第3章 大局観
第13局
本局のあなたは黒番で、指導パートナーはソ連外の最強選手のサミュエル・レシェフスキーである。対戦相手はエイブ・ターナーである。この試合は1956年にニューヨークで開催されたローゼンワルド大会で指された。局面図までの手順は次のとおりである。
1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.Qc2 c5 5.dxc5 O-O 6.Bf4 Bxc5 7.e3 Nh5 8.Bg3 Nc6 9.Be2 Nxg3 10.hxg3
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10...h6
2点。このような詰みの狙いをどのように受けたらよいかは常に問題となる。この局面では 10...g6 と受けるのは黒のポーンが余りにも白枡に片寄って自分の白枡ビショップの障害になりいつか白クイーンがh6に侵入してくる危険性を排除できなくなる。10...f5 は明らかな悪手で 11.g4 で黒の二重ポーンを解消させるし、ますます自分のキング翼を薄くしてしまう。
11.Rd1
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11...b6
2点。白の小駒は容易に攻撃に加われないので黒は今のところは素通しのh列をあまり気にする必要はない。この手は ...d6 から ...Bd7 と展開する手よりも積極的な手段である。
12.Nf3
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12...Bb7
1点。
13.g4
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13...Be7
1点。白の狙いは g5 突きである。黒はこの狙いを防ぐためにポーンを動かして自分のポーンの形をさらに崩すのを嫌った。
14.Qb1
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14...Rc8
2点。黒は自分のポーンの形を決める前にインディアン防御によく出てくるのだが役駒を動かして敵のポーンの形に隙を作らせる良く知られた戦略に従っている。14...d6(1点)も考えられる手である。しかし 14...Qc7 は 15.Nb5 と来られ、クイーンがb8に引っ込むと隅のルークが動けなくなり、他の所へ行けば白のナイトがd6に居座ってしまう。
15.O-O
自らの攻撃に将来性がないことを認めた手である。
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15...d6
1点。今度は 15...Qc7(1点)も可能である。16.Nb5 と来ても 16...Qb8 でよい。
16.Rc1
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16...Qc7
1点。白の次の手を避けた 16...Qd7 は2点である。
17.Nd5
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17...Qd7
2点。17...exd5 18.cxd5 は0点である。白は駒を取り返した後f5の地点を自分のナイトのための拠点として利用できるようになる。
18.Nc3
一貫性のない手である。白は 18.Nxe7+ と指すべきで互角の形勢である。白は 18...Qc7 19.Nd5 と同じ手を繰り返して黒が引き分けに同意してくれることを期待していた。
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18...Rfd8
この手と 18...Bf6 は2点。
19.Rfd1
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19...Bf6
1点。
20.Ne4
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20...Qe7
2点。21.Nxf6+ と取ってくれば 21...Qxf6 でクイーンが攻撃的な位置を占める。代わりに 20...Be7 と守ると 21.c5 で白にとってありがたい。
21.Nc3
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21...Na5
2点。黒は展開が完了したので相手のポーンの形を組織的に弱めていく作戦を開始した。
22.Nb5
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22...a6
1点。23.Na7? と入ってくれば 23...Ra8 で取られる。
23.Nbd4
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23...g6
1点。黒は欠陥のない陣形でさらなる展開を見据えている。白はとっくの昔にキング翼での攻撃を断念しているのでこの手は陣形を弱めることにはならない。23...Rc7 と 23...Nc6(どちらも1点)も良い手である。
24.b4
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24...Nc6
1点。
25.a3
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25...Kg7
この手と 25...Nxd4 及び 25...Rc7 はどれも1点。
26.Bd3
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26...Nxd4
この手と 26...Rc7 は1点。
27.Nxd4
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27...Rc7
1点。
28.Be2
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28...Rdc8
1点。黒が白のcポーンを取れる見込みは当分ないが圧力をかけることによって白の駒をその守りに縛り付ける。
29.Nb3
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29...Be5
3点。この手はさらに白のポーンの弱体化を誘う目的で指された。30.f4 なら 30...Bf6 で黒はビショップまたはクイーンをg3に潜り込ませる狙いである。しかしこの方が本譜の白の手よりも良かった。
30.Nd2
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30...Qf6
3点。...Bb2 が常に狙いとして浮かび上がった。
31.Nf1
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31...Bc6
3点。黒の狙いは ...Ba4 である。32.b5 なら 32...axb5 33.cxb5 Bd5 でいずれにしても黒の二つのビショップは理想的な平行または交差した斜筋で威力を発揮する。
32.Re1
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32...Ba4
1点。
33.Bd1
この手は見落としによる悪手だった。33.Qa2 ならまだねばれた。
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33...Bxd1
1点。
34.Rcxd1
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34...Rxc4
1点。
35.f3
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35...d5
この手と 35...Rc2 は1点。
36.Rd3
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36...Rc2
1点。
37.Red1
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37...Rb2
2点。白はクイーンを取られてしまう。
38.Qa1
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38...Rxg2+
1点。
39.Kxg2
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39...Bxa1
1点。
40.Ng3
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40.Rc2+
この手と 40...Qb2+ 及び 40...Rc3 は1点。
41.R1d2
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41...Qb2
この手と 41...Rxd2+ は1点。
42.Nf1
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42...Rxd2+
1点。
43.Rxd2
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43.Qxa3
1点。
白投了。
診断 この試合は相手が主導権を取る努力をしようとせず、あなたの方から相手を捕まえるのを待っている時に取るべき技法を示している。このような状況では全面攻撃を開始する前に自分の駒を最も攻撃的でお互いに協力し合う位置に配置し直す時間がある。特に注目すべきは23,25,29,30及び31手目のように少しずつではあるが確実に自分の陣形をじっくり良くしていく指法である。このような手は大局観指法の真髄である。