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「ヒカルのチェス」(57)

「Chess Life」2003年1月号 (4/4)

 2002年9月4日から15日までサンフランシスコでイムレ・ケーニッヒ記念大会が開催されました。IMナカムラは9戦5点で2-5位になりましたが惜しくもGM基準には届きませんでした。

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解説 GMジョン・フェドロウィッツ

 GM基準達成に2連勝が必要なナカムラは昔からある込み入った戦型を採用した。

現代ベノニ [A66]
白 IMヒカル・ナカムラ
黒 GMニック・ド・ファーミアン
サンフランシスコ、2002年

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 c5

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 ニックは最初もっと堅実なニムゾ・インディアンを指すつもりだった。ところが対局中に気が変わった。ベノニを指す人はこの手順を好む(1.d4 Nf6 2.c4 c5 でなく)。理由は 1.d4 Nf6 2.c4 e6 の後 3.Nc3 なら 3...Bb4 と指し、3.Nf3 なら 3...c5 でベノニに移行して本局のような大乱戦を避けることができるからである(先にナイトがf3に跳んだのでポーンを f4 と突けないから)。

4.d5 exd5 5.cxd5 d6 6.e4 g6 7.f4

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 これが昔からあるとびきり激しいミケナス戦法である。

7...Bg7 8.e5

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 賽(さい)は投げられた。

8...Nfd7 9.Ne4 dxe5 10.Nd6+ Ke7

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11.Nxc8+ Qxc8 12.Nf3 Re8 13.fxe5

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13...Kf8?

 この局面の時私はニックがもう1時間以上時間を使っていることに気が付いた。これは彼が堅実な手順を見つけられないでいた証拠である。イバニセビッチ対チャン・チョン戦(1997年ハンガリー)では 13...Nxe5! 14.Bb5 Nbd7 15.Nxe5 Kf8 16.O-O Rxe5 17.Bf4 c4 で黒が良かった。

14.e6 fxe6

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15.dxe6!

 この手は多分新手である。ブコビッチ対ペトロシアン戦(1980年バルセロナ)では 15.d6 Kg8 16.Bc4 Nc6 17.O-O Nb6 18.Bb3 Nd4! と進んで黒の優勢だった。ペトロシアンがベノニを指していたとはこれまで知らなかった。

15...Rxe6+ 16.Be2 Qe8 17.O-O!

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 黒は白からの色々な狙いに直面している。

17...Rxe2 18.Nd4+ Kg8 19.Nxe2

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 黒は駒割ではそれほど悪いわけではないのだが、キングの安全と駒の働きに問題がある。

19...Nc6 20.Bd2 Nb6 21.Bc3 Rd8

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22.Qe1 Ne5 23.Qh4 Nd5 24.Rad1!

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 この強制的な手が勝着である。黒は至る所釘付けになっている。

24...Rd7 25.Bxe5 Qxe5 26.Nc3 Nf6

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27.Rxd7 Nxd7 28.Qd8+ Nf8 29.Nd5!

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29...Qd4+ 30.Kh1 h5 31.Nf6+

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31...Kh8

 31...Bxf6 は 32.Qxf6 Qxf6 33.Rxf6 Kg7 34.Rd6 でルークにクイーン翼ポーンを掃討される。

32.Nd7!

 このかねての狙いの一撃で締めくくりとなる。

32...Qc4 33.Rxf8+ Kh7

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34.h4 Bxf8 35.Nxf8+ Kg8 36.Nd7+ Kh7 37.Qe7+ 黒投了

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 [本文記事より]イムレ・ケーニッヒ (Imre König) は1901年にハンガリーのクラ (Kula) に生まれ、住んでいた土地がユーゴスラビアに割譲された時ユーゴスラビア市民となった。チェスに熟達してからは1931,35,36年にユーゴスラビアのチェス・オリンピアードの代表となった。1953年に米国に移住しその後サンフランシスコに定住した。そこで多くの知己を得、今でも愛され追憶されている。1992年9月に死去した。

 本局は次の本の120ページ白の15手目の解説中で参考棋譜として白の19手目まで引用されています。
「Starting Out: Modern Benoni」Endre Vegh 著、Everyman Chess 発行、2004 年初版

(この号終わり)

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2008年02月22日 12:57に投稿されたエントリーのページです。

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