第4章 ルーク・エンディング
4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)
B ルーク+ルーク列以外のポーン
(b)6段目のポーン
図155を出発点として白ルークまたは黒キングの位置をいろいろ変えた局面を考えていくことができる。白ルークを f 列、h列あるいはa1からa6までの枡に置いても黒は同じように受けることができるので何も変わらない。しかしその他の位置のほとんどは白の勝ちになる。図156は白ルークがa7の場合である。
図156
黒ルークがb7でチェックできないのでこの局面は白の勝ちである。しかしその手順は興味深く参考になる。白ルークがa8にいる場合は白がかなり楽に勝つので述べておく価値がある。
白の狙いは 2.Ke8 から 3.e7 である。1...Rb7+ 1...Rb1 なら 2.Ke8 Rh1 3.Ra7+ Kf6 4.e7 Rh8+ 5.Kd7 Kf7 6.Ra1 で白が勝つ。2.Kd6 Rb6+ 3.Kd7 Rb7+ 4.Kc6 Re7 5.Kd6 Rb7 6.e7 でポーンがクイーンに昇格する。これを補助知識として図156の分析に移る。
1...Rb8!
最善の防御である。1...Rb1 や 1...Kg6 のような手待ちでは白が 2.Ra8 と指すことができて補助知識の図と同じことになる。本譜の手は白にこの手を指させないようにして白の手を難しくさせている。
2.Kd6+!
勝つための唯一の手である。2.Ra1 は 2...Rb7+(図155)、2.Rd7 は 2...Ra8(図154)で引き分けである。2.Kd7 は 2...Kf6 でも 2...Kf8 でも引き分けになる。
2...Kf6
次の変化のように黒には選択の余地がない。
1) 2...Kf8 3.Kd7! Re8 3...Kg7 は 4.Ke7! で本譜と同じになる。3...Kg8 は 4.Ra1 Rb7+ 5.Kd8 Rb8+ 6.Ke7 Rb7+ 7.Kf6 で白が勝つ。4.Ra1 Re7+ 5.Kd6 Rb7 6.Ra8+ Kg7 7.e7
で白が勝つ。
2) 2...Kg6 3.Ra1! Rb6+ 3...Rb2 なら 4.Re1 である。4.Kd7 Rb7+ 5.Kc6 Rb8 6.Kc7 Rb2 7.Re1! Rc2+ 8.Kd7 Rd2+ 9.Ke8
から 10.e7 で白が勝つ。
3.Kd7!
ただし 3.Rf7+ は 3...Kg6 4.Rf1 Ra8! でだめである。本譜の手は黒を手詰まりに追い込んだ。この局面で黒の手番なので白は勝つことができる。読者はこれを確かめられたい。
3...Kg7
3...Kg6 は黒の2手目の変化 2) の要領で白が勝つ。黒ルークが動くのは 4.e7 で黒が早く負ける。しかし本譜の手の後白は困難に陥っているように見える。
4.Ke7!
これも再び黒を手詰まりに陥れる妙手である。4.Ra1 はもちろん 4...Rb7+(図155)で引き分けになってしまう。
4...Rb1
4...Kg6 は 5.Ra1 Rb7+ 6.Kd6 で黒の2手目の変化 2) と同じになる。4...Kg8 は 5.Kf6(5.Ra1 でも良い)5...Rf8+ 6.Kg6 Rb8 7.Rg7+ Kh8 8.Rf7 Kg8 9.e7 で白が勝つ。4...Rc8 は 5.Ra1 Rc7+ 6.Kd8 から 7.e7 で白が勝つ。
5.Ra8!
これでようやく図156で白ルークがa8にいる局面にたどり着いた。白の勝つ手順は既に示したとおりである。スタディにしても良いくらいの妙手の連続であった。
(この節続く)