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2008年03月 アーカイブ

2008年03月01日

実戦に役立つエンディング(97)

第3章 クイーン・エンディング

3.3 クイーン対クイーン(+ポーン)(続き)

 クイーン対クイーン+ポーン

 ルーク列ポーンは勝つ見込みが非常に薄いので調べない。理由はキングがチェックから逃れることが難しいからである。本項で採り上げた例は比較的少ない。それでも幾つかの重要な結論を引き出すことができる。第一にどちらのクイーンも盤上の任意の地点に速やかに移動できるように中央部の要所を占めるように努めなければならない。第二に白は自分のキングも公然と活用しなければほとんど局面の進展を図ることができない。第三に黒は最も効果的にチェックをかけるために自分のキングをポーンからできるだけ遠い所に置かなければならない。このためには自分のキングを盤端または隅に置くのが通常は最善である。読者は攻めと受けの手段に慣れるために似たような局面で色々試してみるのが良い。

 本項を終わる前にナイト列ポーンで起こる可能性のある局面について指摘しておかなければならない。

YKeres097.JPG 図97

 遠い昔にロッリが示したように黒はすぐに強制的に引き分けにすることができる。1...Qh4+ 2.Qh7 2.Kg8 なら 2...Qd8+ 3.Kf7 Qd7+ 4.Kf6 Qd4+! 5.Kg6 Qg4+ である。2...Qd8+ 3.g8=Q 3.Qg8 なら 3...Qh4+ である。3...Qf6+ 4.Qgg7 Qd8+ 5.Qhg8 Qh4+ 6.Q7h7 Qf6+

YKeres097A.JPG

白は二つのクイーンがあるにもかかわらず永久チェックから逃れることができない。

 白に2個以上のポーンがある場合は通常は白が簡単に勝てる。そこで次は両方にポーンがある局面を考えることにする。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(89)

droug 1857 - Asahigaoka 1780
B23 ICC 2m++12s 2004.02.23

1. e4 c5 2. Nc3 Nc6 3. f4 g6 4. Nf3 Bg7 5. Bb5 Nd4 6. Bd3 d6

(78)で習得した手です。

7. Nxd4 cxd4 8. Ne2

YItte0089.JPG

8... e5

定跡は 8... Nf6 でした。

9. c3 Qb6 10. cxd4 exd4 11. O-O Ne7 12. Kh1 O-O 13. Ng3 Nc6 14. f5 Ne5 15. f6 Nxd3 16. fxg7 Kxg7 17. Qf3 Ne5 18. Qf6+ Kg8 19. d3 Qd8 20. Qf2 Nxd3 21. Qxd4 Ne5 22. Bh6 Re8 23. Rad1 Be6 24. b3 Qb6 25. Qxd6 Qxd6 26. Rxd6 Ng4 27. Bg5 Rac8 28. h3 Ne5 29. Rfd1 Rc2 30. Bf6 Nc6 31. R1d2 Nb4 32. Ne2 Rxd2 33. Rxd2 Rc8 34. Nf4 h6 35. Nxe6 fxe6 36. a3 Rc1+ 37. Kh2 Nc6 38. Rd7 Re1 39. Rxb7 Rxe4 40. Rg7+ Kf8 41. Rxg6 Kf7 42. Rxh6 Re3 43. Bg5 Rxb3 44. Rf6+ Kg7 45. Rxe6 Nd4 46. Ra6 Ne2 47. h4 Rb7 48. h5 Rd7 49. Be3 Re7 50. Rxa7 Rxa7 51. Bxa7 Nc3 52. Bd4+ 1-0

2008年03月02日

実戦に役立つエンディング(98)

第3章 クイーン・エンディング

3.3 クイーン対クイーン(+ポーン)(続き)

 クイーン+ポーン対クイーン+ポーン

 この場合も可能な局面があまりに多くてほとんど体系化できない。さらに実戦では両方にポーンが残っているのが普通なのでこのような局面はほとんど実戦の分野に属している。そこでここでは2ポーン対1ポーンの興味深い局面だけを分析してみよう。

YKeres098.JPG 図98 白の手番
フリードマン対ギルク、1936年

 白は強力なパスポーンを持っているが黒クイーンが利いているので前に進めない。キング翼のそれぞれのポーンはチェックからの防ぎとなっている。しかし白は以下のような巧妙な手順で勝つことができる。

1.Qe3

 この手は 2.Qe7+ Kg6 3.Qe8+ から 4.a8=Q を狙っている。また白キングが安全にg3の地点に下がれるようにもしている。

1...Qa2

 機知に富んだ受けである。白の狙いの手順の最後で黒クイーンがh2に行って詰みになるのでその防ぎになっている。1...Kf8 では 2.Qh6+ でf6のポーンがチェックで取られる。1...Kf7 は 2.Qb3+ でaポーンがすぐにクイーンに昇格できる。しかし 1...Qa4(e8に利いている)なら白の勝ちはそれほど簡単でない。2.Qe7+ Kg6 3.Qb7 Qa2 でも 2.Qb6 Qe4! でも黒の反撃が功を奏する。白の勝つ手順は次のとおりである。2.Kh5! Kf7 2...Qa5+ なら 3.g5 3.Qd3! Ke7 3...Qa5+ なら 4.Qf5 Qd2 5.Qh7+ Ke6 6.Qg8+ から 7.a8=Q 4.Qh7+ Kd6 5.Qb7 Qa5+ 6.Kg6 Qg5+ 7.Kf7 で白が勝つ。

YKeres098A.JPG

2.Kg3

YKeres098B.JPG

2...Kf7

 3.Qe7+ から 4.Qe8+ を防いだ。

3.Qd3!

 次の手順でも勝てる。3.Qe4! Qa3+ 4.Kh4 Qb2 4...Qa2 なら 5.Qh7+ Kf8 6.a8=Q+!、4...Qd6 なら 5.Qh7+ Ke6 6.Qc2 である。5.Qc4+ Kg6 5...Kg7 なら 6.Qc7+ から 7.a8=Q 6.Qd3+ から 7.a8=Q で白が勝つ。

YKeres098C.JPG

3...Kg7 4.Qd7+ Kh6

 一見受かっているように見える。

5.g5+!

YKeres098D.JPG

5...Kxg5

 5...fxg5 なら 6.Qc6+、5.Kg6 なら 6.Qe8+ でどちらもその後 7.a8=Q である。

6.Qg7+ Kf5

 6...Kh5 は 7.Qh8+ である。

7.Qg4+ で白が勝つ。

YKeres098E.JPG

 7...Ke5 8.Qf4+ の後白クイーンがf3又はe4でチェックをかけaポーンがクイーンに昇格する。

 前に述べたように両方にポーンがあるその他のエンディングは実戦例の節で採り上げる。

(この節終わり)

一手一手の定跡習得(90)

Asahigaoka 1797 - Greatcrave 1784
C64 ICC 2m++12s 2004.02.23

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 Bc5 4. O-O Nge7 5. c3 Bb6 6. d4 exd4 7. cxd4 d5

YItte0090.JPG

8. e5

定跡は 8. exd5 でした。

8... Bg4 9. Be3 O-O 10. Be2 Nf5 11. h3 Bxf3 12. Bxf3 Nfxd4 13. Bg4 Ne6 14. Bxb6 axb6 15. f4 f5 16. exf6 Qxf6 17. Nc3 Qd4+ 18. Qxd4 Nexd4 19. Nxd5 Rf7 20. a3 Rd8 21. Nb4 g6 22. Nxc6 Nxc6 23. Be6 Kg7 24. Bxf7 Kxf7 25. Rad1 Rxd1 26. Rxd1 Ke7 27. g4 Na5 28. b4 Nc4 29. Rc1 b5 30. a4 c6 31. axb5 cxb5 32. Kf2 Kd6 33. Rd1+ Ke6 34. Rd8 Nb2 35. Ke3 1-0

2008年03月03日

実戦に役立つエンディング(99)

第3章 クイーン・エンディング

3.4 クイーン対他の役駒

 これまでクイーン対ルーク、対ポーン、対ルーク+ポーンを採り上げてきた。クイーン+小駒1個は一般に例外を除き単独のクイーンに勝てない。同様にクイーン対1ルーク+1小駒は通常は引き分けである。一方クイーンは小駒1個に対して容易に勝てる。しかし小駒1個と敵陣深く進攻した1ポーンは引き分けることがある。

 単独のクイーンに対して2ルーク、2ビショップ、2ナイト、1ビショップ+1ナイトは駒の配置による。これら四つの場合を順に考えてみよう。

 クイーン対2ルーク

 このエンディングは通常は引き分けである。そこで黒キングの不利な位置のせいで2ルーク側が勝つ例外的な局面を分析してみよう。

YKeres099.JPG 図99
リンク、1916年

1.Rh7+ Kg8 2.Rhe7

YKeres099A.JPG

 白の初手は黒クイーンからg8の地点を奪うためである。それから黒クイーンの脱出も防いだ(1.Rf7 Qd6!)。白は黒のこの手を常に警戒しなければならない。もし許せば黒に永久チェックの機会を与えてしまう。以下のルークの動きはこの関係から理解することができる。

2...Kh8

 黒クイーンは横に動くと 3.Rg7+ Kh8 4.Rh7+ Kg8 5.Rbg7+ Kf8 6.Rh8+ で取られてしまうので横に動けない。

3.Rbc7!

YKeres099B.JPG

YKeres099C.JPG なぜこの枡なのか。その意味は 3...Qg8 に対して 4.Kf1! で応えることにある。この時黒クイーンはc4の地点に来ることができない。そして 4...Qf8+ 5.Rf7 Qg8 の後 6.Kf2! で黒は手詰まりに追い込まれクイーンを取られるか詰まされる。従って黒は待機を続けなければならない。



3...Kg8 4.Ra7

 4.Rcd7 でも本譜と同様に勝てる。しかし 4.Ke1 Kh8 5.Rf7 は 5...Qb4+ があってだめである。4.Rb7 Kh8 は黒の2手目の局面に戻ってしまう。

4...Kh8 5.Rf7

YKeres099D.JPG

5...Qe8+

 5...Qg8 なら白キングがf列のどの地点に行っても白の勝ちになる。

6.Kf2!

 6.Kf3? は 6...Qc6+、6.Kf1? は 6...Qb5+ があって良くない。先に触れた 4.Rcd7 なら白キングはこの二つの地点でも良かった。

6...Kg8 7.Rg7+ Kf8

 h8に行ったら前に述べた手順でクイーンが取られる。

8.Rh7!

YKeres099E.JPG

8...Kg8

 黒には有効なチェックがない。しかも黒クイーンはa8とh8での詰みを同時に防ぐことができない。

9.Rag7+ Kf8 10.Rh8+ で黒クイーンが取られる。

YKeres099F.JPG

 クイーンが2ルークに勝つことも可能だが2ルークが離れ駒になっている場合に限られる。つまりルークがもう一つのルークと連結していないかキングによって守られていない場合である。どちらかに小駒1個が加われば通常は加わった方に十分な勝ち目がある。クイーン対1ルーク+2小駒もクイーン側が分が悪いが通常は引き分けに終わる。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(91)

TalChess77 2369 - Asahigaoka 1958
E90 ICC 15m++3s 2004.02.24

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. d4 O-O 6. h3 e5 7. d5 Na6 8. Be3 Nc5 9. Nd2 a5 10. g4

YItte0091.JPG

10... Ne8

定跡は 10... c6 でした。

11. g5 f5 12. gxf6 Nxf6 13. Be2 Bd7 14. b3 Qc8 15. a3 Bxh3 16. b4 axb4 17. axb4 Na6 18. Rb1 Bg4 19. f3 Bh3 20. c5 Nh5 21. Nc4 Ng3 22. Rg1 Nxe2 23. Qxe2 Qd8 24. Kd2 Qf6 25. Rg3 Bd7 26. c6 bxc6 27. dxc6 Be6 28. Bg5 Qf7 29. Na5 Nxb4 30. Rxb4 Rxa5 31. Rb7 Rfa8 32. Ke1 Bc4 33. Qd2 Ra1+ 34. Kf2 Ba6 35. Qb2 Bxb7 36. cxb7 R8a2 37. b8=Q+ Bf8 38. Nxa2 Rxa2 39. Rg1 Rxb2+ 40. Qxb2 1-0

チェス500名局(23)

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第1部 開放型

第1章 ジュオコ・ピアノ

第23局

白 カパブランカ
黒 エリスカセス
1936年、モスクワ

 上手な駒の清算の秘訣も所詮はポーンの管理法の一つである。

 機動性のあるポーン構造(例えば多くのゆとり手がある或いは本局で白が 48.f5 と突いたように敵の前線を打ち破る手があるなど)をうまく保持した側が最後まで優勢を維持した。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.Nc3 Nf6 5.d3 d6 6.Bg5 h6 7.Bxf6 Qxf6 8.Nd5 Qd8 9.c3

Y080303A.JPG

 局面から分かるように白は前手で遅滞なくc3の地点を空け、次は 10.d4 で又はいつかは b4 で中原での陣地の拡張を視野に入れている。

9...Ne7

 この手はすぐに中原の形を決めさせようとしている。他の手としては 9...a6(9...a5 もある)、9...Bb6(「先受けの引き」)又は最も単純な 9...O-O がある。

10.Ne3

 このナイト引きは陣形をめぐる静かな辛抱の要る戦いの前兆である。10.d4 Nxd5 11.Bxd5 exd4 12.Nxd4 O-O なら前局のように休む暇もない難解な戦いにもつれ込む。

10...Be6

 単純化を望むならこの手が一番である。しかし 10...O-O が本手だった。

11.Bxe6

Y080303B.JPG

 白は単純化の幻影など恐れない。それは敵陣に攻撃の対象となる小さな弱点が残るからである。

11...fxe6 12.Qb3

 白はここから主導権を握った。

12...Qc8

Y080303C.JPG

13.d4

 13.Nxe5 は勝手読みである。黒は 13...dxe5 14.Qb5+ から 15.Qxc5 には引っ掛からず、先に 13...Bxe3 と切ってくる。

13...exd4 14.Nxd4

Y080303D.JPG

14...Bxd4

 黒のここまでの4手は絶対手である。もし 14...e5 なら 15.Ne6 と入ってこられる。

15.cxd4 O-O 16.O-O

 ここですぐに 16.Rc1 なら黒の動きはもっと難しかっただろう。

16...Qd7

Y080303E.JPG

17.Rac1

 17.Qxb7 は 17...Rfb8 18.Qa6 Rxb2 と逆襲される。本譜の手の後なら 18.Qxb7 が現実の狙いとなる(18...Rfb8 19.Qxc7)。

17...Rab8

 代わりに 17...c6 と守るのは収局でポーンの構造に弱点が残る。

18.Rc3

 白は 18.f4 による直接攻撃よりも兵力の集中を継続した。

18...d5

Y080303F.JPG

 敵が中原で何かを始めるまでの小休止を利用した。しかしこの手がもたらすポーン構造の変化には危険性が潜んでいる。態度を明らかにしないならば 18...Kh8 だった。

19.Qc2

 攻(cポーン)防(eポーン)の手である。19.e5(19...Nc6)と 19.Ng4(19...Rf4 20.Rg3 Kh7)はピッタリの手ではない。

19...c6 20.e5 Rf4

 この手は根拠のない攻勢なので簡単に撃退されてしまう。しかし黒のクイーン翼は完全に抑え込まれているので黒としては反対側で何かことを起こしたがっている。

21.Qd1 Raf8 22.f3

Y080303G.JPG

 手順に g3 から f4 とポーンを突いて行くつもりである。

22...Qd8 23.g3 R4f7 24.f4 Nf5 25.Nxf5 Rxf5 26.h4

Y080303H.JPG

 ここからの「重砲」収局では陣地の広さで白が勝るのは明らかだが、勝ちに結び付けるには延々と駒繰りを行うことが必要である。

 本譜の手は 26...g5 を防いだ。この手には 27.hxg5 hxg5 28.Qg4 で白の勝勢となる。[訳注 カパブランカの解説によれば 28...R8f7 で引き分けなので黒は 26...g5 が最善だった。]

26...g6 27.Kg2 Qe7 28.a3 Qg7 29.Rcf3

Y080303I.JPG

 これもちょうど黒の 29...g5 を予期した手である(30.fxg5 Rxf3 31.Rxf3)。ここから黒は全くの専守防衛戦略に回る。

29...Qe7 30.Qc2 Kg7 31.g4

Y080303J.JPG

 白はキング翼でのポーンの数の優位に物を言わせようとする。黒のクイーン翼での優位は実際上封じられている。

31...R5f7 32.Kh3 Qd7 33.b4 Rg8 34.Rg1 Kh8 35.Qd2 Rh7 36.Qf2 h5

Y080303K.JPG

37.gxh5 Rxh5 38.Rg5 Qh7 39.Qg3 Qh6 40.Qg4 Rg7 41.Rg3 Kh7

Y080303L.JPG

42.Rg2 Kh8 43.Kg3 Kh7 44.Rh2 Re7 45.Rh3

Y080303M.JPG

45...Kg7

 一見良さそうな手だが白に「清算」によりエレガントに勝負を決めるのを許してしまった。45...Re8 の方がいくぶん良かった。

46.Rxh5 Qxh5 47.Qxh5 gxh5 48.f5

Y080303N.JPG

 これで敵陣突破がなる。

48...exf5 49.Kf4 Re6 50.Kxf5 Rg6

Y080303O.JPG

51.e6 Rg4 52.Ke5 Re4+ 53.Kd6 Rxd4 54.Re3 黒投了

Y080303P.JPG

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2008年03月04日

実戦に役立つエンディング(100)

第3章 クイーン・エンディング

3.4 クイーン対他の役駒

 クイーン対2ビショップ

 クイーン対複数の小駒のエンディングの勝敗は通常は駒の優劣による。小駒4個は通常勝つ。小駒3個はせいぜい引き分けである。小駒2個は不利である。まず2ビショップが持ちこたえることのできる図100から始めよう。

YKeres100.JPG 図100
ロッリ、1763年

 図100は黒が目指さなければならない体勢を示している。2ビショップは並ぶのが最良で敵キングの前進を防ぐ。黒キングは隅の近くの2段目でビショップに接しているのが最善である。これにより駒の動く十分な余地があり両翼からの攻撃からも保護されている。受けの手段は次のようになる。

1.Qd7+ Kg8!

YKeres100A.JPG 1...Bf7? は誤りで 2.Kf5! で白キングが近づくのを許し負けてしまう。
a)2...Bc3 3.Qa7 Bb2 ビショップが他の枡に行くことはできないし 3...Kg8 は 4.Qb8+ で負ける。4.Qb6 Ba3 4...Bc3 は 5.Qg1+ Kh7 6.Qh2+ Kg8 7.Qb8+ Kh7 8.Qc7 でビショップを取られる。5.Qd4+ Kf8 5...Kg8 は 6.Kf6 Kf8 7.Qd8+ Be8 8.Ke6 で白が勝つ。6.Qa1 作局者の正解手順は 6.Qh8+ Ke7 7.Qe5+ Kf8 8.Kf6 である。6...Bb4 6...Be7 なら 7.Qh8+ Bg8 8.Kg6、6...Bd6 なら 7.Qh8+ Ke7 8.Qf6+ で白が勝つ。7.Qh8+ Ke7 7...Bg8 なら 8.Kg6 である。8.Qe5+ これで黒のb4のビショップが取られる。
b)2...Bb2 2...Ba1 は 3.Qa7 Bb2 4.Qb6 でa)と同じになる。3.Qa7 Bc3 4.Qg1+ Kh7 5.Qh2+ Kg8 6.Qb8+ Kh7 7.Qc7 でどちらかのビショップが取られる。

2.Qe6+ Kg7 3.Kf4

YKeres100B.JPG

3...Bh7

 黒はもちろんビショップを自分のキングの近くに置いておかなければならない。しかし同時に Kf5 も防がなければならない。3...Bf7 は 4.Qd7 Kg6 5.Qg4+ から 6.Kf5 で白が勝つ。

4.Qd7+ Kg6

 4...Kg8 の方が安全だが本譜の手でも引き分けになる。

5.Kg4 Bg8 6.Qe8+

YKeres100C.JPG

6...Kg7

 6...Bf7 7.Qd7 Bg8 でも良い。

7.Kf5 Bh7+ 8.Ke6 Bg8+ 9.Kd7 Bf7

YKeres100D.JPG

 盤を90度回転させれば図100とほぼ同じような局面になった。白は何も進展がなかった。他に何かする余地もない。10.Qe4 Bg8 11.Qg4+ Kf7 12.Qh5+ Kg7 13.Ke8 の後最も簡明な手順は 13...Be6 14.Qf3 Bf7+ 15.Kd7 Bg8 である。

YKeres100E.JPG

この局面は引き分けである。

 盤の中央部でも2ビショップはクイーン相手にしばしば引き分けにすることができる。しかしその手順ははるかに複雑でほとんど我々の実戦的な興味を引かない。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(92)

IM Turzo 2326 - Asahigaoka 1958
E97 ICC 60m++0s simul unrated 2004.02.25

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. Be2 O-O 6. Nf3 e5 7. O-O Nc6 8. d5 Ne7 9. b4 Nh5 10. c5

YItte0092.JPG

10... f5

定跡は 10... Nf4 でした。

11. Ng5 Nf6 12. f3 Kh8 13. Be3 h6 14. Ne6 Bxe6 15. dxe6 d5 16. Nxd5 Nfxd5 17. exd5 Nxd5 18. Qd2 Nxe3 19. Qxe3 Qd5 20. Qb3 Qxb3 21. axb3 Rfe8 22. Bc4 e4 23. Rad1 e3 24. Rd7 Rad8 25. Rfd1 e2 26. Bxe2 Rxd7 27. exd7 Rd8 28. f4 Kg8 29. b5 c6 30. bxc6 bxc6 31. Bf3 1-0

2008年03月05日

実戦に役立つエンディング(101)

第3章 クイーン・エンディング

3.4 クイーン対他の役駒

 クイーン対2ナイト

 かなり意外なことに2ナイトの方が2ビショップよりもさらに有利で、このエンディングは引き分けであると考えられている。黒はもちろん自分の駒を正しく配置しなければならない。一見ナイトはお互い守り合う体勢が最良のように思われる。しかし実際はそうではない。そのような構えは敵キングを隙間に侵入させ、敵のクイーンに味方のキングをナイトから離れさせてしまう。2ビショップの場合のように防御側の主たる方針は敵キングを寄せ付けないことである。だからナイトは図101のように置くのが最善である。ナイトは何としても味方のキングの側にいなければならない。そして盤端にへばりつかないようにしなければならない。

YKeres101.JPG 図101
フォン・デル・ラーザ

1.Qe6 Kg7 2.Kf3

YKeres101A.JPG

2...Nh7

 2...Nh8 3.Kf4 Nf7 は 4.Qc6! の後 5.Qg2+ を狙われて白キングの接近を防ぐのが難しくなるので黒にとってはもっと苦労する事態になる。

3.Kg4

 3.Qd7+ は 3...Kg8 4.Qd8+ Kf7 5.Qc7+ Ne7 から 6...Nf6 で黒の駒は良く働いている。黒は好きな時に駒を中央方面に移動してきても何も恐れるものはない。

3...Nhf8

 3...Nf6+ は危なっかしい。4.Kf5 Nh4+ 5.Kg5 Nf3+ 6.Kf4 Nh4 7.Qh3 Ng6+ 8.Kf5 で白が勝つ可能性もある。

4.Qd6 Kf7

YKeres101B.JPG

5.Qd5+

 5.Kh5 なら 5...Ne6 で黒はナイトがe6とe5、キングがf6の陣形を目指す。白がこれを妨げるのは非常に困難である。

5...Kg7

 ここまで白はほとんど進展がなかった。6.Kg5? は 6...Nh7+ でクイーンを取られるので指せず、次のように指さなければならない。6.Qd4+ Kf7 7.Kf5 Ne7+ 8.Ke4 Nfg6

YKeres101C.JPG

やはり白は進展がない。

 このようなエンディングでは明確な引き分けの局面を提示することは難しい。しかし正確な受けに対して白がどうすれば勝てるのかを証明することもやはり難しい。このためクイーン対2ナイトが引き分けとされているのも当然である。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(93)

IM Schroer 2708 - Asahigaoka 1958
B96 ICC 45m++15s simul unrated 2004.02.26

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. Bg5 e6 7. f4 Nc6 8. Nxc6 bxc6 9. e5 h6 10. Bh4 g5 11. fxg5 Nd5 12. Ne4 Qb6 13. Bd3 hxg5 14. Bxg5 Qxb2 15. Bf6

YItte0093.JPG

15... Rg8

定跡は 15... Nxf6 16. Nxf6+ Kd8 でした。

16. g3 Qd4 17. Rb1 dxe5 18. Qf3 Nc3 19. Nxc3 Qxc3+ 20. Ke2 Be7 21. Rhf1 1-0

あなたの棋力診断(7)

第3章 大局観

第7局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはフランス系ポーランド人のマスターで現在は米国に住んでいるステファン・ポペルである。対戦相手はイギリスで最も有望な若手選手の1人であるムーアである。この試合は1955-56年にヘースティングズで開催された第2最高メジャー大会の1局である。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.Nf3 e6 3.c4 Bb4+ 4.Bd2 Qe7 5.e3 O-O 6.Bd3 Nc6 7.a3 Bxd2+ 8.Nbxd2 d6 9.O-O e5 10.d5 Nb8 11.e4

YRate07.JPG

**********

11...Bg4

 2点。このような閉鎖的な局面ではビショップ、特に白のそれはとりわけ利きに乏しい。だから黒は自分のナイトが黒枡のc5、d4及びf4を占める機会を増やすために自分のビショップを相手のナイトと交換して構わない。11...a5 と 11...c5 も良い手なので1点。

12.Qc2

**********

12.Nbd7

 この手と 12...a5 は1点。

13.b4

**********

13...a5

 1点。

14.Rfc1

**********

14...axb4

 2点。a列を開けること自体には効果はない。だが黒は相手のクイーン翼を固定するための面白い作戦を立てている。それは数手で明らかになる。14...Rfc8 も2点。これも大局観に裏打ちされた手で ...Nf8-g6-f4 と ...c6 をもくろんでいる。

15.axb4

**********

15...c5

 2点。この手に対する白の応手は定まっている。実際 16.bxc5 Nxc5 と 16.b5 Nb6 は白のビショップが非常に無力な駒になってしまう。

16.dxc6e.p.

**********

16...bxc6

 1点。

17.Ne1

 17.Rxa8 Rxa8 18.c5 の方が積極性があって良かった。

**********

17...c5

 2点。これでクイーン翼を固定する黒の駒繰りは完了した。白に遠方パスポーンができるがこの局面ではあまり重要でない。それはこのポーンは長い間進むことができないからである。

18.b5

**********

18...Nb6

 1点。

19.Nf1

**********

19...Qb7

 3点。多目的の手である。Ra6 に備え、状況によりa列でのルーク交換とクイーンによるa列の占拠を準備し、白のeポーンをにらんでいる。

20.Ne3

**********

20...g6

 2点。20...Be6(1点)21.Nf5 Bxf5 22.exf5 でも黒が優勢であるが、白のeポーンを移動させない方が理にかなっている。

21.Nxg4

**********

21...Nxg4

 1点。

22.Be2

**********

22...Nf6

 2点。22...f5 は0点。この手では 23.exf5 gxf5 24.Qd2 から Bf3 の狙いで白の無力なビショップが息を吹き返す。

23.Bf3

**********

23...Rxa1

 1点。この局面での白のビショップのように戦略的に無能な駒をかかえていることによる不利益は駒交換によって際立ってくるのが普通である。

24.Rxa1

**********

24...Ra8

 1点。

25.Rd1

**********

25...Ne8

 2点。黒はどの駒で当たりのdポーンを守るのが良いかということである。クイーンとルークは明らかにa列からの侵入に必要である。b6のナイトはbポーンをせき止めながら白のcポーンを攻撃している。このcポーンは黒の最初の攻撃目標となる。

26.Be2

**********

26...Ra4

 2点。26...Ra5 と 26...Ra3 は1点。

27.f3

**********

27...Qa8

 この手と 27...Qa7 は1点。

28.Rd2

**********

28...Qa5

 2点。28...Ra1 は1点。

29.Kf2

**********

29...Kf8

 1点。黒は当面陣容を向上させることができそうにないので、収局に向けて自分のキングを中央に差し向ける。

30.g3

**********

30...Ke7

 1点。

31.Ng2

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31...Nxc4

 4点。前手か前々手でもこの手が成立していたのでいずれかで選んでいたら4点。

32.Bxc4

**********

32...Rxc4

 1点。

33.Qxc4

**********

33...Qxd2+

 1点。

34.Kf1

**********

34...Qd1+

 1点。35.Kf2 は 35...Qd4+ なので白はナイトを受けに使わなければならない。

35.Ne1

**********

35...Qb1

 1点。

36.Qa4

**********

36...Nc7

 2点。白投了。二つ目のポーンが落ちるので形勢は絶望的である。

診断 黒の素晴らしい大局観指法の主眼は白のビショップを無力にすることであった。黒は着実に(11,13,15及び18手目)黒枡の支配を強固にし、白のビショップを守勢一方に追いやり、その後a列から侵入した。多くの選手は内在する大局的な優位が局面にしっかり確立されるよりも前に攻撃しがちである。そういう人にとって本局はまたとない教訓となるであろう。

Dr.コトー:モデルの瀬戸上医師、退官返上で任期延長「島への恩返し」と

 離島医療に取り組む若き医師の姿を描いたマンガ「Dr.コトー診療所」の主人公のモデルとなった鹿児島県の下甑(しもこしき)島の診療所所長の瀬戸上健二郎医師が67歳の誕生日となる9日に退官する予定だったが、住民や本人の希望で最大3年任期を延長することが明らかになった。同島では8日に予定していた退官イベントを「感謝祭」に変え、原作者の山田貴敏さんらも参加する。・・・

毎日新聞 http://mainichi.jp/enta/mantan/news/20080305mog00m200008000c.html

2008年03月06日

実戦に役立つエンディング(102)

第3章 クイーン・エンディング

3.4 クイーン対他の役駒

 クイーン対ビショップ+ナイト

 小駒の他の二つの組み合わせと異なりビショップ+ナイトはほんのわずかの引き分けの可能性しかない。それは主としてこの二つの小駒では敵キングの接近を食い止めることが難しいことによる。図102では比較的有利な体勢ながら受け切ることができない。

YKeres102.JPG 図102
ビルガー、1843年

 ビルガー自身はこの局面を引き分けであると判定していた。彼の同時代の人々もそれを受け入れていた。黒が受け切れないことを最初に示したのはベルガーだった。ここで完全な分析を提示するのはとても無理なのでかなり明快な変化を一つだけ調べるだけにする。

1.Qg2

 ビルガーの 1.Qd5+ Kg6 2.Qg2+ は黒に 2...Kh7(h6)の余地を与えるので本譜の方が簡明である。

1...Be5

 1...Kg8(1...Kf8 2.Qg6 は白がもっと有利である)は 2.Qg6 Ba1(2...Bh4 は 3.Qh6)3.Qa6 Be5 4.Ke7 の後 5.Qc4+ から 6.Kf7 で白が楽に勝つ。1...Nf5(1...Nh5 は 2.Qd5+ Kg6 3.Qe4+ から 4.Ke6)も 2.Qd5+ Kg6 3.Qe4 から 4.Ke6 で同様である。1...Bh4 は 2.Qd5+ Kg6 3.Qe4+ で駒を取られる。

2.Qg5

 2.Qd5+ は 2...Kf6 で白に適当な手待ちの手段がない。

2...Bf6

YKeres102A.JPG

3.Qg4

 白はカールシュテートの推奨した 3.Qg3 Bd4 4.Qb3+ Kf6 5.Kc6 でも勝つ。しかし本譜の手の方が簡明だろう。

3...Be5 4.Qc4+ Kg6 5.Qe4+ Kf6

YKeres102B.JPG

6.Qd5!

 ビルガーの 6.Kc6 Nf5 7.Qf3 Ke6 8.Qb3+ Kf6 9.Qd5 は途中 6...Ke6! で白が支障をきたすので本譜の手の方がはるかに強い手である。黒は手詰まりに陥った。[訳注 9...Ne7+ で両取りがかかります。9.Kd5 の誤植かもしれません。]

(この節続く)

一手一手の定跡習得(94)

IM Turzo 2326 - Asahigaoka 1958
E97 ICC 60m++0s simul unrated 2004.02.27

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. Be2 O-O 6. Nf3 e5 7. O-O Nc6 8. d5 Ne7 9. b4 Nh5 10. Re1 f5 11. Ng5 Nf6 12. Bf3

YItte0094.JPG

12... h6

定跡は 12... c6 でした。

13. Ne6 Bxe6 14. dxe6 c6 15. Qb3 Kh8 16. Rd1 Qc7 17. c5 Rad8 18. cxd6 Rxd6 19. Rxd6 Qxd6 20. Be3 Qc7 21. Rd1 f4 22. Bc5 Rd8 23. Rxd8+ Qxd8 24. Bxa7 Qd2 25. g3 g5 26. Bg2 Qe1+ 27. Bf1 Nxe4 28. Nxe4 1/2-1/2

2008年03月07日

実戦に役立つエンディング(103)

第3章 クイーン・エンディング

3.4 クイーン対他の役駒

 クイーン対ビショップ+ナイト

YKeres103.JPG 図103 黒の手番

6...Bf4

 黒は白キングの接近を防ぐことができない。6...Ba1(6...Bb2 は7.Qf3+ Nf5 8.Qc6+ Kg7 9.Qb5)は 7.Qc6+ Kf7 8.Qc4+ Kg6 9.Qc2+ Kf6 10.Qf2+ Nf5 11.Qb6+ Kg7 12.Qa5 で黒が負ける。6...Bg3(6...Bh2 は 7.Qc6+ Kf7 8.Qf3+ Kg8 9.Ke7)は 7.Qc6+ Kg5 8.Qc3 Nh5 9.Qf3、6...Bb8 は 7.Qc6+ Kf7 8.Qb5 Bh2 9.Qf1+ Kg8 10.Ke7、6...Kf5 は 7.Ke7 Kf4 8.Kf7 で黒駒の乱れがひどい。

7.Qc6+

YKeres103A.JPG

7...Kg5

 7...Kf5 なら 8.Ke7 である。8.Ke7 は本譜の手に対しても有効である。

8...Qe4 Nf5 9.Ke6

YKeres103B.JPG

9...Ng3

 9...Ng7+ は 10.Kf7 Nf5? 11.Qd5 Kg4 12.Qe6 でナイトが取られる。

10.Qf3

YKeres103C.JPG

 白は黒駒の連係を乱した。これでこの局面は白の勝ちと判断される。このエンディングの分析を検証したい読者はエンディングの専門書を参照されたい。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(95)

Asahigaoka 1958 - IM Turzo 2306
C88 ICC 60m++10s simul unrated 2004.03.01

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 O-O 8. a4 Bb7

YItte0095.JPG

9. c3

定跡は 9. d3 でした。

9... h6 10. d4 d6 11. Nbd2 Re8 12. Nf1 Bf8 13. Ng3 g6 14. h3 Bg7 15. Nh2 d5 16. Ng4 Nxg4 17. Qxg4 exd4 18. Bd2 Ne5 19. Qe2 d3 20. Qf1 Nc4 21. Bxc4 dxc4 22. f4 Bc6 23. f5 Qd7 24. f6 Bf8 25. Qf4 Qd6 0-1

「ヒカルのチェス」(59)

「Chess Life」2003年3月号

 米国の玩具メーカーのプレスマン(Pressman)の後援で青少年(18歳以下)の全米代表チームが毎年選ばれます。IMナカムラが14歳の最低レイティング2150を楽々とクリアして選ばれています。11回目の今年は全部で35人が選ばれました。

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Y080307A.JPG

好きな科目 社会科
趣味 読書、テニス
将来の目標 GMになること

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(この号終わり)

2008年03月08日

実戦に役立つエンディング(104)

第3章 クイーン・エンディング

3.4 クイーン対他の役駒

 クイーン対ビショップ+ナイト

 しかしビショップ+ナイトでもクイーン側の勝つ可能性がない例外的な局面がある。最も良く知られている局面の一つが次の局面である。

YKeres104.JPG 図104
カールシュテート、1903年

 黒の駒は防御に理想的に配置されている。ビショップがナイトを守りキングがそのビショップを守っている。駒が動く余地があるので手詰まりに追い込まれることもない。白は何も進展を図ることができない。

1.Ke7 Bh8 2.Ke6 Bg7 3.Kf5 Bh8 4.Kg5 Bg7

YKeres104A.JPG

 局面は実質的に何も変わりない。

5.Qe8+ Kh7 6.Kh5 Bh8 7.Qe7+ Bg7 8.Kg5 Kg8

YKeres104B.JPG

 白は自分のキングを進めることもできなければ手詰まりに導くこともできない。明らかに引き分けの局面である。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(96)

IM Turzo 2306 - Asahigaoka 1958
E97 ICC 60m++10s simul unrated 2004.03.02

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. Nf3 O-O 6. Be2 e5 7. O-O Nc6 8. d5 Ne7 9. b4 Nh5 10. Re1 f5 11. Ng5 Nf6 12. Bf3 c6

(94)で習得した手です。

13. Qb3

YItte0096.JPG

13... cxd5

定跡は 13... h6 でした。

14. cxd5 (14. exd5 !) h6 15. Ne6 Bxe6 16. dxe6 f4 17. Rd1 a6 18. a4 g5 19. Ba3 g4 20. Be2 h5 21. b5 Ne8 22. bxa6 bxa6 23. Qb7 f3 24. Bxa6 fxg2 25. Bb5 Rb8 26. Qd7 Qb6 27. Rd2 Rb7 28. a5 Qa7 29. a6 Rxd7 30. exd7 Nc7 31. Bc4+ Kh7 32. Bxd6 Bf6 33. Bxc7 Qxc7 34. a7 Qxc4 35. d8=Q Rxd8 36. Rxd8 1-0

2008年03月09日

実戦に役立つエンディング(105)

第3章 クイーン・エンディング

3.4 クイーン対他の役駒

 クイーン対ビショップ+ナイト(続き)

 それから図105の局面も紹介しておこう。白は自分のキングをステイルメイト状態から解放することができない。しかしこのような局面はあくまでも例外であり、クイーン側がビショップ+ナイトに勝つという一般的な評価は何も変わらない。

YKeres105.JPG 図105

 これでクイーン・エンディングの基本的な局面の概論を終える。これらのエンディングはポーン・エンディングのようには簡単に分類できない。一般的な考察に基づいて局面を判断しなければならないこともよくあることである。しかし色々な局面に対処するための多くの主要な着想は述べてきた。

 最後にこのような知識が実戦のエンディングにどのように適用できるかを見ていくことにしよう。

(この節終わり)

一手一手の定跡習得(97)

IM Turzo 2306 - Asahigaoka 1958
E97 ICC 60m++10s simul unrated 2004.03.04

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. Nf3 O-O 6. Be2 e5 7. O-O Nc6 8. d5 Ne7 9. b4 Nh5 10. Re1 f5 11. Ng5 Nf6 12. Bf3 c6 13. Qb3 h6

(96)で習得した手です。

14. Ne6 Bxe6 15. dxe6

YItte0097.JPG

15... fxe4

定跡は 15... Qc8 でした。

16. Nxe4 Nxe4 17. Bxe4 Rf6 18. Bb2 Rxe6 19. Rad1 Kh8 20. b5 Rc8 21. Ba3 Nf5 22. bxc6 bxc6 23. Qb7 Rc7 24. Qa6 Nd4 25. Bb2 Qh4 26. g3 Qg4 27. Kg2 Qg5 28. Qa5 Qe7 29. Bxd4 exd4 30. Bxg6 Rxg6 31. Rxe7 Rxe7 32. Qd8+ 1-0

2008年03月10日

実戦に役立つエンディング(106)

第3章 クイーン・エンディング

3.5 実戦例

 最初の例となる図106は1935年にモスクワでの大会で指されたリシツィン対カパブランカ戦からである。

YKeres106.JPG 図106 黒の手番
リシツィン対カパブランカ、1935年

 駒の損得がなく黒から特に狙いや詰み筋もないのでこの局面は一見互角のように思われるかもしれない。しかし良く調べてみると黒にはいくつかの小さな有利があることが分かってくる。第1に黒のクイーンは中央のd5で強力に鎮座している。第2に黒のポーンは白よりまとまりがある。第3に白のポーンは弱いため白クイーンが守りに汲々としている。第4に黒キングは白キングよりもチェックから良く保護されている。

 個別に見ればこれらの優位はわずかなものである。しかし合わせてみれば黒は陣形的に明らかに優勢である。カパブランカがどのようにこれらの要因を用いて勝ちを収めるかは非常に参考になるところである。

1...Ke6

 白クイーンは受けの態勢にあるがb、d及びgポーンを守っている。だからキングを働かせなければ黒は何もできない。それで黒キングはd5の地点を目指す。

2.h4 f6

YKeres106A.JPG

3.Ke3

YKeres106B.JPG 白が 3.Qe2+ Kd6 4.Qe4 でd列のパスポーンを活かそうとすると黒は 4...g5+ 5.hxg5 Qxg5+ 6.Kf3 Qxb5 7.Qf4+ Kd7! で応える。この後もし 8.Qh6 ならば 8...Qd3+ 9.Qe3 Qxe3+ 10.Kxe3 で黒の勝ちのポーン・エンディングとなる。



3...Qc4

YKeres106C.JPG

4.g3

 黒は 4...Kd5 で圧力の強化を狙っていた。本譜の手の後では 5.Qg2+ と逆襲される。しかしこのポーン突きはキング翼を一層弱め、特にf3の地点にそれが現れている。以降の指し手でカパブランカは見事な手順でこの地点の弱みを利用した。

YKeres106D.JPG ボンダレフスキーは 4.Qb1! で白がもっと積極的に受けることを推奨した。確かに実戦よりも白に希望が持てるようである。4...Qc3+ の後 5.Qd3 Qxd3+ 6.Kxd3 Kd5 は黒勝ちのエンディングになる(7.Ke3 g5! 8.hxg5 fxg5 9.Kd3 h4 10.Ke3 g4、又はこの手順中 8.g3 なら 8...g4! 9.Kd3 f5 10.Ke3 Kc4)。しかし白は 5.Ke2! で反撃することができる。黒は 5...Qxd4 6.Qxg6 Qe5+ 7.Kf3 Qxb5 でポーンを得するが白は 8.Qg8+ Ke5 9.Qb8+ で引き分けの可能性が出てくる。クイーン・エンディングでの役に立つ一般原則はクイーンを受け一方に使うのでなく、常に積極的な反撃の可能性を追い求めることである。

4...g5 5.hxg5 fxg5

YKeres106E.JPG

6.Qh2

 驚くべきことに白は一種の手詰まりに陥っている。クイーン・エンディングでは非常に珍しいことである。6.Qe2 の後のポーン・エンディングは明らかに黒の負けである。6.Ke4 g4 7.Kf4 Kf6 8.Ke4 Qe6+ 9.Kd3 Qd5! も白にとって芳しくない。

 比較的一番良い手は 6.Qb1 Qc3+ 7.Ke2 で、7...Qxd4 でポーンは失うが 8.Qg6+ Qf6 9.Qxh5 で白にも引き分けの可能性がある。

 本譜の手から始まる反撃は成算のない手で負けを早めた。

6...Qb3+ 7.Ke4 g4!

YKeres106F.JPG

 8...Qf3# で詰むので白クイーンは受けに回らなければならない。

8.Qe2

 8.Qf2 は 8...Qd5+ 9.Ke3 Qxb5 とこちらのポーンを取られる。

8...Qxg3 9.Qc4+ Ke7 10.Qc8

YKeres106G.JPG

 ようやく白が反撃の態勢を得たように見えるが手遅れだった。

10...Qf3+ 11.Ke5 Qf6+ 12.Kd5 Qd6+ 0-1

YKeres106H.JPG

 黒は次の手でクイーン交換を強制しポーン・エンディングを簡単に勝つ。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(98)

IM Turzo 2337 - Asahigaoka 1958
E97 ICC 60m++10s simul unrated 2004.03.10

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. Nf3 O-O 6. Be2 e5 7. O-O Nc6 8. d5 Ne7 9. b4 Nh5 10. Re1 f5 11. Ng5 Nf6 12. Bf3 c6 13. Be3 h6 14. Ne6 Bxe6 15. dxe6 fxe4 16. Nxe4 Nxe4 17. Bxe4 d5 18. cxd5 cxd5 19. Bc2 b6 20. Qg4

YItte0098.JPG

20... Rf6

定跡は 20... e4 でした。

21. Rad1 Qd6 22. Bc1 Qxe6 23. Qe2 Rf7 24. Bb2 Raf8 25. f3 e4 26. fxe4 Bxb2 27. Bb3 Bc3 28. exd5 Qxe2 29. Rxe2 Bd4+ 30. Kh1 Rf1+ 31. Rxf1 Rxf1# 0-1

チェス500名局(24)

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第1部 開放型

第2章 エバンズ・ギャンビット

第24局

白 デュフレーヌ
黒 ハルビッツ
1848年、ベルリン

 中原(d5とe5)での揺さ振り、(g列での)縦からの攻撃による黒キングの館の崩壊、これらは全て駒捨てによるものである。これらこそエバンズ・ギャンビットの真骨頂である。いみじくも「低迷するチェス界への神からの贈り物」と形容した人がいる。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.b4

Y080310A.JPG

 1826年頃にエバンズ船長によって創案されたこの華々しい構想は強力な中原を作るために強制的に先手を取ろうとするものである。マクドネルによって大陸に「輸入」されたこの「新手」は性急のブルドネ、不滅のモーフィー、後には深遠のチゴーリンによって最も支持された。

 ラスカーの対応策の発見によって下火になったがタルタコーワ博士やアレグザンダーによって今でも指されている。

4...Bxb4 5.c3 Bc5

 5...Ba5 の他にはここへ引くのが唯一の本筋である。5...Be7 と 5...Bd6 は黒の前途を多難にするだけである。

6.O-O

 息もつかせぬ 6.d4 exd4 7.O-O という指し方もある。

6...d6

Y080310B.JPG

7.d4 exd4 8.cxd4 Bb6

 このビショップの「指定席」である。

9.Bb2

Y080310C.JPG

 最善の継続手の一つである。対角筋は前途が有望である。

9...Nf6

 もっと自重した 9...Nge7 なら白は 10.Ng5 又は 10.d5 と指すことになる。

10.Qc2

 10.Nbd2 は 10...Bg4 で明らかに良くない。すぐに 10.e5 と突くのも 10...dxe5 11.dxe5 Qxd1 12.Rxd1 Ng4 である。

 本譜の手はいくつもの役目を果たしている。つまりビショップにg4で釘付けにされることとクイーン交換を避けること、当たりのeポーンを守ること、そして見張りの位置につくことである。

10...O-O 11.e5

Y080310D.JPG

11...dxe5

 11...d5 と突き返すのは 12.exf6 dxc4 13.fxg7 でキングの囲いが壊される。

12.dxe5 Nd5

 d列を「無効」にする希望は完全に打ち砕かれることになる。しかし 12...Ng4 では 13.Qe4(次に 14.e6 の狙い)で白の攻撃に拍車がかかる。

13.Rd1 Be6 14.Bxd5 Bxd5 15.Nc3

Y080310E.JPG

15...Ne7

 15...Nb4 は 16.Qa4 a5 17.a3 で白が勝つ。

16.Ng5

 キングを標的とする攻撃が始まった。

16...Ng6

 16...g6 ならば白は 17.Nge4 Bxe4 18.Nxe4 Qc8 19.Nf6+ でf6の地点の「空所」につけ込んで必勝形になる。

17.Nxh7

Y080310F.JPG

17...Kxh7 18.Nxd5 Qg5 19.Rd3

Y080310G.JPG

 白は大々的に縦からの攻撃に着手した。

19...c6 20.Rh3+ Kg8 21.Rg3

Y080310H.JPG

21...Qh4

 もっと頑強な受けは 21...Qh6 だった。というのは白にさらに駒を捨てる手が生じたからである。

22.Nf6+ gxf6 23.Rxg6+

Y080310I.JPG

23...fxg6

 23...Kh8 なら 24.Rg3 である。

24.Qxg6+ Kh8 25.exf6 Rf7

Y080310J.JPG

 26.Qg7# と 26.f7+ の両様の狙いを防ぐには泣く泣くルークを差し出すしかない。「対角筋の開放」はこの先も重大な役割を果たす。

26.Qxf7 Rg8

Y080310K.JPG

 言わずと知れた 27...Qxf2+ からの詰みの狙いである。

27.Kh1

 これで受かっている。27...Rxg2 なら 28.Qe8+ Kh7(28...Rg8 は 29.f7+)29.Qe7+ Kh6(29...Kg8 は 30.f7+)30.Bc1+ で白が勝つ。

 良くないのは 27.g3(27...Rxg3+)や 27.Qe8(27...Qxf2+ から詰み)である。

27...Qg4 28.Rg1

Y080310L.JPG

28...Bxf2

 28...Bd4 は受けにならない(29.Bxd4 Qxd4 30.Qh5#)。しかし本譜の手でも白の二の矢で勝負が決まる。

29.Qe8 Kh7 30.f7 黒投了

Y080310M.JPG

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2008年03月11日

実戦に役立つエンディング(107)

第3章 クイーン・エンディング

3.5 実戦例(続き)

 クイーン・エンディングではパスポーンはきわめて重要である。クイーンによって支えられたパスポーンは無視できない兵力であることは明らかである。そのようなポーンは不利な駒割を埋め合わせることも非常に多い。だから時にはポーンを犠牲にして一つのパスポーンを作り通常なら負けの局面を救うこともできる。図107ではそのような機略に富んだ防御が見られる。

YKeres107.JPG 図107 黒の手番
ルビーンシュタイン対カパブランカ、1914年

 白は1ポーン得でクイーンの働きも勝っている。これに対して黒のクイーンはクイーン翼のポーンの守りに縛られている。もし黒が消極的に守れば白は数に勝るポーンを突き進めて勝ちの体勢を得るだろう。

 黒ができることは何だろうか。黒のcポーンは当たりになっていて 1...c4 なら 2.a3 で黒クイーンは永久にaポーンの守りに縛り付けられるだろう。1...Qc8 も黒クイーンが守勢一方の態勢になってしまうので状況はあまり変わらない。それなら 1...Qe4 と反撃に行くのはどうかというと、2.Qxa6 とポーンを取られた後たいした手がなく、白は2ポーン得でキングも安全である。カパブランカは別な手段で卓抜な反撃の機会を作り出した。

1...b4!

 この手の目的は一刻も早くパスポーンを作ることである。

2.Qxc5?

 この手はお手伝いだった。2.cxb4 も 2...Qxb4 で良くない。しかし 2.c4! なら黒も一筋縄ではいかなかっただろう。即ち 2...Qc8 には 3.Qb6、2...Qa7 には 3.Qd8+ でどちらもその後 Qa5 とされると黒が良くない。黒のクイーン翼のポーンが固定されると白はすぐに自分のポーンを進めて行くことができる。

YKeres107A.JPG しかし黒には一つだけ面白い手段がある。即ち 2...Qe4! による反撃が可能である。3.Qxc5 は 3...Qb1+ 4.Kh2 Qxa2 5.Qxb4 Qxf2 で白の勝つ見込みはなくなる。白の最善手は 3.Qxa6 だが黒は冷静に 3...Kh7! と指して白に難しい問題を突き付ける。白クイーンはaポーンとcポーンを守っていなければならない。もしどちらかのポーンが取られると黒に強力なパスポーンができてしまう。もし白がhポーンを 4.g3 と守れば黒は 4...Qb1+ 5.Kg2 Qe4+ 6.Kh2 Qc2 と指し手を繰り返す。2ポーン得の優勢にもかかわらず白には勝ちがないのかもしれない。しかし白は少なくともこの手順を追求してみるべきだった。

2...bxc3 3.Qxc3 Qb1+ 4.Kh2 Qxa2

YKeres107B.JPG

 ここでクイーン翼における黒の最初の成果を見ることができる。黒はa列にパスポーンを得て、昇格枡まで一路邁進することを狙っている。加えて白はfポーンの守りに一手かけなければならない。白はその後でキング翼で行動を開始しなければならない。白の勝つ可能性は消えている。

5.Qc8+ Kh7 6.Qf5+

YKeres107C.JPG

6...g6

 もちろん 6...Kg8 でも良かった。しかし本譜の手はキングの周りを少し弱める見返りに貴重な先手を取った。

7.Qf6 a5 8.g4 a4 9.h5

YKeres107D.JPG

9...gxh5!

 黒は慎重に受けなければならない。9...a3? を急ぐと 10.h6! Kxh6 11.Qh8+ Kg5 12.Kg3! で詰みが受からなくなってしまう[訳注 正着は 10...Qb2 で引き分けです]。同様に 9...Qe6 も 10.hxg6+ で負けになってしまう。

10.Qf5+

 ルビーンシュタインは危険を冒さないことにした。実際 10.gxh5 は 10...Qe6! で黒の方に勝つ可能性が出てくる。

10...Kg7 11.Qg5+

YKeres107E.JPG

11...Kh7

 11...Kf8 なら 12.Qd8+ である。

12.Qxh5+ Kg7 13.Qg5+ Kh7 1/2 - 1/2

YKeres107F.JPG

 黒は永久チェックから逃れることができず白も引き分け以外の選択はない。クイーン・エンディングでは前に言ったようにパスポーンは兵力云々よりも重要なのである。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(99)

IM Schroer 2708 - Asahigaoka 1949
E92 ICC 45m++15s simul unrated 2004.03.16

1. d4 d6 2. Nf3 g6 3. c4 Nf6 4. Nc3 Bg7 5. e4 O-O 6. Be2 e5 7. dxe5 dxe5 8. Qxd8 Rxd8 9. Bg5 Re8 10. O-O-O

YItte0099.JPG

10... c6

定跡は 10... Na6 でした。

11. Nxe5 Nxe4 12. Nxe4 Bxe5 13. Bf3 Kg7 14. Nd6 Bxd6 15. Rxd6 Be6 16. b3 Na6 17. Rhd1 Bf5 18. Bf6+ Kg8 19. g4 Be6 20. h4 h6 21. h5 g5 22. Kb2 Kf8 23. Kc3 Nc7 24. Be5 Ke7 25. Bg7 f6 26. Bxh6 Rh8 27. Bg7 Rh7 28. Bxf6+ Kxf6 29. Re1 Re8 30. Bd1 Rd7 31. Rxd7 Bxd7 32. Rxe8 Nxe8 33. f3 Nc7 34. Bc2 Ne6 35. Bf5 Nf8 36. Be4 Ne6 37. Kd3 Nc5+ 38. Kd4 Nxe4 39. Kxe4 c5 40. f4 Bc6+ 41. Ke3 gxf4+ 42. Kxf4 b6 43. g5+ Kg7 44. Ke5 Bf3 45. h6+ Kg6 46. Kd6 Be4 47. Kc7 Bb1 48. a3 Ba2 49. b4 Bxc4 50. bxc5 bxc5 51. Kc6 Bd3 52. Kxc5 Kxg5 53. Kd4 Bh7 1/2-1/2

2008年03月12日

実戦に役立つエンディング(108)

第3章 クイーン・エンディング

3.5 実戦例(続き)

 読者は純粋に理論的なエンディングは実戦にはほとんど当てはまらないと考えているかもしれない。しかしクイーン・エンディングの場合はそのようなことはほとんどない。クイーン・エンディングの多くは両者がポーンをクイーンに昇格させてから発生する。図108はそのような例であり、実戦ではありがちな正確さに欠ける指し手が見られる。

YKeres108.JPG 図108 白の手番
アリョーヒン対シュトルツ、1942年

 一般にこのような局面は白の勝つ可能性が高く、理論的に勝ちの場合もある。しかしここでは黒に有利な状況が一つある。それは黒のキングがポーンに近く、白クイーンが中央で八方に睨みを利かすのを防いでいるということである。白クイーンが中央にいれば自分のキングをチェックから守ることができる。実戦の手順を見てみよう。

1.Qf7+ Kd6 2.Qd7+ Kc5

 2...Ke5 は 3.Qg7+ でクイーンを素抜かれる。3...Qf6+ で永久チェックになるので白は 3.e7 と指す暇がない。

3.Kg6

YKeres108A.JPG

3...Qg1+

 熟慮を欠いた無益なチェックはしばしば破滅を招くことを何度も指摘してきた。本譜の手は黒クイーンの位置の向上に何も寄与しない。逆に手順に白キングを行きたい地点に行かせてしまった。このようなチェックは絶対しないようにしなければならない。既に知っているようにこのようなエンディングではクイーンを中央で活発に働かせることが必要である。白が自分のクイーンを中央に置くことができなかったので黒がこの機会をとらえて 3...Qe5! と指すべきだった。

YKeres108B.JPG

 対局後にアリョーヒンが自ら認めたように黒がこの手を指せば引き分けだった。4.Qc8+ 又は 4.Qa7+ は 4...Kd6 で何にもならない。4.Kf7 は 4...Qh5+ 5.Ke7 Qh4+ 6.Ke8 Qh8+ で永久チェックになる。4.e7 も 4...Qg3+ 5.Kf7 Qf4+ 6.Ke8 Qb8+ 7.Qd8 Qb5+ 8.Kf7 Qf1+ で同様である。

4.Kf7

YKeres108C.JPG

4...Qh1

 黒はもう白ポーンの前進を防ぐことも永久チェックをかけることもできなくなった。例えば 4...Qf2+ は 5.Ke8 Qg3 6.Qe7+ Kc6 7.Qf6 Qg8+ 8.Ke7 Qh7+ 9.Kf8 で黒が投了してもおかしくない。また 4...Qf1+ は 5.Ke8 Qa1(白の Qe7+ から Qf6 を防ぐため)6.Qc7+ Kb5 7.e7 で白キングはまもなくチェックから逃れる。

 黒の最も頑強な受けは 4...Qf2+ 5.Ke8 Qh2 であるが 6.Qe7+ から 7.Qf6 で白はポーンを前進させることができる。黒はほとんど成すすべがない。

5.Qc7+

YKeres108D.JPG

5...Kb5

 シュトルツの逃げ方のまずさのために白の手順がかなり楽になった。しかし 5...Kb4 でも結局は助からない。6.Qf4+ Ka3 7.e7 Qh7+(7...Qd5+ は 8.Kg7 Qd7 9.Kf8 で白の勝ち)8.Ke6 Qh3+ 9.Kd6 Qd3+ 10.Kc7 Qc3+ 11.Kb7 Qb2+ 12.Ka7 Qg7 13.Qd6+ の後 14.Ka6 で白が勝つ。

6.Qe5+

YKeres108E.JPG

6...Ka4

 もし黒キングが自陣の3段目に行けば 7.e7 Qh7+ 8.Qg7 でたちまち白の必勝形になる。6...Kb4 も本譜の手に勝るとは言えない。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(100)

Garp 1971 - Asahigaoka 1920
E73 ICC 15m++12s 2004.03.21

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. Be2 O-O 6. Bg5

YItte0100.JPG

6... h6

定跡は 6... Na6 又は 6... c5 でした。

7. Be3 e5 8. h3 Nc6 9. d5 Ne7 10. Nf3 Ne8 11. c5 f5 12. cxd6 cxd6 13. exf5 gxf5 14. g4 f4 15. Bd2 Nf6 16. g5 hxg5 17. Nxg5 Nf5 18. Bd3 Nh4 19. Rg1 Bd7 20. Nce4 Nxe4 21. Bxe4 Qe8 22. Ne6 f3 1-0

あなたの棋力診断(8)

第3章 大局観

第8局

 本局のあなたは白番で、指導パートナーはチェコスロバキアを代表する選手のミロスラフ・フィリップ博士である。対戦相手はヤン・セフツである。この試合は1956年にマリアンスケ=ラズネで開催された国際大会で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.c4 e6 2.g3 d5 3.Bg2 dxc4 4.Qa4+ Bd7 5.Qxc4 Bc6 6.Nf3 Nd7 7.O-O Ngf6 8.Qc2 e5 9.Nc3 Bd6 10.e4 Bc5 11.Rd1 Ng4 12.Rf1 O-O 13.h3 Ngf6 14.Rd1 Qe7

YRate08.JPG

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15.d4

 4点。この局面での白の優位は中原ポーンが多いことと黒ビショップの位置の悪さにある。

15...exd4

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16.Nxd4

 1点。

16...Bxd4

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17.Rxd4

 1点。

17...Rfe8

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18.b4

 4点。黒のビショップが格好の攻撃目標となっているのでここでの少数派攻撃は特に有効である。

18...a6

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19.Bf4

 3点。19.a4 は2点。前の手で 18.Bf4 を選んでいたら4点。

19...Ne5

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20.Rad1

 2点。ここは非常に単純な手が優勢を維持する局面の一つである。黒はe5のナイトを損するのですぐにはd列を争えない。

20...Ng6

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21.Be3

 2点。21.Bg5(1点)h6 でも構わないがhポーンを突かせる方が良いというわけでもない。

21...Red8

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22.Qd2

 3点。この手もd列を支配するためである。

22...Rxd4

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23.Qxd4

 1点。

23...Re8

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24.f3

 1点。

24...h6

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25.a4

 4点。中原を支配下におさめたので白は少数派攻撃に戻ることができる。

25...b6

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26.Bf2

 3点。白はすぐに 26.b5(3点)と指すこともできたが急ぐ必要はない。黒が ...a5 又は ...b5 とポーンを突けばかえってその弱点が目立ってくる。

26...Bb7

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27.Kh2

 1点。27.b5 も1点。

27...Ne5

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28.b5

 1点。

28...axb5

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29.axb5

 1点。

29...Ng6

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30.Ne2

 6点。白の明白な攻撃目標は黒のcポーンである。しかし白がそれを攻撃しようとして単純にクイーンとルークをc列に移動すれば、黒はd列を占拠して反撃の機会を得る。そこで白の計画はまず Pg4 から Bg3 として敵のクイーンを弱いポーンの守りに縛り付けることである。しかしすぐに 30.g4 とすると 30...Nf4 と反撃される。従って 30.Ne2 が必要である。

30...Nf8

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31.Nf4

 4点。黒の狙いは 31...Ne6 としてクイーンをポーンの守りから解放することだった。

31...Ne6

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32.Nxe6

 1点。

32...Qxe6

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32.g4

 1点。

33...Qe5+

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34.Qxe5

 1点。

34...Rxe5

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35.Bf1

 2点。白のbポーンが当たりになっていることを見落としていたら5点減点。

35...Re7

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36.Bg3

 1点。

36...Kf8

 この手は黒の負けを早めた。しかし黒は次の白の狙いにもはや適切な応手がない。37.Rd8+ Kh7 38.Rb8 c5 39.bxc6e.p. Bxc6 40.Rxb6 ここでポーンは全部盤の同じ側にあるが白には2ビショップがあるので理論的に必勝の形勢である。

**********

37.Rd8+

 1点。

37...Re8

 つらい手である。しかし 37...Ne8 は 38.Rb8 c6 39.Bd6 である。

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38.Bxc7

 1点。完全な1ポーン得に加えてルークの交換と盤上を支配する2ビショップのために白の勝ちは容易である。以降の手順は 38...Rxd8 39.Bxd8 Nd7 40.Bc7 Ke7 41.Kg3 g5 42.Kf2 Ba8 43.Ke3 Bb7 44.Kd4 f6 45.Bc4 Ke8 46.Bd5 Bc8 47.Bc6 Ke7 48.Kd5 Ne5 49.Bd6+ Kf7 50.Bxe5 で黒が投了した。

診断 マスターの試合では適度に開放された局面の2ビショップは他の要因が互角ならばそれだけで勝勢に近い。白のビショップが並んで斜筋を支配したために黒はしだいに追い込まれていった。

2008年03月13日

実戦に役立つエンディング(109)

第3章 クイーン・エンディング

3.5 実戦例(続き)

YKeres109.JPG 図109 白の手番
アリョーヒン対シュトルツ、1942年

7.Qd4+

 アリョーヒンも相手と同じ類の間違いを犯した。不必要に黒キングをチェックしてもっと良い地点に行かせただけでなく自分のクイーンの位置は何も良くなっていない。白には次のように二つの簡明な勝ち方があった。7.e7 Qh7+ 7...Qf3+ 又は 7...Qf1+ なら 8.Qf6 から 9.Kf8 で白が勝つ。8.Ke6 Qh3+ 9.Kd6 Qd3+ 10.Kc7 Qc4+ 11.Kb8 Qb3+ 12.Ka7 Qf7 13.Qd6! で白が勝つ。

YKeres109A.JPG

又は 7.Qf5! Qb7+ 8.e7 で図94の分析中で示したように白が勝つ。

 もちろん本譜の手はシュトルツの悪手と異なり何もだいなしにしていない。しかし不必要に事を複雑にした。

7...Ka3 8.Qd3+

YKeres109B.JPG

8...Kb4

 この手ではたちまち負け形になってしまう。しかしもっとましな 8...Kb2 でも所詮は負ける。白は 9.e7 Qh5+ 10.Ke6 Qg4+ 11.Kd6(又は 11.Qf5)あるいは 9.Qf5 の後 10.e7 で図94の解説のように指すことができる。

9.Qf5!

YKeres109C.JPG

 ここでは 9.e7 よりも簡明である。

9...Qc6

 9...Qb7+ 10.e7 の方が黒は選択肢が多いが負けることには変わりない。10...Qc7 は本譜と同じになる。10...Qa7 は 11.Kf8 ですぐに負ける。10...Ka3 は 11.Qf4! Qa7 12.Ke6 で図94で見たように白が勝つ。

10.e7 Qc7 11.Qe4+ Ka3 12.Qd4!

YKeres109D.JPG

 白の 13.Kf8 の狙いが受からない。12...Qb7 は 13.Qa1+ から 14.Qb1+ でだめである。投了してもおかしくないがシュトルツは最後の罠に望みをかけた。

12...Qh2 13.Qc5+ Ka2 14.e8=Q Qf4+ 15.Kg7 Qg3+

YKeres109E.JPG

16.Kf8!

 飽くまで正確である。16.Qg6? は 16...Qc3+! で予期しないステイルメイトになってしまう。黒はここでようやく投了した。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(101)

IM Schroer 2708 - Asahigaoka 1967
E76 ICC 45m++15s simul unrated 2004.03.25

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. f4 Na6 6. Nf3 O-O 7. e5 Nd7 8. Be2 c5 9. exd6 cxd4 10. Nxd4 Nb6 11. O-O Qxd6 12. Be3

YItte0101.JPG

12... Rd8

定跡は 12... Qc5 でした。

13. Ndb5 Qxd1 14. Raxd1 Be6 15. b3 Nb4 16. Bf3 Nc2 17. Bf2 a6 18. Rxd8+ Rxd8 19. Bxb6 Rd3 20. Be4 Rd2 21. Rc1 axb5 22. Rxc2 Rxc2 23. Bxc2 Bxc3 24. cxb5 Bd5 25. Kf2 Kf8 26. g3 Ke8 27. Ke3 Kd7 28. Bd4 Bb4 29. Be4 Kd6 30. Bxd5 Kxd5 31. a4 Ba5 32. Kd3 Be1 33. Be3 Ba5 34. Bd2 Bb6 35. a5 Bg1 36. a6 bxa6 37. bxa6 Kc6 38. Be3 Bxh2 39. Bf2 h5 40. Ke4 f6 41. b4 h4 42. b5+ Kc7 43. b6+ Kb8 44. Bc5 hxg3 45. Bxe7 1-0

2008年03月14日

実戦に役立つエンディング(110)

第3章 クイーン・エンディング

3.5 実戦例(続き)

 図110はクイーン対ルーク+ナイトの面白い実戦例である。

YKeres110.JPG 図110 白