第3章 クイーン・エンディング
3.2 クイーン対ルーク(+ポーン)(続き)
B クイーン対ルーク+ポーン
ポーンがビショップ列にあると黒が引き分けにできる可能性が高まる。実際ポーンがビショップ列にあればどの段にあっても黒が必ず引き分けにできると長い間考えられてきた。しかしハルバーシュタットとシェロンの現代の研究により少なくとも2段目または3段目のポーンについてはこの一般化は誤りであることが示された。色々な可能性を詳しく調べてみよう。
図82
ハルバーシュタット、1931年
1.Qb6!
ハルバーシュタットは1931年にこの局面で黒の手番ならば黒が手詰まりであることを示した。白は容易にその状態に持ち込むことができる。
1...Kd7
1...Re5+ は 2.Kd4 Rd5+ 3.Kc4 で白の容易な勝ちとなる。
2.Qb7+ Kd6 3.Qa7!
白は最初の目的を達成した。黒は白キングがd列を越えるのを許すしかない。
3...Re5+
黒はルークをd列に留めることができない。例えば 3...Rd2 なら 4.Kf5 Rd5+ 5.Kf6、あるいは 3...Rd1 なら 4.Qa3+ Kd7 5.Qh3+! Kc7 6.Qg3+ Rd6 7.Qe5 Kd7 8.Qg7+ から 9.Ke5 でどちらも白キングが侵入できる。
4.Kd4 Rd5+ 5.Kc4 Rb5 6.Qf7
6...Rc5+
6...Rd5 なら 7.Kb4 で、6...Rb6 なら 7.Qe8! で白が勝つ。
7.Kb4 Rd5 8.Ka4 Rb5 9.Qg7
この局面こそ白が目指していた局面である。黒は白の Qb7-c8 を妨げることができない。
9...Rd5 10.Qb7
10...Rb5
10...Rd1 は 11.Qb4+ Kc7 12.Qf4+ Kb6(12...Kb7 は 13.Qf7+ Kc8 14.Ka5)13.Qe3+ Kc7 14.Qg3+ Kd8 15.Ka5 で白が容易に勝つ。
11.Qc8
11...Kd5
11...Rd5 は 12.Qd8+ Kc5 13.Qc7 Rd1(13...Rd3 は 14.Qa5+ Kc4 15.Qa6+)14.Qa5+ Kc4 15.Qb4+ で白が勝つ。
12.Qd7+ Kc5 13.Qd8!
黒は再び手詰まりに陥った。
13...Kc4
13...Rb4+ は 14.Ka5 Rb5+ 15.Ka6 Rb4 16.Qd3! で図78の説明に出てくるように白が勝つ。
14.Qd6 Rc5
もしここで黒の手番ならばポーンを見捨てるしかない。しかし白がその局面にするのは難しい。
15.Qe6+
15...Kd3
15...Kc3 は 16.Qe3+ Kc4 17.Qe4+ Kc3 18.Qb4+ で白が勝つ。15...Kd4 は 16.Qg4+ で本譜と同じになる。
16.Qh3+ Kd4
16...Kc4 でも同じである。もし黒キングが7段目に進めば 17.Kb4 で白が勝つ。
17.Qg4+
17...Kd3
17...Kd5 は 18.Qd7+ で黒キングがe列に行かされて 19.Kb4 で白が勝つか 18...Kc4 19.Qd6 で黒が手詰まりに陥る。17...Ke5 は 18.Qd7 で白が勝つ。
18.Qd1+
18...Kc3
18...Kc4 は 19.Qd6、18...Ke4 は 19.Qd7 で白が勝つ。
19.Qc1+ Kd4 20.Qd2+ で白が勝つ。
20...Kc4 なら 21.Qd6、20...Ke4(e5)なら 21.Qd7 でどちらも白の容易な勝ちになる。
ビショップ列のポーンについてはもっと面白い局面がたくさんある。しかしそれらは本書の扱う範囲にはない。興味のある読者はエンディングの専門書を参照されたい。
(この節続く)
訳注 ハルバーシュタット (Vitaly Halberstadt, 1903-67) はウクライナのオデッサ生まれですが人生のほとんどをパリで過ごしました。実戦、解説、スタディ創作などで活躍しました。