課題はどのようにして黒を負けの変化に導くかである。それは以下のとおりである。
1.Kf3! c6
この手は最も込み入った受けである。1...c5 2.Ke4 と 1...Ke8 2.Ke4 c5 3.Kd5 は本譜の手順と同じになる。
2.Kf4
2.Ke4? は誤りで 2...c5 で白の方が手詰まりに陥り引き分けになってしまう。
2...c5 3.Ke4!
ここにおいて黒は手詰まりに陥り白キングの進出を許すしかない。黒の次の手は必然である。
3...Ke8 4.Kd5 Kd7
この手も絶対手である。4...d3 は 5.Ke6 で次の手で詰みになる。4...Kf7 は 5.Kd6 d3 6.Kd7 で白ポーンがチェックでクイーンに昇格する。
5.Kc4 Ke8 6.Kxc5!
6...d3 7.Kd6 Kf7
7...d2 は 8.Ke6 d1=Q 9.f7# で詰まされる。
8.Kd7 で白が勝つ。
(この節続く)