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第1部 開放型
第1章 ジュオコ・ピアノ
第16局
白 バード
黒 イングリッシュ
1883年、ロンドン
熱闘の本局で白は第2戦線(つまりクイーン翼)で戦闘を仕掛けた。しかしこれがうまくいって敵の本陣へ殺到することになった。
終盤ではルークとナイトのコンビが威力を発揮したがちょっとした油断から意外な結末を迎えた。
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.c3 Nf6
5.b4
5.d3 又は 5.d4 なら通常の手であるが、この側面で位を取る手は大胆で性急なマスターのバードのお気に入りの手だった。
5...Bb6 6.d3
6...d6
積極的に指すなら 6...d5 7.exd5 Nxd5 でeポーンの守りを放棄しても中原を開拓する手もあった。1851年のホルウィッツ対スタントン戦では次のような面白い展開になった。8.b5 Nce7 9.Nxe5 O-O 10.Bb2 Be6 11.O-O Kh8 12.a4 f6 13.Nf3 Ng6 14.Ba3 Re8 15.Qb3 Ngf4 16.Ra2 a6 17.bxa6 bxa6 18.Bc1 Rab8 19.Qc2 Bg4 20.Bxd5 Ne2+ 21.Kh1 Qxd5 22.c4 Qxf3 23.h3 Bxf2 24.Nd2 Ng3+ 黒があと4手で詰み(準窒息詰め)にできる。(訳注 25.Kh2 Qf4 26.Nf3 Nxf1+ 27.Kh1 Qh2+ 28.Nxh2 Ng3#)
7.O-O O-O 8.Bg5 Be6 9.Nbd2 Qe7
10.a4 a6 11.a5 Ba7 12.Kh1 h6 13.Bh4 Rad8
この手は 14...d5 で整然とd筋を開ける準備である。そうなれば白はクイーン翼での活動がより一層難しくなる。
14.b5 Bxc4
15.Nxc4
15.dxc4 とポーンで取り返すのは 15...Nb8 16.Rb1 Nbd7 17.bxa6 bxa6 18.Rb7 Bb8 で白のクイーン翼の孤立ポーン群が恒久的な弱点になる。だから白は1ポーンを犠牲にしてクイーン翼での活動性を得ようとした。
15...axb5 16.Ne3 Bxe3 17.fxe3
17...Qe6
17...g5 は 18.Nxg5 と切ってこられるから明らかに時期尚早である。
18.Qb1
今や主戦場となったクイーン翼で戦いが白熱化する。
18...g5 19.Bg3 Na7 19.c4
働き者の新兵を投入した。20...bxc4 は 21.Qxb7 があるので黒はこのポーンを取るわけにいかない。
20...c6 21.c5 Nh5 22.a6
白はポーンを次々と突き捨てて黒のポーンの形を乱そうとする。
22...bxa6 23.Rxa6 Qd7 24.d4 Nxg3+
25.hxg3 Nc8 26.cxd6 f6 27.Rc1
白はポーン損を取り返しただけでなく主導権も握った。
27...Nxd6 28.Rcxc6 Ne8 29.Qxb5 g4
30.Nh4 exd4 31.exd4 Qxd4 32.Nf5 Qxe4
33.Re6
この手は慎重過ぎた。単純に 33.Nxh6+ Kh7 34.Qh5 と指せば白は黒の抵抗を封じることができた。34...Ng7 には 35.Qh4、34...Qg6 には 35.Ra7+ Ng7 36.Rxg7+ Kxg7(36...Qxg7 は 37.Nf5+)37.Rc7+ で白が勝つ。34...Rd7 も 35.Nf7+ Kg7(35...Kg8 は 36.Qh8+)36.Qh6+ Kxf7 37.Rxf6+ Nxf6(37...Ke7 は 38.Qxf8+ Kd8 39.Ra8+ Kc7 40.Qc5+ で次の手で詰み)38.Rxf6+ で以下詰みになる。(訳注 34...Rd7 の変化手順の中で 39.Ra8+ は 39...Qxa8 とただ取りされてしまいます。その前に 38.Rfe6+ で黒クイーンを取る手があります。)
33...Rd1+ 34.Kh2 Qb1 35.Qxb1 Rxb1
めまぐるしい戦いである。
36.Ra7
白は筋の支配を完了した。しかし黒にも手は残っていた。
36.Nxh6+ Kg7 37.Nxg4 は 37...Rh8+ で頓死を食らう。本譜の手の後白は 37.Nxh6+ Kh8 38.Ree7 からの詰みを狙っている。
36...Rb5 37.Nxh6+ Kh8 38.Nxg4 Rg5
39.Rxe8
この手は楽観的過ぎた。39.Kh3 はとんでもないポカで 39...Rh5# で頓死する。白は 39.Nf2 で相手をせかすべきだった。
39...Rh5+ 40.Kg1 Rxe8 41.Nxf6 Rh1+
42.Kxh1
これは取るしかない。42.Kf2 は 42...Rf8 で黒が勝つ。
以下のステイルメイトの手筋は痛快である。
バードは白を除くそこに居合わせた者全員が面白がったと報告している。
42...Re1+ 43.Kh2 Rh1+ 44.Kxh1 ステイルメイト
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