第2章 ポーン・エンディング
2.6 多数ポーンのエンディング
最後に読者のために図56のようなエンディングを採り上げて実戦に役立つアドバイスをしておこう。
図56
引き分けに終わることがすぐに想像される。白には遠方パスポーンがあるがこれはほとんど意味がない。それは白キングは黒のポーンから遠く離れているので黒は自分のポーンを進めて白のaポーンを盤上から消すことができるからである。黒は引き分けに持ち込むためにどちらのポーンを先に進めたら良いのだろうか。
どちらのポーンを先に進めても構わないように思われる。しかしポーンのせき止めについて以前に述べたことを思い起こせばポーンの進め方の正しい順序の重要性に気が付くであろう。良い一般的な原則は敵の対向ポーンがないポーンを先に進めるということである。この局面ではそれはbポーンである。失敗例としてaポーンを先に進めるのが誤りで黒の負けにつながることも述べよう。
まず正しい手順は 1...b5! である。2.g6+ 2.Ke5 は 2...Kg6 3.Kd5 Kxg5 4.Kc5 Kf5 5.Kxb5 Ke6 6.Ka6 Kd7 7.Kxa7 Kc7 で引き分けになる。2...Kg7 3.Kg5 a5 4.Kf5 b4 で
白は 5.Ke4 a4 6.Kd4 b3 7.axb3 axb3 8.Kc3 で引き分けにしなければならない。
それでは黒が 1...b5!(又は手待ちの 1...Kg7)でなく誤った 1...a5? の方を選択したらどうなるかを見てみよう。
1...a5
この手は敗着となる。それは白キングが黒の両方のポーンを止めることができて実質的にポーン得となるからである。黒はポーンが自陣の4段目にあることを利用してbポーンを捨てaポーンをクイーンに昇格させることができる。しかしこの局面ではそれもうまく行かない。
2.a4! b5
黒は手待ちすることができない。2...b6 は 3.g6+ Kg7 4.Kg5 b5(4...Kg8 は 5.Kf6 Kf8 6.g7+ Kg8 7.Kg6 で白がもっと早く勝つ)5.axb5 a4 6.b5 a3 7.b7 a2 8.b8=Q の後 9.Qc7+ から2手で詰みになる。
3.axb5 a4 4.g6+!
4...Kg7
4...Ke7 は 5.g7 Kf7 6.g8=Q+ Kxg8 7.b6 でクイーンに昇格する手がチェックになる。この成り捨ての手筋は覚えておくと良い。
5.b6 a3 6.b7 a2 7.b8=Q a1=Q 8.Qc7+ であと2手で詰みになる。
(この節終わり)