第4章 ルーク・エンディング
4.1 ルーク対ポーン(続き)
しかし既に述べたようにこういう形はめったに現れない。我々にとってもっと役立つのはルークがポーンを止められる場合である。そこでの中心的な問題はルーク側が勝てるのかどうかということである。そのような局面はポーンがキングによって守られていて相手のキングによってすぐに止められない場合に現れる。典型的な構図から始めよう。
図115
1.Ke7
黒の手番だったら 1...f4 2.Ke7 f3 3.Kf6 f2 4.Kg5 Ke3 5.Kg4 Ke2 で引き分けになるところである。
1...f4 2.Kf6 f3
黒がポーンとキングのどちらを先に動かしても関係ない。
3.Kg5 f2 4.Kg4 Ke3 5.Kg3 Ke2 6.Kg2 で白が勝つ。
もちろん局面がいつもこのように明快であるとは限らない。ここで分かるのは進路が妨害されないように白キングが敵キングの反対側から近づかなければならないということである。黒は敵キングが近づくのをじゃますることによって貴重な手を稼ぐことができる時がある。これは効果的な防御法となり得る。
例えば図115を少し変えて白キングをc7に置くと理論的にはg2に行くのに5手しかかからないはずなのに白が先手でも勝てない。
その理由は次のように黒キングが白に手損を強いることができるからである。1.Kd6 f4 2.Ra4+ 2.Ke6 なら 2...f3、2.Kc5 なら 2...f3 3.Kc4 f2 4.Kc3 Ke3 である。2...Ke3 3.Ke5 f3 4.Ra3+ Ke2 5.Ke4 f2 6.Ra2+ Ke1 7.Ke3 f1=N+! で黒が引き分けにできる。
または 1.Re1+ Kd4 2.Rf1 Ke4 3.Kd6 f4 4.Ke6 4.Kc5 は 4...f3 5.Kc4 Ke3 6.Kc3 f2 である。4...f3 5.Kf6 Ke3 6.Kg5 f2 7.Kg4 Ke2 でやはり引き分けである。
白キングが間違った側にいるならば昇格枡にそれだけ近くないと勝てない。例えば図115で白キングがc6にいるならば次の手順で勝つ。
1.Kc5 f4 2.Kc4 Ke3 2...f3 は 3.Re1+ から 4.Kd3 である。3.Kc3 Ke2 3...f3 なら 4.Re1+ Kf2 5.Kd2 Kg2 6.Ke3 f2 7.Re2 である。4.Kd4 f3 5.Ra2+ から 6.Ke3 である。
図115についてはまだ全ての変化を尽くしていない。白キングの位置を変える代わりにルークをd1に置いて白の手番としてみよう。
普通の手順では障害に出くわす。つまり 1.Ke7 f4 2.Kf6 f3 3.Kg5 f2 4.Kg4 Ke3 5.Kg3 Ke2 でルークが当たりになるので引き分けである。この局面から勝つには白は次のようにまずルークの位置を正さなければならない。1.Re1+! Kd4 1...Kf3 は 2.Rf1+ Kg4 3.Ke7 f4 4.Ke6 f3 5.Ke5 Kg3 6.Ke4 f2 7.Ke3 である。2.Rf1! Ke4 ここで初めて白キングが近づいて行く。3.Ke7! f4 4.Kf6 f3 5.Kg5 Ke3 6.Kg4 f2 7.Kg3 で白が勝つ。
(この節続く)