第3章 クイーン・エンディング
3.5 実戦例(続き)
図109 白の手番
アリョーヒン対シュトルツ、1942年
7.Qd4+
アリョーヒンも相手と同じ類の間違いを犯した。不必要に黒キングをチェックしてもっと良い地点に行かせただけでなく自分のクイーンの位置は何も良くなっていない。白には次のように二つの簡明な勝ち方があった。7.e7 Qh7+ 7...Qf3+ 又は 7...Qf1+ なら 8.Qf6 から 9.Kf8 で白が勝つ。8.Ke6 Qh3+ 9.Kd6 Qd3+ 10.Kc7 Qc4+ 11.Kb8 Qb3+ 12.Ka7 Qf7 13.Qd6! で白が勝つ。
又は 7.Qf5! Qb7+ 8.e7 で図94の分析中で示したように白が勝つ。
もちろん本譜の手はシュトルツの悪手と異なり何もだいなしにしていない。しかし不必要に事を複雑にした。
7...Ka3 8.Qd3+
8...Kb4
この手ではたちまち負け形になってしまう。しかしもっとましな 8...Kb2 でも所詮は負ける。白は 9.e7 Qh5+ 10.Ke6 Qg4+ 11.Kd6(又は 11.Qf5)あるいは 9.Qf5 の後 10.e7 で図94の解説のように指すことができる。
9.Qf5!
ここでは 9.e7 よりも簡明である。
9...Qc6
9...Qb7+ 10.e7 の方が黒は選択肢が多いが負けることには変わりない。10...Qc7 は本譜と同じになる。10...Qa7 は 11.Kf8 ですぐに負ける。10...Ka3 は 11.Qf4! Qa7 12.Ke6 で図94で見たように白が勝つ。
10.e7 Qc7 11.Qe4+ Ka3 12.Qd4!
白の 13.Kf8 の狙いが受からない。12...Qb7 は 13.Qa1+ から 14.Qb1+ でだめである。投了してもおかしくないがシュトルツは最後の罠に望みをかけた。
12...Qh2 13.Qc5+ Ka2 14.e8=Q Qf4+ 15.Kg7 Qg3+
16.Kf8!
飽くまで正確である。16.Qg6? は 16...Qc3+! で予期しないステイルメイトになってしまう。黒はここでようやく投了した。
(この節続く)