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実戦に役立つエンディング(57)

第2章 ポーン・エンディング

2.7 実戦例

 これまではポーン・エンディングの最も基本的なものを見てきた。これらは完全に習得しておかなければならないものである。本節ではこれまでの原則がどのようにもっと難しいエンディングに応用されるかを学んでいく。

YKeres057.JPG 図57 黒の手番
シュトルツ対ニムゾビッチ、1928年

 この局面をちょっと見ただけでは白の方が有利なように思われる。クイーン翼には強力な連結パスポーンがある。白キングは黒のdポーンの前進を止めている。そしてgポーンは黒のキング翼ポーンを抑えている。何も問題はなさそうである。しかし詳しく見てみると黒の優位も明らかになってくる。黒はfポーンを突くことによってg列とd列にパスポーンを作り出すことができる。白キングはこれらを止めることができない。これに反し白のクイーン翼ポーンはまだ十分前進していないのでそれほど脅威とはなっていない。だから白黒双方に強みがある。そこで我々はどちらの方が勝っているのかを判断しなければならない。こういう場合に良くあることだが先手を握っている方に決定的な優位がある。ニムゾビッチはそれを以下のような素晴らしい手順で示してくれる。

1...f4!

 明らかに黒は一手も無駄にできない。白の手番ならば次の手順で勝つ。1.Kd3! 1.b6 は 1...Kd6 2.Kd3 f4 3.Kxd4 f3! で引き分けになる。1...f4 2.gxf4+ Kd5 2...Kxf4 は 3.b6 でクイーンに昇格する手がチェックになる。3.b6 g3 4.b7 g2 5.b8=Q g1=Q 6.Qe5+ で白はdポーンを取りこのクイーン+2ポーン・エンディングに勝つ。

YKeres057A.JPG

2.gxf4+

 白が黒のポーン捨てを拒否して 2.b6 又は 2.a5 と指しても 2...Kd6! で本譜と同様の展開になる。

2...Kd6!

YKeres057B.JPG

 黒はfポーンを取り返してはいけない。そうすると白のbポーンがクイーンに昇格した時にチェックになる。黒キングの大切な役割は白のクイーン翼ポーンを止めることである。ただし黒は 2...Kd5 でも良い。3.a5 Kc5 4.a6 Kb6、この手順中 4.b6 なら 4...Kc6 としておけば、白キングは黒のポーンを止めることができない。(訳注 2...Kd5 の変化は 5.f5 で同時にクイーンができ引き分けになるようです。)

3.a5 g3 4.a6 Kc7!

YKeres057C.JPG

 ここまで来れば全てが明らかとなる。白のポーンは止められ、黒のポーンはどちらかがクイーンになる。

2.Ke2 d3+

 2...g2 6.Kf2 d3 でも良い。

6.Kxd3 g2 7.Ke4 g1=Q

YKeres057D.JPG

 まもなくシュトルツは投了した。(訳注 8.Kf5 Qb6 9.Kg5 Kd7 61.f5 Ke7 で投了となりました。)

 この非常にためになる例はポーンの強行突破の複雑さと全ての変化を正確に読む大切さを教えてくれる。

(この節続く)

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2008年01月21日 10:33に投稿されたエントリーのページです。

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