第3章 クイーン・エンディング
3.4 クイーン対他の役駒
これまでクイーン対ルーク、対ポーン、対ルーク+ポーンを採り上げてきた。クイーン+小駒1個は一般に例外を除き単独のクイーンに勝てない。同様にクイーン対1ルーク+1小駒は通常は引き分けである。一方クイーンは小駒1個に対して容易に勝てる。しかし小駒1個と敵陣深く進攻した1ポーンは引き分けることがある。
単独のクイーンに対して2ルーク、2ビショップ、2ナイト、1ビショップ+1ナイトは駒の配置による。これら四つの場合を順に考えてみよう。
A クイーン対2ルーク
このエンディングは通常は引き分けである。そこで黒キングの不利な位置のせいで2ルーク側が勝つ例外的な局面を分析してみよう。
図99
リンク、1916年
1.Rh7+ Kg8 2.Rhe7
白の初手は黒クイーンからg8の地点を奪うためである。それから黒クイーンの脱出も防いだ(1.Rf7 Qd6!)。白は黒のこの手を常に警戒しなければならない。もし許せば黒に永久チェックの機会を与えてしまう。以下のルークの動きはこの関係から理解することができる。
2...Kh8
黒クイーンは横に動くと 3.Rg7+ Kh8 4.Rh7+ Kg8 5.Rbg7+ Kf8 6.Rh8+ で取られてしまうので横に動けない。
3.Rbc7!
なぜこの枡なのか。その意味は 3...Qg8 に対して 4.Kf1! で応えることにある。この時黒クイーンはc4の地点に来ることができない。そして 4...Qf8+ 5.Rf7 Qg8 の後 6.Kf2! で黒は手詰まりに追い込まれクイーンを取られるか詰まされる。従って黒は待機を続けなければならない。
3...Kg8 4.Ra7
4.Rcd7 でも本譜と同様に勝てる。しかし 4.Ke1 Kh8 5.Rf7 は 5...Qb4+ があってだめである。4.Rb7 Kh8 は黒の2手目の局面に戻ってしまう。
4...Kh8 5.Rf7
5...Qe8+
5...Qg8 なら白キングがf列のどの地点に行っても白の勝ちになる。
6.Kf2!
6.Kf3? は 6...Qc6+、6.Kf1? は 6...Qb5+ があって良くない。先に触れた 4.Rcd7 なら白キングはこの二つの地点でも良かった。
6...Kg8 7.Rg7+ Kf8
h8に行ったら前に述べた手順でクイーンが取られる。
8.Rh7!
8...Kg8
黒には有効なチェックがない。しかも黒クイーンはa8とh8での詰みを同時に防ぐことができない。
9.Rag7+ Kf8 10.Rh8+ で黒クイーンが取られる。
クイーンが2ルークに勝つことも可能だが2ルークが離れ駒になっている場合に限られる。つまりルークがもう一つのルークと連結していないかキングによって守られていない場合である。どちらかに小駒1個が加われば通常は加わった方に十分な勝ち目がある。クイーン対1ルーク+2小駒もクイーン側が分が悪いが通常は引き分けに終わる。
(この節続く)