« 一手一手の定跡習得(51) | メイン | 一手一手の定跡習得(52) »

実戦に役立つエンディング(59)

第2章 ポーン・エンディング

2.7 実戦例(続き)

 次の例は図13に現れたような巧みなキングの動きが見られる。

YKeres059.JPG 図59 白の手番
ラスカー対タラシュ、1914年

 タラシュは白が投了してもおかしくないとの想定でこの局面に持ち込んだ。実際黒はキングの助けがなくてもクイーン翼で勝つことができる。その手順は 1...c4 2.bxc4 bxc4 の後 3...a4 から 4...c3 である。これに対して白キングは成すすべがなく、hポーンも容易に止められてしまうように見える。しかしタラシュの夢想だにしない手順で世界チャンピオンは引き分けを実現した。

1.h4 Kg4

YKeres059A.JPG

2.Kg6!

 これが核心の手である。タラシュは 2.Kf6 しか読んでいなかった。それは 2...c4 3.bxc4 bxc4 4.Ke5 c3! 5.bxc3 a4 でこのポーンが止まらない。ラスカーの手は 3.h5 を見せて黒にこのポーンを取らせることによって貴重な一手を稼いでいる。これにより白キングは自分のポーンがじゃまになる黒枡の斜筋 (a1-h8) の代わりに白枡の斜筋 (b1-h7) をたどることができる。すぐに分かるようにこれは天と地ほどの違いがある。

2...Kxh4 3.Kf5

YKeres059B.JPG

3...Kg3

 多分ここらあたりでタラシュは勝利の夢から目覚めたことだろう。もし彼が当初の予定どおりに手を進めたら以下のように負けてしまう。3...c4 4.bxc4 bxc4 5.Ke4 c3 6.bxc3 a4?(6...Kg5 7.Kd5 Kf6 ならまだ引き分けにできる)7.Kd3!

YKeres059C.JPG

 白キングはc3のポーンによって邪魔されずにb2に到達できる。

4.Ke4 Kf2 5.Kd5 Ke3

YKeres059D.JPG

 黒の方が負けないように指さなければならなくなった。

6.Kxc5 Kd3 7.Kxb5 Kc2 8.Kxa5 Kxb3 1/2-1/2

YKeres059E.JPG

(この節続く)

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2008年01月23日 09:32に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「一手一手の定跡習得(51)」です。

次の投稿は「一手一手の定跡習得(52)」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。