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第1部 開放型
第2章 エバンズ・ギャンビット
第29局
白 コーリッシュ
黒 アンデルセン
1860年、パリ
本局の黒のようにキングが原位置に留まっていると強襲にさらされる可能性が常につきまとう。
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.b4 Bxb4 5.c3 Ba5
この位置への退却は白の手の届かない所なので 5...Bc5 よりも賢明である。
6.d4
この手は 6.O-O よりも積極性がある。6.O-O に対して黒は次のように色々な応手がある。
(a) 6...d6 7.d4 Bd7(サンダーズ-アラピン防御。7...exd4 は 8.cxd4 Bb6 で通常の局面に戻る)8.Qb3 Qe7
(b) 6...Nf6 7.d4 O-O 8.Nxe5 Nxe4 で非常に難解な戦いになる。
(c) 6...Qf6(シュタイニッツ防御)次の第30局を参照。
6...exd4 7.O-O
7...dxc3
妥協防御と呼ばれるこの手で黒は当面は3ポーン得になるが猛攻にさらされることになる。他には以下のような手がある。
(a) 7...Bb6 8.cxd4(8.Qb3 なら 8...Na5)8...d6 は通常の局面になる。
(b) 7...d6 8.Qb3(ワラー攻撃)は 8...Qf6 9.e5 dxe5 10.Re1 Bd7 11.Bg5 で黒にとって非常に厄介である。
(c) 7...Nf6 8.Ba3 d6 9.e5 で黒の状況は一層悪い。
(d) 7...Nge7 8.cxd4 で攻撃が続く。
(e) 7...b5 8.Bxb5 dxc3 9.Ba3 で白の圧倒的な体勢である。
(f) 7...d3 次の試合(アンデルセン対デュフレーヌ、ベルリン、1853年)が有名である。8.Qb3 Qf6 9.e5 Qg6 10.Re1 Nge7 11.Ba3 b5 12.Qxb5 Rb8 13.Qa4 Bb6 14.Nbd2 Bb7 15.Ne4 Qf5 16.Bxd3 Qh5 17.Nf6+ gxf6 18.exf6 Rg8 19.Rad1
(自然だが平凡な 19.Be4 に満足しないで破天荒な手筋をもくろんでいる)19...Qxf3(黒は本気にしていない。しかし 19...Rg4 なら 20.c4、19...Qg4 なら 20.Qxg4 Rxg4 21.Bf5 でしょせん白が良い)20.Rxe7+ Nxe7(20...Kd8 は 21.Rxd7+ Kc8 22.Rd8+ で白の勝ち)21.Qxd7+ Kxd7 22.Bf5+ Ke8 23.Bd7+ Kf8 24.Bxe7#
で詰みである。実戦ではなかなかお目にかかることのできない比類ない手筋の連続であった。
8.Qb3
8...Qf6
8...Qe7 は 9.Ba3 d6 10.e5 で白が有望である。
9.e5
9...Qg6
9...Nxe5 は 10.Re1 d6 11.Nxe5 dxe5 12.Qa4+ で黒の駒損になる。
10.Nxc3
10...b5
この手は何とか白の矛先をかわそうという意味だが成功はおぼつかない。10...Bxc3 も 11.Qxc3 b6 12.e6 で白が順調である。比較的ましな手は 10...Nge7 だが 11.Ba3 O-O 12.Nd5 でやはり黒が前途多難である。
11.Nxb5 Rb8
12.Qe3
この機敏なクイーンの移動で白は黒の 12...a6 の狙いをかわし主導権を維持している。
12...Nge7 13.Qe2
この手は敵のクイーンを 14.Nh4 で捕まえる狙いである。
13...Qh5 14.Ba3
14...Bb7
14...a6 は 15.Nd6+ cxd6 16.exd6 で白が優勢である。
15.Rad1
15...Nf5
15...O-O は 16.Rxd7 があるのでまだキャッスリングできない。そこで黒はナイトの捌きを図る(狙いは 16...Nce7 から 17...Bxf3)。しかし黒の窮屈な陣形は災いを呼び込むことになる。
16.Rxd7
「キング狩り」のためのルーク切りである。
16...Kxd7 17.e6+
17...Kc8
17...fxe6 は 18.Qxe6+ Kd8 19.Rd1+ Ncd4 20.Nxd4 で簡単に終わる。
18.exf7 Ba8 19.Nxa7+
この鮮やかな手は敵キングから逃げ道のb7を奪うためである。
19...Nxa7
19...Kb7 ならば 20.Nxc6 で 20...Kxc6 と取り返してくれば 21.Ne5+ でクイーンを素抜ける。
20.Qe6+
20...Kd8
20...Kb7 は 21.Qa6# でも 21.Ba6# でも詰む。
21.Rd1+ Nd6
22.Rxd6+
事態は成り行きで当然の経過をたどる。しかし 23.Bxd6 の方がもっと早く決まっていた。
22...cxd6 23.Qxd6+ Kc8 24.Be6+ Kb7 25.Bd5+
25...Qxd5
つらいが仕方ない。25...Kc8 は 26.f8=Q+ Rxf8 27.Qxf8+ Kc7 28.Qe7+ で次の手で詰む[訳注 28...Kc8 29.Be6# のつもりだったようですが 28...Kb6 と逃げる手があり 29.Bc5+ Kb5 30.Nd4+ Ka4 31.Bb3+ Rxb3 32.axb3# までの詰みとなります]。
26.Qxd5+ Ka6 27.Qc4+ Kb7 28.Qe4+ Nc6 29.Ne5
29...Ka6 30.Qc4+ Ka7 31.Bc5+ Rb6 32.Bxb6+
収穫を得た。
32...Bxb6 33.Nxc6+ Bxc6 34.Qxc6 黒投了
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