第2章 ポーン・エンディング
2.6 多数ポーンのエンディング
一方に2個より多くのポーンがある場合はまだ調べていなかった。この型のエンディングは我々がこれまで扱ってきた純粋に理論的なエンディングには属しておらず、もっと実戦的な側面を持っている。だからここではごく少数の局面に的を絞りこれまで扱われて来なかった特徴的な局面を採り上げることにする。
まず盤の片側で一方がより多くのポーンを持っていて実戦的に知っておく価値のある局面を考えよう。
図54
ロッリ、1763年
白の3対2のポーンの優位が以前に詳しく調べた2対1の優位よりもずっと簡単であることを示す。
(1)まず白の手番の場合から始める。
1.g6
この手が最も簡明である。1.Kd5 でも白が勝つ。しかし 1.h6 gxh6 2.gxh6 Kf7 と 1.f6+? gxf6+ 2.gxf6+ Kf7 3.Kf5 Ke8(又は g8)4.Ke6 Kf8 は引き分けになる。
1...h6
1...hxg6 は 2...hxg6 で簡単な白の勝ちとなる。
2.Kd5
ここでも 2.f6+? は 2...gxf6+ 3.Kf5 Kf8 で引き分けになるので避けなければならない。
2...Kf6
3.Ke4
ここは 3.Kd6 Kxf5 4.Ke7 から 5.Kf7 でも白の勝ちとなる。
3...Ke7 4.Ke5 Kf8 5.Ke6 Ke8
6.Kd6
6.f6? は不注意で 6...Kf8 で引き分けになってしまう。
6...Kf8 7.Kd7 Kg8 8.Ke7 Kh8 9.f6 gxf6 10.Kf7 で白が勝つ。
(2)次は黒の手番の場合である。
図54(再掲)
1...Kf7
ポーンを動かす手はもっと早く負けてしまう。例えば 1...h6 2.g6(又は 2.gxh6 gxh6 3.f6+ で白の勝ち。この手順中 2.f6+? は誤りで 2...Kf7 で引き分け)で(1)と同様になる。1...g6 も 2.hxg6 hxg6 3.fxg6 Ke8 4.Ke6 で白の勝ち。
2.g6+
2.Kd6 でも白が勝つ。
2...Kg8 3.Ke6 Kh8
3...hxg6 は(1)と同じになる。
4.Kf7 hxg6 5.h6 gxh6 6.fxg6 あと3手で詰む。
(この節続く)