第3章 クイーン・エンディング
3.5 実戦例(続き)
図110はクイーン対ルーク+ナイトの面白い実戦例である。
図110 白の手番
ゼーミッシュ対プリンス、1938年
白は明らかに駒割で得している。しかしそれを勝ちに結びつけるのは難しい。ポーンは全て同じ側にある。白にはまだパスポーンがない。黒陣には攻撃目標がなく、ルークはd4とf4の間を往復できるので黒の手詰まりも問題外である。しかしそれでも白には明確な勝利への作戦がある。それはg3と突いてパスポーンを作りそれをクイーンにすることである。白は 1.Qh8 と準備してからこの計画を実行に移すことができた。しかし急ぎ過ぎて勝ちを危うくしてしまう。
1.g4 hxg3e.p. 2.fxg3 Ng5
機略のある防御の手で、黒は助かったも同然であった。黒は白のパスポーンを消してどちらにも1ポーンずつあるクイーン対ルークのエンディングに持ち込むつもりである。興味深い局面が出現する。
3.Qf5 Nxh3+ 4.Qxh3 Rc6
白は黒のナイト切りに明らかに動揺し、無方針に指し続けて最後には引き分けに同意した。最後の局面は白キングがf5、クイーンがf3、ポーンがg4、黒キングがg8、ルークがe6、ポーンがf7だった。実際この局面になってしまっては白はどうすることもできない。黒キングをg8又はg7から追い出すことができないし黒ルークを3段目からどかせることもできない。
しかし実戦の経過はさておいて、ナイト切りの後の局面に目を向けてみよう。白が勝つチャンスを逃がしたのは黒キングにg8の地点に行かせてしまったためであることが分かる。黒キングはe列に留め置かなければならない。それならば白が勝つことを証明しよう。
5.Qh4+ Ke8
クイーン対ルークのエンディングで見たように 5...f6 は白を利するだけである。
6.Qh8+ Ke7 7.Kf2
黒キングの動きを制限したので白はポーンをg5に、キングをf5又はh5に配置するつもりである。
7...Rg6 8.Kf3 Re6 9.Kg4 Rg6+ 10.Kh5
10...Re6
もちろん 10...Rxg3? は11.Qe5+ でだめである。
11.g4 Rg6 12.g5 Re6
(この節続く)