第2章 ポーン・エンディング
2.6 多数ポーンのエンディング
図55では創作問題のような決め手が見られる。それは実戦でも現われ易いので誰もが完全に覚えておかなければならないものである。ここでのポーンの強行突破は図45よりも巧妙である。
図55
黒キングはクイーン翼に移動することを狙っている。そうなれば白は引き分けしか望めなくなる。一見すると何も手段がなさそうに見える。例えば 1.c6 ならば 1...bxc6 2.bxc6、1.b6 ならば 1...axb6 2.cxb6 cxb6 で何事もない。しかし見事な強行突破の手筋によりたちまち白の必勝形になる。
1.b6 cxb6
1...axb6 ならば 2.c6 bxc6 3.a6 で白が勝つ。
2.a6 bxa6 3.c6 で白が勝つ。
このような決定的な手筋を行使するときには当然全ての注意点を確認しておかなければならない。もし全てのポーンが1段下だったら黒は2ポーンの犠牲を受け入れてポーン得のまま自分のポーンをクイーンに昇格させることができるのでこの策戦そのものが無効になる。同様に黒キングがcポーンから十分遠くに離れていなければならない。そうでなければ黒キングが白ポーンの昇格を阻止することができる。例えば黒キングがg6でなくf6にいたとすると白の計略は 1.b6? cxb6 2.a6 bxa6 3.c6 Ke6 で失敗に終わる。要はこのような思い切った手筋を決行する時は全ての要因を確認しておかなければならないということである。
(この節続く)