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第1部 開放型
第2章 エバンズ・ギャンビット
第25局
白 バード
黒 リビエール
1858年、ロンドン
本局で面白いのは白が無雑作に二度にわたりクイーンの交換を黙認または持ちかけたことである。それができるのは白がd列を所有しているからでありそれが勝敗を決めることになる。
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.b4 Bxb4 5.c3 Bc5
6.O-O d6 7.d4 exd4 8.cxd4 Bb6 9.h3
白は事を急がない。この予防手は白の立派な中原を脅かす 9...Bg4 による釘付けを未然に防いでいる。
9...Nf6
9...Nge7 なら白には次のように想像力に溢れた指し方がある。10.Ng5 d5(10...O-O なら 11.Qh5)11.exd5 Na5 12.d6 Nxc4 13.Qa4+ c6 14.Qxc4 Nd5 15.Re1+ Kf8 16.Re7 で白が縦横無尽に指し回している。
10.Nc3 O-O
黒が危機を脱したように思われる。しかし黒の苦闘は始まったばかりである。それゆえに 10...h6 が良かったとされている。
11.Bg5
『狙いは実行よりも強力である』という至言に沿った手である。この釘付けは 12.e5 を狙っているが黒にとっては次のようにすぐにやってこられるよりも深刻である。11.e5 dxe5 12.dxe5 Nd7 13.e6 fxe6 14.Bxe6+ Kh8 15.Ng5 Nde5 16.Qh5 h6 で白の攻撃は頓挫している。
11...Ne7
釘付けを緩和しようという手だが欠点もある。11...h6 と反駁する手が示唆されている。
12.e5
いよいよ敵陣突破である。
12...dxe5
すぐに 12...Nd7 は 13.Nd5 で白の勝勢となる。
13.dxe5
13...Nd7
仕方がない。13...Qxd1 は 14.Raxd1 で黒は駒損が避けられない。
14.e6
ここでの 14.Nd5 は 14...Bc5 で受かる。本譜のポーン突きは黒陣を混乱に落とし入れる。
14...fxe6 15.Bxe6+ Kh8 16.Nd5
16...Nf6
今度は 16...Bc5 としても単刀直入に 17.Bxd7 Bxd7(17...Qxd7 は 18.Nxe7 で白が駒得する)18.Re1 Re8 19.Qc2 Bd6 20.Nxe7 Bxe7 21.Rxe7 Rxe7 22.Qc5 で釘付けが奏功する。
17.Bxf6 gxf6 18.Bxc8
18...Rxc8
黒は危険に気付かず戦利品を漁った。黒は次のように局面の単純化に甘んじるべきだった。18...Qxd5 19.Qxd5 Nxd5 20.Bxb7 Rad8 で黒は全部のポーンが弱いが受けきれる局勢だった。
19.Nf4
黒にとっては新たな肩透かしである。ポーン得だがクイーン交換を誘われた。
19...Qxd1
19...Qe8 と交換を避けると 20.Ne6 でこのナイトの圧倒的な位置が形勢を左右する。
20.Raxd1 Rcd8 21.Ne6 Rxd1 22.Rxd1 Re8 23.Rd7
7段目の占拠はポーン損を補って余りある。『筋の開通は展開に勝る方に味方する』という原則がここでも確認できる。
23...Nd5
この何とか駒を捌こうという苦心の手(24.Rxd5 Rxe6)に対して白はそれを上回る手で応じた。23...c5 に対しては白は欲張って 24.Rxb7 c4 と指したりせずに堅実に 24.Nd2 と指す。
24.Nd8
黒キングを隅に留め置く。24.Ng7 は 24...Re7 と受けられる。
24...Nf4 25.Nf7+ Kg8 26.Nh6+ Kh8 27.Nh4
予備役のナイトが戦闘に加わった。次の手で黒のルークは最下段を離れるべきでなかった。黒は 27...Ng6 で駒の再編成をするべきだった。それでも黒の苦戦は免れがたい。
27...Re1+ 28.Kh2 Bxf2
28...Re8 と戻るのは 29.N4f5 で白の攻撃が功を奏する形である。
5手で詰む(29.Rd8+ Re8 30.Rxe8+ Kg7 31.N4f5+ Kg6 32.Rg8+ Kh5 33.g4#)。
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