******************************
第1部 開放型
第2章 エバンズ・ギャンビット
第26局
白 モーフィー
黒 レーベンタール
1859年、ロンドン
本局では開放列での攻撃の価値がどのようなものかが単なる言葉で説明するよりも明確に良く分かる。
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.b4
モーフィーはこの手を多くの対局で強いアマチュア相手に指しているが彼の手にかかると目もくらむほどの結果を生み出した。
本局の相手は第一級のマスターだった。
4...Bxb4 5.c3 Bc5 6.O-O d6 7.d4 exd4 8.cxd4 Bb6 9.d5
この手は当分の間「イタリア斜筋」を隠すがその代わり黒陣を混乱させる効果を持っている。
9...Ne5
この捌きは白の駒繰りを速めるのを助けるだけである。正着は 9...Na5 で、この後よく指されているのは 10.Bb2 Ne7(10...Nxc4 は 11.Qa4+ から 12.Qxc4)11.Bd3 O-O 12.Nc3 Ng6 で両者とも仕掛けの機会をうかがうことになる。
10.Nxe5 dxe5 11.Bb2
11...Qe7
eポーンを守りながら将来の ...Qb4 の反撃を狙っている。
黒が 11...f6 と守った場合白が 12.Bxe5 fxe5 13.Qh5+ Kf8 14.Qxe5 と駒を捨てて攻めるのは 14...Qf6 と受けられるので無理筋である。白の最善手は 12.Kh1 Ne7 13.f4 で有望な形勢である。
12.Bb5+
12.Qh5 は 12...Bd4 がピッタリの受けである。
12...Bd7 13.Bxd7+ Kxd7 14.Qg4+
この最も簡単な手で白はポーンを取り返すだけでなく、攻撃を放棄することなくポーンをもう一つ獲得する。
14...f5
14...Ke8 は 15.Qxg7 Qf6 16.Bxe5 で白の必勝形である。14...Kd6(今か次の手で)は 15.Nd2 で黒の運命は風前の灯である。
15.Qxf5+ Ke8
16.Bxe5
白は 16.Qxe5 Qxe5 17.Bxe5 Kf7 と清算するよりも直接的な駒の活動に期待している。
16...Nh6 17.Qf4 Kd7
黒はこの人工キャッスリングでルークの連結を望んでいる。
18.Nd2
18.Nc3 は大悪手で 18...Rae8 で黒が駒得する。
18...Rae8 19.Nc4
受け(ビショップの守り)と攻め(20.d6 cxd6 21.Rad1)を兼ねている。
19...Bc5
d6の地点を強化した。19...Kc8 と早逃げするのは 20.Rac1 で攻撃を勢いづかせる。
20.Rad1
白は 20.Bxc7 Rhf8(20...Qxe4 は 21.Ne5+ Rxe5 22.Bxe5 で良くない)21.Qe5(21.Qg3 は 21...Qxe4 22.Qxg7+ Nf7 で逆転)21...Ng4 22.Qxe7+ Rxe7 23.Bg3 Rxe4 でも大いに良かった。しかしモーフィーは締め付けを緩めない方を選んだ。
20...Bd6 21.Bxd6 cxd6 22.Rb1
この手と以降の手で白は大駒の攻撃目標をたちまちのうちに替えてしまった。
22...b6 23.Rfc1 Qf6 24.Qe3
24...Ng4
24...Rb8 は幸便に 25.e5 と突かれる。
25.Nxb6+
鮮やかなナイト切りである。この後もっと豪勢な駒捨てが出てくる。
25...axb6 26.Rc7+
26...Kd8
崖っぷちの受けである。26...Kxc7 は 27.Qxb6+ Kd7 28.Qa7+ から 29.Rb8# で詰まされる。
27.Qxb6 Qxf2+ 28.Qxf2 Nxf2 29.Ra7
30.Rb8# の狙いが残っているので駒損を取り返すことができる。これで2ポーン得となり陣形の差も圧倒的である。
29...Nh3+ 30.gxh3 Kc8 31.Kf2 で白の勝ち。
31...Rhf8+ は 32.Ke3 で黒はどうしようもない。31...Rxe4 は 32.Ra8+ でもう一つのルークを取られるのでだめである。
******************************