第3章 大局観
第8局
本局のあなたは白番で、指導パートナーはチェコスロバキアを代表する選手のミロスラフ・フィリップ博士である。対戦相手はヤン・セフツである。この試合は1956年にマリアンスケ=ラズネで開催された国際大会で指された。局面図までの手順は次のとおりである。
1.c4 e6 2.g3 d5 3.Bg2 dxc4 4.Qa4+ Bd7 5.Qxc4 Bc6 6.Nf3 Nd7 7.O-O Ngf6 8.Qc2 e5 9.Nc3 Bd6 10.e4 Bc5 11.Rd1 Ng4 12.Rf1 O-O 13.h3 Ngf6 14.Rd1 Qe7
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15.d4
4点。この局面での白の優位は中原ポーンが多いことと黒ビショップの位置の悪さにある。
15...exd4
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16.Nxd4
1点。
16...Bxd4
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17.Rxd4
1点。
17...Rfe8
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18.b4
4点。黒のビショップが格好の攻撃目標となっているのでここでの少数派攻撃は特に有効である。
18...a6
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19.Bf4
3点。19.a4 は2点。前の手で 18.Bf4 を選んでいたら4点。
19...Ne5
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20.Rad1
2点。ここは非常に単純な手が優勢を維持する局面の一つである。黒はe5のナイトを損するのですぐにはd列を争えない。
20...Ng6
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21.Be3
2点。21.Bg5(1点)h6 でも構わないがhポーンを突かせる方が良いというわけでもない。
21...Red8
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22.Qd2
3点。この手もd列を支配するためである。
22...Rxd4
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23.Qxd4
1点。
23...Re8
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24.f3
1点。
24...h6
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25.a4
4点。中原を支配下におさめたので白は少数派攻撃に戻ることができる。
25...b6
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26.Bf2
3点。白はすぐに 26.b5(3点)と指すこともできたが急ぐ必要はない。黒が ...a5 又は ...b5 とポーンを突けばかえってその弱点が目立ってくる。
26...Bb7
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27.Kh2
1点。27.b5 も1点。
27...Ne5
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28.b5
1点。
28...axb5
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29.axb5
1点。
29...Ng6
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30.Ne2
6点。白の明白な攻撃目標は黒のcポーンである。しかし白がそれを攻撃しようとして単純にクイーンとルークをc列に移動すれば、黒はd列を占拠して反撃の機会を得る。そこで白の計画はまず Pg4 から Bg3 として敵のクイーンを弱いポーンの守りに縛り付けることである。しかしすぐに 30.g4 とすると 30...Nf4 と反撃される。従って 30.Ne2 が必要である。
30...Nf8
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31.Nf4
4点。黒の狙いは 31...Ne6 としてクイーンをポーンの守りから解放することだった。
31...Ne6
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32.Nxe6
1点。
32...Qxe6
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32.g4
1点。
33...Qe5+
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34.Qxe5
1点。
34...Rxe5
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35.Bf1
2点。白のbポーンが当たりになっていることを見落としていたら5点減点。
35...Re7
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36.Bg3
1点。
36...Kf8
この手は黒の負けを早めた。しかし黒は次の白の狙いにもはや適切な応手がない。37.Rd8+ Kh7 38.Rb8 c5 39.bxc6e.p. Bxc6 40.Rxb6 ここでポーンは全部盤の同じ側にあるが白には2ビショップがあるので理論的に必勝の形勢である。
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37.Rd8+
1点。
37...Re8
つらい手である。しかし 37...Ne8 は 38.Rb8 c6 39.Bd6 である。
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38.Bxc7
1点。完全な1ポーン得に加えてルークの交換と盤上を支配する2ビショップのために白の勝ちは容易である。以降の手順は 38...Rxd8 39.Bxd8 Nd7 40.Bc7 Ke7 41.Kg3 g5 42.Kf2 Ba8 43.Ke3 Bb7 44.Kd4 f6 45.Bc4 Ke8 46.Bd5 Bc8 47.Bc6 Ke7 48.Kd5 Ne5 49.Bd6+ Kf7 50.Bxe5 で黒が投了した。
診断 マスターの試合では適度に開放された局面の2ビショップは他の要因が互角ならばそれだけで勝勢に近い。白のビショップが並んで斜筋を支配したために黒はしだいに追い込まれていった。