第1章 中原の支配
第2局
本局のあなたは黒番で、指導パートナーは長年ソ連の第一級のグランドマスターの1人であるアレクサンダー・コトフである。対戦相手はブラジルのA.マンジニである。この試合は1957年にマル・デル・プラタで行なわれた。局面図までの手順は次のとおりである。
1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Bd3 Nc6 6.c3
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6...e5
3点。黒は自分から中央の二つのポーンを突くことによって相手の消極的な序盤につけいる。6...Nxd4 7.cxd4 は中原に白の二つのポーンを配置させてしまうので0点。6...d5 7.Nxc6 bxc6 8.e5 も黒が押し込まれるので0点。6...e6 と 6...g6 はそれぞれ1点。
7.Nc2
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7...d5
2点。他の手では 8.c4 で白の中原を強化させてしまう。
8.exd5
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8...Nxd5
1点。8...Qxd5 9.O-O は次に白にポーンをc4に突かれてクイーンが逃げなければならないので0点。
9.O-O
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9...Be6
この手または 9...Bd6 は1点。9...Be7 はこんなに消極的に指す必要はない。
10.Qf3
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10...Bd6
1点。
11.Ne3
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11...Nxe3
2点。この手が理にかなっている。d5のナイトが下がると白のナイトは急所のf5の地点に来れる。11...Nf4 は 12.Be4 で長くその地点に留まれない。
12.Bxe3
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12...O-O
1点。
13.Nd2
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13...f5
3点。この手で黒が主導権を握った。他の手は消極的で白に Bf5 又は Ne4 で良い態勢を作らせてしまう。
14.Bc4
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14...Qe7
2点。この手は明らかに 14...Bxc4 より勝る。白の望むビショップの交換は許すがその代わり黒の残りの役駒の働きがだんだん良くなっていく。
15.Bxe6+
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15...Qxe6
1点。
16.b4
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16...e4
3点。16...f4 は 17.Bc5 で白のナイトがe4の地点を占めることができて黒の攻撃が勢いを削がれるのでそれほど良くない。...Rg6 による攻撃を意図した 16...Rf6 は強い手で2点。16...Rae8 は 17.b5 と突かれてaポーンを犠牲にしなければならないのでそれほど明快でない。ポーンを犠牲にするのは他にはっきりした指し方がない時にだけ行なうべきである。
17.Qe2
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17...Qe5
3点。詰みだけでなくc3のポーンにも当たっている。この両当たりで白の駒は不利益な枡へ行かされる。17.f4(0点)を考えた人が多いだろうがこの中央のポーンの厚みはそう早く活用できない。18.Bc5 Bxc5 19.bxc5 Rfe8 20.Rfe1 e3 21.fxe3 fxe3 22.Nf1 で黒のポーンが急激に弱体化する。
18.Qc4+
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18...Kh8
1点。
19.g3
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19...Rac8
2点。白キングの周囲が弱くなっただけでなくc3のポーンも重圧を受けている。直接の狙いは 20...Nxb4 である。19...f4 も狙いは鋭いが 20.Bxf4 Rxf4 21.gxf4 Qxf4 22.Rfd1 Qxh2+ 23.Kf1 e3 24.Ne4 で黒の攻撃はあまり効果的とは思われない。(訳注 24...Rf8 で黒の勝勢です。黒の正着は多分 20.Bd4 か 20.Bc5 です。)この局面のように優勢が長続きする性質(敵のポーンと枡が弱い)の時は最終攻撃を仕掛ける前に駒組を最良の態勢に強化する余裕がある。
20.Rfd1
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20...Qf6
4点。白の手には罠がある。20...Nxb4 と取ると 21.cxb4 Rxc4 22.Nxc4 から 23.Nxd6 で黒が十分過ぎる駒割りになる。本譜の手は ...Ne5-d3 を狙っている。
21.Qb3
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21...Be5
2点。21...Ne5(1点)は 22.Bd4 又は 22.Bxa7 で白が混戦に持ち込めるので本譜の手の方が明快である。本譜の手で白のc3の弱いポーンが目標となった。
22.Nc4
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22...f4
4点。22...Bxc3(2点)でも勝である(23.Rd6 Bxa1 24.Rxf6 Bxf6 25.Nd6 Rc7)。しかし本譜の手の方がはるかに厳しい。例えば 23.Bxf4 なら 23...Bxf4 24.gxf4 Qxf4 の後 ...b5 から ...Ne5 が攻撃の決め手になる。また 23.Nxe5 なら 23...fxe3 である。
23.Bc5
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23...e3
4点。やはりこの手が 23...Bxc3 又は 23...Rfe8(それぞれ1点)より厳しい。黒の戦略はアリョーヒンが最も劇的な勝利のいくつかで用いていた手法を踏襲している。それは敵を弱点のある方の防御に引き寄せることによって反対側での猛襲を可能にするという攻撃法である。
24.Bxf8
24.fxe3 は 24...fxg3 が早い。24.gxf4 Qxf4 又は 24.Nxe5 exf2+ も同様である。
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24...exf2+
3点。単に 24...Rxf8(3点)も同じく良い。しかし 24...fxg3(0点)は 25.fxg3! で良くない。(訳注 25...Qf2+ で黒の勝勢のようです。)
25.Kg2
25.Kxf2 は 25...fxg3+ である。
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25...Rxf8
2点。25...fxg3 は 26.Bc5 と逃げられて黒キングに即詰みがないので2点減点である。また 25...f3+ は 26.Kxf2 と取られるので0点である。
26.Rd3
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26...fxg3
2点。もし 27.hxg3 なら 27...f1=Q+ である。
27.Nd2
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27...gxh2
1点。
28.Nf1
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28...Qg6+
2点。
白投了。29.Rg3 と防いでも 29...Bxg3 30.Nxg3 f1=Q+ 31.Rxf1 Rxf1 32.Kxf1 Qxg3 で終わりである。
診断 本局で得点の低かった人は恐らく二つの良くある誤りのいずれかでつまづいたのであろう。一つは黒が中原での進攻を行なえるよう十分な展開をする前に時期尚早の攻撃を始めたことである。もう一つは後半でポーンが前進し攻撃のための筋も開けたのに自分の駒の可能性を過小評価して慎重になり過ぎたことである。