第3章 クイーン・エンディング
3.1 クイーン対ポーン(続き)
黒に7段目のポーンの他にもポーンがあれば結果は一概に言えない。一般にはクイーン側が勝つことが多いが余分のポーンが負けを救うこともある。
例えば黒に7段目のポーンが2個ある場合白はキングがポーンにかなり近い場合に限り勝てる。黒の二つ目のポーンが6段目にある場合も同様である。ここでは無数の可能性を調べることはしない。興味のある読者はエンディングの専門書を参照されたい。黒の受けの手段を示すために一つだけ例を採り上げる。
図71
黒のaポーンがなければこの局面は明らかに引き分けである。しかしこの局面ではステイルメイトの可能性がないにもかかわらず白が勝つことができない。もし白キングがa4にいたとしたら次の手順で白が勝つ。1.Qg7+ Kf2 2.Qh6 Kg2 3.Qg5+ Kf2 4.Qh4+ Kg2 5.Qg4+ Kf2 6.Qh3 Kg1 7.Qg3+ Kh1 8.Kb5! a4 9.Qf2 の後 10.Qf1# で詰み。しかし図71では黒のaポーンがせき止められていないので正しく受けられればこの手法が通用しない。
1.Qg8+ Kf2!
黒は決してクイーンをg4の地点に来させてはならない。その理由は 1...Kf1 2.Qc4+ Kg2 3.Qg4+ Kf2 4.Qh3 Kg1 5.Qg3+ Kh1 6.Qf2 あるいは 1...Kf3 2.Qg5! a4 3.Qh4 Kg2 4.Qg4+ で負けてしまうからである。しかし黒は本譜の手以外に 1...Kh3 2.Qd5 Kg3! でも引き分けにできる。
2.Qh7 Kg3 3.Qd3+ Kg2 4.Qe4+
4...Kg3!
引き分けにできる唯一の手である。白クイーンにg4の地点に来させては黒キングがh1の地点に追い込まれるのでそうさせてはならない。実際 4...Kg1 は 5.Qg4+ の後 6.Qh3 とされる。また 4...Kf2 は 5.Qh1 Kg3 6.Kb7 で本譜と比較して白が重要な手を稼げるので黒が負ける。
5.Kb7 a4 6.Kc6 a3 7.Kd5 a2 8.Qh1 a1=Q!
黒の余分のポーンは自ら犠牲となって使命を全うし黒キングにg2の枡を与えた。
9.Qxa1 Kg2
図64に示されてあるとおりこの局面は引き分けである。面白いことに図71で白キングがa8以外のどの地点にいても勝ちだった。
最後にナイト列ポーンがルーク列ポーンに支えられている場合の意外な受けの手段を考えてみよう。白キングがa8、クイーンがb7、黒キングがh1、ポーンがg2とh4にいる時白は勝てない。
考えられる手順は次のとおりである。1.Qf3 黒の狙いは 1...h3 から 2...Kh2 であった。1...Kh2 2.Qf4+ Kh3 3.Qf2 g1=Q! 4.Qxg1 ステイルメイト 白キングがf6まで近ければ白が勝つ。例えば 1.Qf3 Kh2 2.Qf2 h3 3.Kg5 Kh1 4.Qf3 Kh2 5.Kh4! g1=Q 6.Qxh3# で詰む。
(この節終わり)