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2008年05月 アーカイブ

2008年05月01日

実戦に役立つエンディング(158)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(b)6段目のポーン

 図158は白ルークがd1にいる局面である。

YKeres158.JPG 図158

 この局面も一つの例外を除いて白ルークがd列のどこにいても白が勝つ。唯一の例外とはd7で黒は 1...Ra2! で引き分けにすることができる(図154を参照)。

1...Rb7+

 白ルークがd5ならば黒は 1...Kg6 を試してくるかもしれない。
YKeres158A.JPG
しかしそれでも白が勝つ。2.Rd8 2.Rd1 でも良い。2...Rb7+ 白の狙いは 3.Ke8 である。2...Kf5 は 3.Kf7 で白が勝つ。3.Rd7 Rb8 3...Rb6 なら 4.Ra7 Kf5 5.Ra5+ Kg6 6.Ra1! Rb7+ 7.Kd8 Rb8+ 8.Kc7 Rb2 9.Re1 で白が勝つ。この局面は後にまた触れる。4.Ra7! Kg7
YKeres158B.JPG
後は図156と同様に 5.Kd6+ Kf6 6.Kd7! Kg7 7.Ke7! で白が勝つ。

2.Rd7

YKeres158C.JPG

2...Rb1

 2...Rb8 は 3.Rd8 Rb7+ 4.Kd6 で本譜と同じになる。2...Rb6 は 3.Ke8+ Kf6 4.e7 Ke6 5.Kf8! で白が勝つ。

YKeres158D.JPG

3.Rd8

 白の狙いは 4.Ke8 である。すぐに 3.Ke8+ と指すと 3...Kf6 4.e7 Ke6! で引き分けになってしまう。

3...Rb7+ 4.Kd6

YKeres158E.JPG

4...Rb6+

 白の狙いは 5.e7 である。それを 4...Kf6 で防ぐのは 5.Rf8+ から 6.e7 で白が勝つ。

5.Kd7 Rb7+ 6.Kc6

YKeres158F.JPG

6...Re7

 6...Ra7 なら 7.Rd7+ で白が勝つ。

7.Kd6

YKeres158G.JPG

これで白の勝ちである。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(150)

erickivan 2058 - Asahigaoka 1855
B52 ICC 5m++12s 2004.07.31

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. Bb5+ Bd7 4. Bxd7+ Qxd7 5. O-O Nf6 6. Re1 Nc6 7. b3 g6 8. c3 Bg7 9. d4 cxd4 10. cxd4

YItte0150.JPG

10... O-O

定跡は 10... d5 11. e5 Ne4 でした。

11. Nc3 Rac8 12. Bb2 Rfd8 13. d5 Ne5 14. Nxe5 dxe5 15. Qd3 a6 16. Ba3 Ne8 17. Na4 Rc7 18. Rac1 Bh6 19. Nb6 Rxc1 20. Bxc1 Qc7 21. Bxh6 Qxb6 22. Be3 Qa5 23. Bd2 Qxa2 24. Qc3 Qa3 25. Qxe5 Qd6 26. Qc3 Nc7 27. Bh6 f6 28. e5 fxe5 29. Rxe5 Nxd5 30. Rxd5 1-0

2008年05月02日

実戦に役立つエンディング(159)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(b)6段目のポーン

 これで図155で白ルークの全ての配置を分析したことになる。結論をまとめると白ルークがc4、c5、c6、e5、e8を除くc、d、e、g列にいると白が勝つ。また白ルークがa7又はa8にいる時も白が勝つ。白ルークが他の枡にいる時は黒が正しく受ければ引き分けになる。

 今度は図155を少し変えて黒キングをg6に置いてみよう。このわずかな変更が時々決定的な違いを生み異なった対応をしなければならないことがある。図159をこれからの分析の出発点とする。

YKeres159.JPG 図159
グリゴリエフ、1937年

 黒キングがg7の時は引き分けだったがこの局面では次のように白の勝ちとなる。

1...Rb7+

 白は 2.Rg1+ Kf5 3.Kf7 で勝ちを狙っているのでこの手は必然である。

2.Kd8

YKeres159A.JPG

2...Rb8+

 2...Kf6 3.e7 Rb8+ の後白は 4.Kc7 Re8 5.Kd6 Rb8 6.Rf1+ Kg7 7.Kc7 Ra8 8.Ra1! でも 4.Kd7 Rb7+ 5.Kd6 Rb6+ 6.Kc7 Re6 7.Kd8 Rd6+ 8.Ke8 でも勝てる。

 もし元々の白ルークの位置がa5だったら
YKeres159B.JPG
黒は 2...Kf6 で引き分けにできる(白が2手目に 2.Kd6 と指しても同じ)。白ルークがa4又はa6の引き分けの局面についてはすぐ後で分析する。

3.Kc7 Rb2

YKeres159C.JPG

4.Re1!

 図155との違いはここにある。黒キングがg7の場合は 4...Kf8 とできた。しかしこの局面ではポーンが止められない。注意すべきは 4.Rf1 でこれは 4...Ra2! で図150の分析で見たように引き分けになる。

4...Rc2+ 5.Kd7 Rd2+ 6.Ke8

YKeres159D.JPG

 から 7.e7 で白が楽に勝つ。

 白ルークがa4(又はa6)の場合は引き分けである。
YKeres159E.JPG
1...Rb7+ 2.Kd8 2.Kd6 なら 2...Rb6+ 3.Kd7 Kf6! 4.Rf4+ Ke5 でよい。この手順中 4.Ra1 なら 4...Rb7+! である。白ルークが元々a6の場合は 2.Kd6 には 2...Kf6! で引き分けになる。2...Kf6! 2...Rb8+ は 3.Kc7 Rb1 4.Re4! で黒の負けとなる。しかし白ルークが元々a6の場合は 2...Rb8+ 3.Kc7 Rb1 で白ルークがe列に回れないので引き分けになる。3.Re4 3.e7 なら 3...Rxe7! である。3...Rb8+ 4.Kd7 4.Kc7 なら 4...Ra8! でよい。4...Rb7+ 5.Kd6 Rb6+
YKeres159F.JPG
で明らかに引き分けである。

 白ルークがf列とh列の場合も同様に引き分けである。例えば白ルークがf1の場合
YKeres159G.JPG
黒は 1...Rb7+ 2.Kd8 Rb8+ 3.Kc7 Ra8! で図150のように引き分けにできる。

 白ルークがc、d、e列の場合白は図155の要領で勝つ。しかし二つの大きな違いがある。

 第一は白ルークがc6にいても白が勝つということである。
YKeres159H.JPG
1...Rb7+ 1...Rb8 は 2.Rc1 Rb7+ 3.Kd8 Rb8+ 4.Rc8 から 5.e7 で白が勝つ。この手順中 3...Kf6 ならば 4.e7 Rb8+ 5.Kd7 Rb7+ 6.Kd6 Rb6+ 7.Kc7 Re6 8.Kd8 で良い。2.Kd8 Rb8+ ここでは 2...Kf8! がない。3.Rc8
YKeres159I.JPG
から 4.e7 で白が楽に勝つ。

 第二は今度は黒にとって有利な点だが白ルークがe4にいるとポーンに近過ぎるために白が勝てない。
YKeres159J.JPG
1...Ra2! 白ルークがe5の場合もこの手で黒は引き分けにできる。白ルークがe8の場合黒は 1...Rb7+ 2.Kd6 Rb6+ 3.Kd7 Rb7+ 4.Kc6 Ra7 で引き分けにできる。2.Rg4+ これ以外の手では黒は図154の引き分けの局面に到達することができる。2...Kf5 3.Rd4 白ルークが当たりになっていなければ 3.Kf7 で白が勝つところである。3...Ke5! 3...Kg6 は 4.Ke8! から 5.e7 で、3...Ra7+ は 4.Rd7 Ra6 5.Rd6 Ra7+ 6.Kf8 で白が勝つ。4.Rd1 Ra7+ 5.Rd7 Ra6
YKeres159K.JPG
これで引き分けになる。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(151)

Tigram 1994 - Asahigaoka 1952
B90 ICC 20m++10s 2004.08.01

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. Be3 e5 7. Nb3 Be6 8. f3 Nbd7 9. g4 b5 10. g5 b4 11. Na4 Nh5 12. Qd2

YItte0151.JPG

12... a5

定跡は 12... Be7 13. Qxb4 d5 でした。

13. O-O-O Be7 14. Kb1 O-O 15. Rg1 Qc7 16. Qf2 Qc6 17. Nb6 Nxb6 18. Bxb6 a4 19. Na5 Rxa5 20. Bxa5 d5 21. Qb6 Qxb6 22. Bxb6 d4 23. Bc7 b3 24. axb3 axb3 25. Bxe5 bxc2+ 26. Kxc2 Rc8+ 27. Kb1 Bb3 28. Rc1 Ba2+ 29. Kxa2 Rxc1 30. Bxd4 Nf4 31. Be3 1-0

「ヒカルのチェス」(67)

「Chess Life」2004年3月号

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ナカムラがパンプローナ大会で5位

 米国の少年GMヒカル・ナカムラが12月下旬にスペインで開催されたパンプローナ招待大会で3点を挙げアルフォンソ・ロメロ・ホルメスと共に5位に入賞した。彼の実効レイティングは2561だった。ミゲル・イリェスカス・コルドバ、ルーク・マクシェーン及びエミル・ストフスキーが4.5点だったが決定戦の末イリェスカスが優勝した。4位には3.5点のビクトル・ボローガンが入った。最下位はセルゲイ・カリャーキンとヤニック・ペルティエだった。強度15(平均レイティング2606)の全員GMによる総当たり戦は2003年の終わりと今年の初頭にナカムラが参加する二つの重要な国際大会の最初の大会である。現在はベイク・アーン・ゼーでのコーラスB大会で戦っている。

 ナカムラは最初の2戦を負けた後ボローガンと引き分けカリャーキンに勝ちマクシェーンと引き分けイリェスカス・コルドバに負けた。そして最終戦でペルティエに勝った。

シチリア防御 [B47]
白 GMヒカル・ナカムラ
黒 GMヤニック・ペルティエ
スペイン・パンプローナ、第7回戦

1.e4 c5 2.Nf3 e6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nc6 5.Nc3 Qc7

Y080502A.JPG

6.Nb3 Nf6 7.Bd3 a6 8.O-O d6 9.f4 b5

Y080502B.JPG

10.Qf3 Bb7 11.Bd2 Be7 12.Rae1 b4 13.Na4 O-O

Y080502C.JPG

14.Be3 Rae8 15.Qh3 e5 16.Nb6 Nb8 17.Nd2 Bd8

Y080502D.JPG

18.Nbc4 Nbd7 19.b3 Nc5 20.fxe5 dxe5 21.Bf2 Bc8

Y080502E.JPG

22.Qf3 Be7 23.h3 Ne6 24.Bg3 Bc5+ 25.Kh1 Nd7

Y080502F.JPG

26.Ne3 Bxe3 27.Qxe3 Ndc5 28.Bc4 f6 29.Bd5 Kh8

Y080502G.JPG

30.Nc4 Rd8 31.a3 bxa3 32.b4 Na4 33.Qxa3 Nb6

Y080502H.JPG

34.Ne3 Nf4 35.c4 Nfxd5 36.exd5 f5 37.Bh4 Rde8

Y080502I.JPG

38.c5 Nd7 39.Nxf5 Nxc5 40.Nxg7 Qxg7 41.bxc5 e4

Y080502J.JPG

42.Rxf8+ Qxf8 43.d6 Qh6 44.Qc3+ Kg8 45.Qg3+ 1-0

Y080502K.JPG

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 年齢ごとの基準レイティングを突破した18歳以下の子供が毎年「全米チェスチーム」に選ばれます。15歳の基準レイティングを軽く突破したヒカルが今年も33人のうちの1人に選ばれました。なおこのチームは仮想的なチームで、チームとして何かをするわけではありません。

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堂々の2004年度全米チェスチーム

Y080502L.JPG

Y080502M.JPG

26 ヒカル・ナカムラ、15歳、レイティング2656(ニューヨーク州)
ヒカルはボビー・フィッシャーの1958年の記録を破ってグランドマスターの称号を獲得した最年少の米国人である。彼の目標は世界チャンピオンになることである。ヒカルは歴史と数学が好きでテニスが趣味である。

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(この号終わり)

2008年05月03日

実戦に役立つエンディング(160)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(b)6段目のポーン

 白ルークが他の地点にいる場合も勝ち方は黒キングがg7にいる場合と同じである。例外は白ルークがd列にいる場合で図160のように白はもっと苦労する。

YKeres160.JPG 図160

1...Rb7+

 白ルークがd5にいる時は 1...Ra2! 2.Ke8 Kf6 3.e7 Ke6!、白ルークがd7にいる時は 1...Ra2! で黒は引き分けにできる。

 しかし白ルークがd4にいる時は 1...Ra2 2.Ke8! Kf6 3.e7 Ke6 4.Re4+ で白が勝つ。

2.Rd7

YKeres160A.JPG

2...Rb8

 2...Rb6 は 3.Ra7 Kf5 4.Ra5+ Kg6 5.Ra1 で図159のように白が勝つ。2...Rb1 も 3.Ra7 で白が勝つ。

3.Ra7!

YKeres160B.JPG

 図158(黒キングがg7にいる)では白は 3.Rd8 Rb7+ 4.Kd6 Rb6+ 5.Kd7 Rb7+ 6.Kc6 で楽に勝つことができた。しかしここではこの後 6...Ra7! で 7.Rd7 がチェックにならないから引き分けになってしまう。だから白は手数のかかる手順を取らなければならない。

3...Kg7

YKeres160C.JPG

 これで図156で黒が最強の 1...Rb8 と指した局面になった。そこで見たように白は 4.Kd6+ Kf6 5.Kd7! Kg7 6.Ke7! Rb1 7.Ra8 Rb7+ 8.Kd6 Rb6+ 9.Kd7 Rb7+ 10.Kc6 Re7 11.Kd6 Rb7 12.e7 で勝つ。この重要な手順については図156の詳細な分析を参照されたい。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(152)

Asahigaoka 1854 - top777 2171
B16 ICC 3m++12s 2004.08.01

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Nf6 5. Nxf6+ gxf6 6. c3

(75)で習得した手です。

6... Bf5 7. Nf3 e6 8. g3 Qc7

YItte0152.JPG

9. Bf4

定跡は 9. Bg2 でした。

9... Bd6 10. Bxd6 Qxd6 11. Bg2 Nd7 12. O-O Be4 13. Re1 f5 14. Ng5 Bxg2 15. Kxg2 Nf6 16. c4 h6 17. Nf3 O-O-O 18. Ne5 Qc7 19. Qa4 Kb8 20. d5 cxd5 21. cxd5 Rxd5 22. Rac1 Qe7 23. Qc4 Ne4 24. Nc6+ bxc6 25. Qxc6 Qb7 0-1

2008年05月04日

実戦に役立つエンディング(161)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(b)6段目のポーン

 今までの結果をまとめると次のようになる。図159で白ルークがa、c、d、e、g列にいる時、a4、a5、a6、c4、c5、d5、d7、e4、e5、e8を例外として白が勝つ。白ルークがこれらの例外の地点やf、h列にいる時は引き分けである。

 これまで6段目のポーンの場合についてかなりの量を割いて分析してきたがこれにはそれなりの理由がある。このような局面はルーク+ポーン対ルークのエンディングの基礎を形成しているので細部まで詳しく理解している必要があるのである。この知識の習得に要した時間は決して無駄になることはない。

 これまでの全ての局面を1列右側に移すと黒ルークの動ける余地が広がるので黒の引き分けの可能性が高まるのは明らかである。しかしその場合でも基本的な指し方は同じである。検討を完全にするために黒キングがポーンの間違った側(即ち広い方)にいる例を考えてみよう。

YKeres161.JPG 図161

 何が違うかというと黒ルークが横から効果的なチェックをするための幅が足りないということである。黒は手番でも次のように負ける。

1...Ra1

 黒は続けてもう一手 1...Ra7+ と指せれば 2.Kc6 Ra6+ 3.Kb7 Ra1! で引き分けにできるところである。同様にもし黒キングがb7にいたならば 1...Rh1!(図154)で引き分けにできる。

2.Rc8 Ra7+

 白の狙いは 3.Kd8 から 4.d7 だった。

3.Kc6 Ra6+ 4.Kc7 Ra7+ 5.Kb6 Rd7 6.Kc6

YKeres161A.JPG

 これで白の勝ちである。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(153)

IM Schroer 2708 - Asahigaoka 1968
E83 ICC 50m++15s simul unrated 2004.08.05

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. f3 Bg7 4. e4 d6 5. Be3 O-O 6. Ne2 Nc6 7. a3 a6 8. Nbc3

YItte0153.JPG

8... Rb8

定跡は 8... Bd7 でした。

9. b4 e5 10. d5 Ne7 11. Nc1 Nh5 12. Qd2 f5 13. Nb3 f4 14. Bf2 g5 15. Be2 Nf6 16. g4 Ng6 17. c5 h5 18. h3 Kf7 19. Na5 Rh8 20. O-O-O Bf8 21. Nc4 Kg7 22. Kb2 Be7 23. cxd6 Bxd6 24. Nxd6 cxd6 25. a4 Bd7 26. a5 Qe7 27. Bb6 hxg4 28. hxg4 Rh4 29. Bf2 Rxh1 30. Rxh1 Rh8 31. Qe1 Qe8 32. Kb3 Rxh1 33. Qxh1 Qh8 34. Qxh8+ Kxh8 35. Ba7 Nh4 36. Bb8 Ne8 37. Nd1 Kg7 38. Nc3 Kf7 39. Na4 Bb5 40. Bd1 Ng2 41. Nc3 Bf1 42. Ba7 Nh4 0-1

実戦に役立つエンディング(162)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(c)2段目から6段目までのポーン

 ポーンがもっと後ろにいればそれに従って黒の引き分けの可能性も増してくる。全ての可能な局面について系統的に分析するのはその材料があまりに多過ぎて本書では手に負えなくなるので行なわない。覚えておくべき要点は黒はこれまで紹介してきた受けの手段をそのまま使うということで成功する可能性も高まる。

 しかし5段目のポーンの場合は新たな状況が発生する。それは黒キングがポーンの昇格枡を占めている又はそれを狙うということである。この点において図162は実戦的に非常に重要である。

YKeres162.JPG 図162
クリングとホルビッツ、1851年

 この局面は1世紀以上も前に研究され重要な受けの手段があることが発見された。まず白の手番でどのようにして勝ちになるのかから見ていこう。

1.Kc7!

 勝つにはこの手しかない。1.Ra8 は 1...Rd2 2.Kc6 Ke7! で引き分けになる。この手段は黒の手番から始まる分析のところで出てくる。すぐに 1.Kc6 とするのも 1...Ke7 2.Rd7+ Ke8 でだめである。

YKeres162A.JPG

1...Ra1

 1...Rc1+ は 2.Kd7 Ra1 3.Rc8 から 4.d6 で図161のように白が勝つ。

YKeres162B.JPG

2.Rb8!

 既に図161で説明したように 2.d6? は 2...Ra7+ 3.Kb6 Ra1 で引き分けになる。

2...Ra7+ 3.Rb7 Ra8

YKeres162C.JPG

4.Kd7!

 4.d6? は 4...Ke6 5.d7 Ke7 で引き分けになってしまう。本譜の手に対して黒は手待ちするしかない。

4...Kf6 5.d6 Kf7

YKeres162D.JPG

6.Rb1

 ここでは多くの道がローマに通じている。クリングとホルビッツの示した手順は 6.Rc7 Kf6 7.Rc1 Ra7+ 8.Kc6 Ra6+ 9.Kc7 Ra4 10.Rd1 である。レベンフィッシュとスミスロフは 6.Kc6+ Ke8(6...Kf6 なら 7.Re7)7.Kc7 Kf7 8.Rb8 Ra7+ 9.Kb6 を推奨した。しかし本譜の手が最も論理的と思われる。

6...Ra7+

YKeres162E.JPG

7.Kc8

 又は 7.Kc6 Ra6+ 8.Kc7 Ra7+ 9.Rb7 Ra8 10.Rb8 で白の勝ちとなる。

7...Ke6 8.d7 Ra8+ 9.Kb7 Rd8 10.Kc6

YKeres162F.JPG

 これで白の容易な勝ちである。

 この勝つ手順には何も目新しいところはない。しかし黒の手番で引き分けにする手順は興味深く参考になる。

YKeres162.JPG 図162(再掲)

1...Ra1!

 この手は 2.Kc7 を防ぐためである。図161の分析で見たように白は黒ルークの横からのチェックを許すことができない。

2.Rc8

YKeres162G.JPG

 これで黒の負けのように見える。2...Ra6+ なら 3.Kd7 Ra7+ 4.Rc7 で前に示したように白の勝ちになる。他の手なら Kd7 から d6 の狙いに受けがないように見える。

2...Rd1!

 これが解答である。白ルークがd8から去ったので黒ルークはすぐにd列に戻り白ポーンの前進を防ぐ。単純だが大変効果的な手で、もっと複雑な局面でもよく現れるので記憶しておく価値がある。

YKeres162H.JPG

3.Rc2

 黒の手の意味は 3.Kc6 なら 3...Ke7! で白ポーンを止めることにある。続いて 4.Rc7+ なら 4...Kd8 5.Rh7 Rd2! 6.Kd6 Kc8 7.Rh8+ Kb7 で前とあまり変わりない局面になる。

 白は本譜の手の代わりに 3.Rc5 としても 3...Ke8 4.Kc7 Ke7 で局面の進展が図れない。

3...Ke8!

YKeres162I.JPG

 白から 4.Re2 で遮断されて負け形になる前にちょうどこの手が間に合った。

4.Ra2 Rd3

 黒はキングを動かすと 5.Re2 とされるので動かせない。黒ルークがd列から離れると 5.Ra8+ から 6.Kd7 で白が勝つ。

5.Ra8+ Kf7

YKeres162J.JPG

6.Ra7+

 6.Kc6 なら 6...Ke7!、6.Rd8 なら 6...Ra3! で良い。

6...Ke8

YKeres162K.JPG

 白は何も進展を図ることができない。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(154)

sveniboy71 2178 - Asahigaoka 1961
E92 ICC 10m++12s 2004.08.05

1. d4 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. Nf3 O-O 6. Be2 e5 7. Be3 Ng4 8. Bg5 f6 9. Bh4

YItte0154.JPG

9... Qe8

定跡は 9... g5 又は 9... Nc6 でした。

10. h3 Nh6 11. Nd5 Na6 12. O-O c6 13. Nc3 f5 14. dxe5 dxe5 15. Qd6 Nf7 16. Qd2 Be6 17. exf5 gxf5 18. Rad1 Nc5 19. Qe3 b6 20. Qd2 Bh6 21. Qc2 a5 22. Rfe1 e4 23. Nd4 Ne5 24. Nxe6 Qxe6 25. Na4 Nxa4 26. Qxa4 Qg6 27. Qb3 c5 28. Qc3 Rae8 29. Rd5 Nf3+ 30. Bxf3 exf3 31. g3 Rxe1+ 32. Qxe1Re8 33. Re5 Rxe5 34. Qxe5 Bg7 35. Qd5+ Qf7 36. b3 1-0

チェス500名局(32)

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第1部 開放型

第2章 エバンズ・ギャンビット

第32局

白 アレグザンダー
黒 タイラー
ヘースティングズ、1935-6年

 英国の輝ける若きマスターは本局で古今のあらゆる防御にもかかわらずエバンズ・ギャンビットが死んでいないことを証明した。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.b4 Bxb4 5.c3 Ba5 6.d4 d6

Y080505A.JPG

7.Qb3

 白は主導権を失くすわけにはいかない。次のような展開は白にとって何の得にもならない。7.d5 Nce7 8.Qa4+ c6 これでビショップに紐がついている。7.Qa4 exd4 も良い見通しが立たない。7.O-O は 7...Bb6(ラスカー防御)で黒はどこにも問題がない。

 最も有力な手順は 7.dxe5 dxe5 8.Qb3(当然クイーン交換を避ける)8...Qf6(8...Qe7 なら 9.a4、8...Qd7 なら 9.O-O から 10.Rd1)9.Bg5 Qg6 10.Nbd2 Bb6 11.h4 Nf6 12.Bd5 で白が有利な体勢でポーンを取り返す。

Y080505B.JPG

7...Qd7

 唯一の受けである。7...Qe7(又は 7...Qf6)では 8.d5 Nd4 9.Nxd4 exd4 10.Qb5+ でビショップを取られる。白の前の手(7.Qb3)の意味はここで明らかである。つまり敵のクイーンは愚形となり自分の白枡ビショップの動きの妨げとなっている。

Y080505C.JPG

8.dxe5

 8.O-O ならここでも 8...Bb6 である(9...Na5 の狙い)。考慮に値する手は 8.a4 で 8...Bb6 を予期するが 9.a5 Nxa5 10.Rxa5(この犠牲で白は攻撃の継続と加速を期待する)10...Bxa5 11.dxe5 Nh6(1932年にアレグザンダーによって示唆された独創的な手)12.e6(12.Bxh6 は 12...gxh6 13.exd6 O-O で 14.Ne5 なら 14...Qe8 なのであまり大したことがない)12...fxe6 13.Ng5 c6 14.O-O Qe7 15.Bxe6 となると白が万全を尽くしたとはとても言えない。

Y080505D.JPG

8...Bb6

 ギャンビット・ポーンを返すのがこの防御の精神である。8...dxe5 は 9.O-O で Rd1 又は Ba3 が続く。勧められないのは 8...Nxe5 で 9.Nxe5 dxe5 10.Bxf7+ Qxf7 11.Qb5+ から 12.Qxa5 で白が優勢である。

9.Nbd2 Nh6 10.O-O O-O

Y080505E.JPG

11.exd6

 この手は 11.Ba3 よりももっと黒に捌きの機会を与えてしまう。

11...Qxd6

Y080505F.JPG

12.Bd5

 ここでは 12.Ba3 は 12...Bc5 で効果がない。

12...Na5 13.Qb4 Qg6 14.Ne5 Qh5 15.Ndf3 c6

Y080505G.JPG

16.Ba3

 この手は見かけ倒しである。すぐに 16.Bb3 と引く方が良かった。

16...Re8 17.Bb3

Y080505H.JPG

17...c5

 17...Nxb3 18.axb3 c5 の方がもっと簡明だった。

18.Qb5 Rxe5 19.Nxe5 Qxe5

Y080505I.JPG

20.Bd5

 20.Rad1 で 21.Qxb6 を狙う手も面白かった。

Y080505J.JPG

20...c4

 この誘いの隙(21.Bxf7+ なら 21...Nxf7 でクイーンにひもが付く)は駒損につながる。20...Qe7 と受けておかなければいけなかった。

21.Bb4

Y080505K.JPG

21...Be6

 黒は自らの罠にはまった。21...Nc6 は 22.Bxc6 で駒損になる。

22.Bxa5 Ng4

Y080505L.JPG

 必死の反撃だが簡単にかわされる。

23.g3 Bxd5 24.exd5 Bxf2+ 25.Rxf2 Nxf2 26.Kxf2 Qf5+ 27.Kg1 黒投了

Y080505M.JPG

******************************

2008年05月06日

実戦に役立つエンディング(163)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(c)2段目から6段目までのポーン

 いよいよフィリドールの局面(図130)から派生した局面を採り上げて彼の分析をたどることができる。彼はこの局面に対して白の勝ちという間違った結論を与えていた。

YKeres163.JPG 図163
フィリドール、1777年

 フィリドールの分析した手順は次のとおりである。

1...Rf1+?

 最初の疑問手である。しかしまだ引き分けの機会を逃がしてはいない。もしここで白ルークがa7にいたら白は 2.Ke6 で勝ちになる。以下は 2...Kf8 なら 3.Ra8+ Kg7 4.Ke7 から 5.e6(図156)、2...Kd8 なら 3.Ra8+ Kc7 4.Ke7 から 5.e6(図161)である。

 図162の分析で示したように黒の正しい受け方は次のとおりである。1...Re1! 2.Ke6 Kf8 一般原則としてはキングは狭い側にいるのが最善である。しかしここでは 2...Kd8 3.Rh8+ Kc7 4.Re8 Rh1! でも黒は引き分けにできる。3.Rh8+ Kg7 4.Re8 4.Ra8 なら 4...Re2! である。4...Ra1! 5.Rd8 Re1 で引き分けになる。

2.Ke6

YKeres163A.JPG

2...Kf8!

 この手以外はだめである。2...Kd8 は 3.Rh8+ Kc7 4.Ke7 で図161のように白が勝つ。

3.Rh8+ Kg7 4.Re8

YKeres163B.JPG

4...Re1

 これも最も正確な手とは言えない。図162で見たように正しい受けは 4...Ra1! 5.Rd8 Re1! である。

5.Kd7

YKeres163C.JPG

5...Kf7?

 これは本当の敗着である。5...Rd1+ 6.Ke7 Re1 7.e6 Ra1! で黒は図154の分析のように引き分けにすることができた。この手順中の 6...Re1 は黒の受けを簡単にしている。代わりの 6...Ra1 は 7.Rd8 Ra7+ 8.Ke8 で黒は引き分けるためには 8...Ra6! 9.Rd7+ Kg8 10.Rd6 Ra8+ 11.Rd8 Ra6! という巧妙な手順を見つけなければならない。もし 8...Kg6 と指すと 9.Rd6+ Kf5 10.e6 Ke5 11.Rb6 から 12.e7 で白の勝ちになる。

6.e6+

YKeres163D.JPG

6...Kg7

 6...Kf6 なら 7.Rf8+ から 8.e7 で白が勝つ。

YKeres163E.JPG

7.Ke7?

 勝ちを逃がす理解できない誤りである。正着は 7.Ra8! Rd1+ 8.Ke8 から 9.e7 で白が苦労せずに勝つ。

YKeres163F.JPG

7...Re2?

 これで最後の引き分けの機会も逃がした。図154によれば 7...Ra1! が唯一の正しい受けで 8.Rd8 Ra7+ 9.Rd7 Ra8(又は 9...Ra1)で引き分けだった。

8.Rd8

YKeres163G.JPG

8...Re1

 8...Ra2 はもう手遅れで 9.Ke8 から 10.e7 で白が勝つ。

YKeres163H.JPG

9.Rd2

 もっと早く勝つ手は 9.Kd7 Rd1+(9...Kf6 なら 10.Rf8+ から 11.e7)10.Ke8 から 11.e7 である。

9...Re3

YKeres163I.JPG

 もうどうやっても黒の助かる道はない。

10.Rg2+ Kh7 11.Kf7 Rf3+ 12.Ke8 Re3 13.e7

YKeres163J.JPG

 これで白が勝つ。

 最も単純そうに見える局面に巧妙な手が隠されている素晴らしい例で、これまでに習得してきた知識を試す適切なエンディングだった。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(155)

Asahigaoka 1946 - acg0 1990
B93 ICC 15m++0s 2004.08.18

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. f4 Qc7 7. Nf3 Nbd7 8. Bd3 g6 9. O-O Bg7 10. Qe1 b5

YItte0155.JPG

11. a3

定跡は 11. e5 でした。

11... Bb7 12. e5 dxe5 13. fxe5 Ng4 14. Bf4 Ngxe5 15. Nxe5 Bxe5 16. Bxe5 Qxe5 17. Qh4 Qc5+ 18. Kh1 O-O 19. Rae1 e6 20. Ne4 Bxe4 21. Bxe4 Rac8 22. Rd1 Ne5 23. Qf6 Ng4 24. Qh4 Ne3 25. b4 Qc7 26. Rde1 Nxf1 27. Rxf1 f5 28. Bd3 e5 29. g4 e4 0-1

2008年05月07日

実戦に役立つエンディング(164)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(c)2段目から6段目までのポーン

 図162の局面を1列または2列左に移動すると黒ルークの横からのチェックが近すぎるか不可能なので白の勝ちである。さらに付け加えるとフィリドールの局面で黒が受け方を間違った場合次のような局面になる可能性がある。

YKeres164.JPG 図164

 この局面は次のように白が簡単に勝てる。1.Rh7 Kg8 2.Rg7+ Kf8 2...Kh8 なら 3.Rg1 から 4.Kf7 で良い。3.e7+ Ke8 4.Rg8+ 図164を左または右へ移動しても結果は変わらない。例外は局面を2列右へ移動した場合で次のように白ルークの活動の余地がなくなる。
YKeres164A.JPG
1.Rh7+ Kg8(2.g7? Rd6+) 又は 1.Re6 Ra8 2.g7+ Kg8 でどちらも引き分けである。

 これまでの局面はかなり単純で深く分析しなくても理解できる。しかし上手な選手なら記憶しておかなければならない。フィリドールの局面でいつも敵キングを6段目で遮断できるとは限らない。だから必要なら他の手段も使えるようにしておく必要がある。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(156)

sac77 2279 - Asahigaoka 1942
E94 ICC 15m++3s 2004.08.19

1. d4 Nf6 2. Nf3 g6 3. c4 Bg7 4. Nc3 d6 5. e4 O-O 6. Be2 e5 7. O-O Nc6 8. Be3

YItte0156.JPG

8... exd4

定跡は 8... Re8 又は 8... Ng4 でした。

9. Nxd4 Re8 10. f3 Nxd4 11. Bxd4 Nd7 12. Bxg7 Kxg7 13. f4 Nf6 14. Qd4 c5 15. Qd3 Qb6 16. b3 Bg4 17. Bxg4 Nxg4 18. Nd5 Qd8 19. Qc3+ 1-0

あなたの棋力診断(16)

第4章 攻め方

第16局

 本局のあなたは黒番で、指導パートナーはユーゴスラビアの伸び盛りの若者のデゥラセビッチである。対戦相手は1955-6年のヘースティングズ大会で同点優勝したビクトル・コルチノイである。この試合は1956年のベオグラードでのソ連対ユーゴスラビア戦で指された。局面図までの手順は次のとおりである。

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.Bg5 c5 5.d5 h6 6.Bh4 b5 7.e4 d6 8.Qc2 O-O 9.dxe6 Nc6 10.Nf3 Bxe6 11.cxb5

YRate16.JPG

**********

11...Nd4

 2点。ギャンビット特有の指し方である。黒の6手目のポーンの犠牲は白のキングの露出と釘付けのクイーン翼ナイト、それに黒が展開でかなり差をつけていることに基づいている。

12.Nxd4

**********

12...cxd4

 1点。

13.a3

**********

13...Ba5

 4点。13...Qa5(1点)の方がもっと良さそうに見えるが実際は 14.Bxf6(指し手が進むに従い働きの増す黒の小駒を交換で消してしまう)14...gxf6 15.Rc1 dxc3 16.axb4 で黒の攻撃態勢は急に消えうせてしまう。

14.b4

**********

14...g5

 5点。黒は1ポーン損しているので一手一手大切に指さなければならない。14...Bxb4(2点)は 15.axb4 dxc3 16.Qxc3 Rc8 17.Bxf6! gxf6 18.Qg3+ Kh8 19.Be2 で白がちょうど危機を脱する。14...dxc3(3点)は 15.bxa5 Qxa5 16.Bxf6 gxf6 17.Bd3 で黒のc列のパスポーンは強力だが黒のキング翼がばらばらなので白にも反撃の可能性がある。

15.Bg3

**********

15...Rc8

 5点。もし前の手でこの手を選んでいたらそれも可能なので6点。他の手はそれほどはっきりしない。例えば 15...dxc3(2点)は 16.bxa5 Qxa5 17.Bxd6(Bb4 の狙い)、15...Bxb4(1点)は 16.axb4 dxc3 17.Qxc3 Nxe4 18.Qd4 である。

16.bxa5

**********

16...Rxc3

 2点。

17.Qd2

**********

17...Nxe4

 2点。

18.Qxd4

**********

18...Qxa5

 4点。19.Qxe4 と取ってくれば 19...Rc1+ がある。

19.Qb4

**********

19...Qxb4

 2点。

20.axb4

**********

20...Re8

 5点。e列の隠された狙いのために白は展開を完了させることができない。例えば 21.Be2 なら 21...Bc4! 22.Bxc4 Nxg3+ 23.Kd2 Ne4+ から ...Rxc4 である。

21.f3

**********

21...Re3+

 4点。21...Nxg3 は 22.hxg3 Bc4+ 23.Kf2 ではっきり決まらないので0点。

22.Kd1

**********

22...Bb3+

 3点。

23.Kc1

**********

23...Rc8+

 3点。

24.Kb2

**********

24...Rc2+

 2点。

25.Ka3

**********

25.Rd2

 6点。この落ち着いた手で白がすぐに投了した。

診断 本局はポーンを犠牲にして攻撃を行なっている時は一手一手を大切に指す必要性を非常にはっきり示している。13,14または15手目で間違えたなら、いろいろな変化をもっと注意深く且つ完璧に読まなければならないことを示している。本局に現れている他の原則はクイーン同士が交換されても残りの攻撃駒の連係が良く取れていれば攻撃が成功を収めるということである。最後に白の苦戦は序盤で早くキャッスリングをすることを怠ったことに原因があった。キングが原位置に留まっているうちに中央列の筋が通るといろいろな駒捨ての手筋が可能になってくる(第27局と比較するとよい)。

2008年05月08日

実戦に役立つエンディング(165)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(c)2段目から6段目までのポーン

 白ポーンがさらに後退して少なくとも4段目になると黒ルークはポーンの後ろより前にいる方が効果的なことが良くある。
YKeres165.JPG 図165
例えば図165では白は自分のルークの助けがないと次のように自分のポーンを進めることができない。1.Kc4 Rc8+ 2.Kb5 Rd8! 3.Kc5 Rc8+ 4.Kd6 Rd8+ 5.Ke5 Re8+ 6.Kf5 Rd8! 白は前の状態に逆戻りしてしまった。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(157)

Asahigaoka 1947 - Falhari 2040
C10 ICC 30m++0s 2004.08.20

1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Nd7 5. Nf3 Ngf6 6. Bd3 Nxe4 7. Bxe4 Nf6 8. Bg5 Be7 9. Bxf6 Bxf6

YItte0157.JPG

10. O-O

定跡は 10. Qd3 でした。

10... O-O 11. Qd3 g6 12. Rad1 c6 13. Rfe1 Qc7 14. h4 Rd8 15. h5 c5 16. hxg6 hxg6 17. Qe3 Kg7 18. g3 cxd4 19. Nxd4 Bd7 20. Kg2 Rh8 21. Rh1 e5 22. Nf3 Bg4 23. Rxh8 Rxh8 24. Rh1 Rxh1 25. Kxh1 b6 26. Kg2 Be7 27. Bd3 Bxf3+ 28. Qxf3 f5 29. Qd5 Qd6 30. Bc4 Qxd5+ 31. Bxd5 Kf6 32. f3 g5 33. a4 Bc5 34. Kf1 a5 35. Ke2 g4 36. fxg4 fxg4 37. Be4 Ke6 38. b3 Bd4 39. Kf1 Kf6 40. Ke2 Ke6 41. Kf1 Bc3 42. Ke2 Kf6 43. Kf1 Kg5 44. Ke2 Kf6 45. Kf1 Bd2 46. Ke2 Bc1 47. Kd1 Bb2 48. Ke2 Ke6 49. Kf1 Kd6 50. Bf5 Kd5 51. Bxg4 Ke4 52. Ke2 Bd4 53. Be6 Bg1 54. g4 Kf4 55. Bf5 e4 56. Be6 e3 57. Bf5 Bf2 58. Be6 Ke5 59. Bf5 Kd4 60. Bg6 Ke5 61. Bf5 Kf4 62. Be6 1/2-1/2

第33回小学生将棋名人戦

 4月27日に行なわれた第33回小学館杯小学生将棋名人戦(日本将棋連盟主催・NHK後援、小学館協賛)の決勝戦で、いとこの長男の山岸亮平くん(小学5年生)が優勝しました。決勝戦の模様は5月10日(土)の15時から2時間NHK教育テレビで放映されます(解説:佐藤康光NHK杯、きき手:高橋和女流三段)。

 関西将棋会館のホームページに「小学館杯第33回小学生名人戦は青森県代表の山岸亮平君(八戸市立小中野小5年)が優勝」と書かれています。
http://www.kansai-shogi.com/

 地元の青森の東奥日報ではその日のうちに報じられています。
http://www2.toonippo.co.jp/news_too/nto2008/20080427171339.asp

 「青森将棋界のHP掲示板」では4月27日(日)からこの話題でもちきりです。
http://8309.teacup.com/hinporo/bbs

2008年05月09日

実戦に役立つエンディング(166)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(c)2段目から6段目までのポーン

前図での受け方は非常に重要でしばしば黒を救ってくれることがある。

YKeres166.JPG 図166

 既に述べたように白はポーンを進めるためには自分のルークの助けが必要である。白は黒キングの不利な位置につけこんで次のように勝つことができる。

1.Kb4!

 白は手順を違えて 1.Rd4 を先に指すことはできない。そう指すと 1...Rd8!(黒ルークがポーンの前の方にいる利点の一つ)2.Rxd8 Kxd8 3.Kb4 Kc8! で引き分けになってしまう。

1...Rb8+ 2.Ka5

YKeres166A.JPG

2...Rc8!

 黒はむやみにチェックをかけてはいけない。2...Ra8+? は 3.Kb6 で白ポーンを進ませるか 3...Rb8+ 4.Kc7 で黒ルークが逆に当たりにされてしまう。

3.Kb5 Rb8+ 4.Ka6 Rc8 5.Rd4!

YKeres166B.JPG

 白は自分のキングを可能な限り先に進ませたところで自分のルークでポーンを守る。黒はポーンの前進を防げない。

5...Ke6

 もし黒キングが既にこの地点にいたら 5...Ke5 ですぐに引き分けにできたところである。つまり図166で黒キングがe6またはe5にいたら引き分けである。しかし黒キングがe4かそれよりも下にいたら白は 1.Re1+ で黒キングをポーンから2列遠ざけることにより勝つことができる。この点については後にまた触れる。

6.Kb7

YKeres166C.JPG

6...Rc5

 6...Ke5 は 7.Rd5+ で黒ルークがただで取られる。

7.Kb6 Rc8 8.c5

YKeres166D.JPG

これで白が勝つ。

 もう明らかであるが図166で黒の手番ならば 1...Rd8(第1手目の解説を参照)または 1...Ke6(第5手目の解説を参照)で引き分けである。これはつまり黒キングがポーンから2列以上離れていなければ白の勝つ可能性は極めて小さいということである。

 図166で白が勝てたのは黒ルークが左側から横のチェックをする距離が足りないせいであったことを指摘しておく。図166の局面を少なくとも2列右に移せば白は勝つことができない。また黒ルークがポーンの前でなく後ろにいれば黒の引き分けにできる可能性もなくなることは明らかである。

 図166の局面を1列左へ移すと 2.Ka5! が不可能なので白に勝ちがなくなる。
YKeres166E.JPG
例えば 1.Ka4 Ra8+ 2.Kb5 Rb8+ 3.Ka5 Ra8+ 4.Kb6 Rb8+ で引き分けである。

 1.Rc4 ならば黒は 1...Rc8 又は 1...Kd6 2.Ka4 Kd5! 2...Ra8+ はだめで 3.Kb5 Rb8+ 4.Ka6 Kd5 5.Rg4! で白が勝つ。3.Rc5+ Kd6 4.Ka5 Ra8+ 5.Kb5 Rb8+ 6.Kc4 Rh8
YKeres166F.JPG
で引き分けである。この後の方の変化は 1...Rc8 という手がいつも可能なわけではないので(例えば黒キングがd5にいる場合)重要である。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(158)

Asahigaoka 1943 - atmagico 1969
C63 ICC 15m++5s 2004.08.22

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 f5 4. Nc3 fxe4 5. Nxe4 d5 6. Nxe5 dxe4 7. Nxc6 Qg5 8. Qe2 Nf6

YItte0158.JPG

9. d4

定跡は 9. f4 でした。

9... Qxg2 10. Rf1 Bh3 11. Bf4 Qxf1+ 12. Qxf1 Bxf1 13. Kxf1 a6 14. Ba4 Nd5 15. Nb4+ b5 16. Nxd5 O-O-O 17. Bb3 Bd6 18. Bg5 Rde8 19. Kg2 Rhf8 20. Re1 Rf5 21. Bh4 a5 22. Ne3 Rh5 23. Bf7 Rxh4 24. Bxe8 Rxh2+ 25. Kg1 b4 26. Nc4 1/2-1/2

「ヒカルのチェス」(68)

「Chess Life」2004年4月号

 2003年度米国チェス連盟グランプリの最終順位が発表されGMナカムラは12位でした。

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Y080509A.JPG

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「Chess Life」2004年5月号(1/3)

 2004年コーラス(Corus)B級大会にGMナカムラが参加し優勝こそできませんでしたがその敢闘精神が高く評価されました。

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経験と若さが支配した2004年コーラス

記 アビブ・フリードマン

 16歳のGMヒカル・ナカムラが目を見張らせる素晴らしい活躍をした。この天才児についてはこれまで多くのことが語られ書かれてきた。彼の称号の記録は今ではみんなの知るところである。彼と彼の家族を知る者として彼は「本気」であると証言できる。ヒカルはスペインのパンプローナでの非常に強い大会のすぐ後にコーラスに乗り込んできた。そしていつものように戦いのチェスを渇望し、やる気と自身と意欲に溢れていた。彼の人もうらやむ研究熱心と怖いもの知らずが彼を世界の若いチェス選手たちの最上層に押し上げてきた。そして私も他の多くの人と同じで彼がまだ能力の全てを出し切っていないと思っている。大会の報告の目的からは少しそれるが、ヒカルがさらに上に行くための援助が与えられ世界のランキングの中でどこまで行けるかを見ることができるように速く彼の才能が認められ報われることを心から希望している。

 16歳でELOレイティング2571の(上昇している)一人前のGMがいたのがこの前いつだったのか思い出すことができない。これからの数年が彼の進歩と将来についての決断に重大な時となるであろう。だからヨーロッパの才能ある選手、例えばフランスのバクロに与えられたのと同じような援助と機会が彼にも与えられることを祈っている。

 コーラスでは年少のナカムラが早過ぎる引き分けを受けない闘志に対して多くの敬意を集めた。彼はいつでも戦闘態勢にあった。彼の試合のうち8試合は決着がついた。5勝3敗だった。

 ヒカルがこの大会にお遊び気分で来たのではないことは当初から明らかだった。

ニムゾ・インディアン防御 [E46]
白 GMヒカル・ナカムラ(2571)
黒 GMエリック・ロブロン(2497)
GM-B 第3回戦、ベイク・アーン・ゼー、オランダ、2004年1月13日

1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4 4.e3 O-O 5.Nge2

Y080509B.JPG

 この戦型で白はビショップをナイトと交換されてc列に二重ポーンができるのを避けるためにキング翼ナイトを不本意な地点に置くのを気にしない。

5...d5 6.a3 Bd6

Y080509C.JPG

 当然ここではc3で交換するのは意味がなくなっている。

7.c5 Be7 8.b4 b6 9.Nf4

Y080509D.JPG

9...bxc5

 この手は新手かもしれない。ここでの通常の手は 9...a5 である。[訳注 9...bxc5 は前例があります。1960年の全米選手権戦のセイディ対フィッシャー戦でこの手が指されました。]

10.bxc5 c6 11.Be2 Qc7 12.Nd3

Y080509E.JPG

 この手は 12...e5 を防ぐためである。

12...Ba6 13.O-O Nbd7 14.Rb1 Bc4 15.Bd2

Y080509F.JPG

 GMカームスキーを連想させるような指し回しで白は序盤からあまり有利を引き出さなかった。しかしこれから粘り強さと手のかかる駒繰りと辛抱で事を成し遂げついには相手を圧倒する。

15...Rfb8 16.Rxb8+ Rxb8 17.Nb4 Bxe2 18.Qxe2 Rb7 19.f3 a5 20.Nd3 Rb3

Y080509G.JPG

 自然な手のように見えるが白はすぐにこのルークを戦術的に困らせる。

21.Qd1! Qb7?!

 この手は誤った作戦の始まりである。[21...Rxa3 22.Qc2(狙いは 23.Bc1)22...a4(22...Qb7 は 23.Rb1 で黒ルークの処置に困る)23.Rb1 Rb3(放っておくと 24.Nc1!)24.Rxb3 axb3 25.Qxb3]

22.Qc2 Bd8 23.a4 Nb8 24.e4

Y080509H.JPG

 白は一手ごとに陣形が良くなってきて有利さを広げている。

24...Bc7 25.e5 Nfd7 26.f4 g6 27.Rc1

Y080509I.JPG

 b3のルークの居心地が悪くなってきた。

27...Qa6 28.Nb5! Rxb5 29.axb5 cxb5 30.c6 Nb6 31.f5!

Y080509J.JPG

 黒枡が怖いことになってきた。

31...Nc4 32.fxe6 fxe6 33.Bh6

Y080509K.JPG

 白の Rf1 から Qf2 が目前に迫ってきて黒は観念した。

黒投了

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(この号続く)

2008年05月10日

実戦に役立つエンディング(167)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(c)2段目から6段目までのポーン

 黒キングがポーンから2列遮断されていると状況は一層面白くなる。図167はその基本的な局面である。

YKeres167.JPG 図167

 以下の勝つ手段はポーンが中央列にある場合にも当てはまる。図166とは少し異なるが同じくらい参考になる。

1.Kb4

 この局面では手順はそれほど重要でない。黒は自分のキングがf7にいても 1...Re8 とは指せない。それは 2.Rxe8 Kxe8 3.Kb4 Kd8 4.Kb5! で黒負けのポーン・エンディングになってしまうからである。黒キングの厳密な位置は重要でない。

1...Rb8+ 2.Ka5 Rc8 3.Kb5 Rb8+ 4.Ka6

YKeres167A.JPG

 ここでも余分な列の大切さが見て取れる。ポーンがナイト列にあった場合は引き分けにしかならない。

4...Rc8 5.Rc1!

 この局面では白は 5.Re4 でも勝てる。以下 5...Kf5 6.Rh4(狙いは 7.Kb7)6...Rb8 7.c5 で 7...Ke6 8.Rd4 でも 7...Ke5 8.Rh6 でも白が勝つ。しかしこの手順は黒キングが元々f5にいた場合や局面全体が1列右に位置していた場合は不可能である。

5...Ke7 6.Kb7

YKeres167B.JPG

6...Rc5

 もし局面がもう1列右に寄っていたら
YKeres167C.JPG
黒はここで 6...Ra8 を試みるかもしれない。しかしそれでも白は 7.d5 Ra7+ 8.Kb6 Rd7(8...Ra2 なら 9.Re1!)9.Kc6 Ke7 10.d6+ Kd8 11.Rh1 で勝つ。

7.Kb6

YKeres167D.JPG

7...Rh5

 7...Rc8 なら 8.c5 Rb8+ 9.Kc7 で白が勝つ。

8.c5

 8.Rd1 Rh6+ 9.Kc7 Rh5 10.Rd5 でも白が勝つ。

8...Kd8

YKeres167E.JPG

9.Ra1

 9.c6? は 9...Rh2 で引き分けになってしまう。白ルークは 9.Rd1+ や 9.Rg1 など他の地点に動いても白が勝つ。

9...Rh2 10.Ra8+ から 11.c6(+) で白が簡単に勝つ。

(この節続く)

一手一手の定跡習得(159)

Asahigaoka 1917 - CherrylandCafe 2036
C41 ICC 15m++3s 2004.08.24

1. e4 e5 2. Nf3 d6 3. d4 f5 4. Nc3 fxe4 5. Nxe4 d5

YItte0159.JPG

6. Nc3

定跡は 6. Nxe5 dxe4 7. Qh5+ でした。

6... e4 7. Ne5 Nf6 8. Bg5 Be7 9. Be2 O-O 10. Qd2 Nbd7 11. f4 exf3 12. Bxf3 c6 13. O-O-O Nxe5 14. dxe5 Ng4 15. Bxe7 Qxe7 16. Qd4 Qxe5 17. Bxg4 Qg5+ 18. Kb1 Bxg4 19. Rde1 Bf5 20. Re2 Qg6 21. Qd2 Rae8 22. Rf2 Bxc2+ 23. Qxc2 Rxf2 0-1

2008年05月11日

実戦に役立つエンディング(168)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(c)2段目から6段目までのポーン

YKeres168.JPG 図168

 既に述べたように同様の局面でも白ポーンがナイト列にある場合は引き分けにしかならない。しかし黒キングがもっと後ろにいる場合は白が勝つ。例えば図168では白が次の手順で勝つ。1.Rd4 Ke6 1...Rd8 は 2.Rxd8 Kxd8 3.Ka4 Kc8 4.Ka5! で白が勝つ。2.Kc4 Rc8+ 2...Ke5 は 3.Rd5+ Ke6 4.b5 Rc8+ 5.Rc5 Kd7 6.b6! で白が勝つ。3.Kb5 Rb8+ 3...Ke5 は 4.Rd7 Ke6 5.Ra7 で白が勝つ。4.Kc6 Ke5 5.Rh4 で白が勝つ。
YKeres168A.JPG

(この節続く)

一手一手の定跡習得(160)

Asahigaoka 1903 - goichiro 1963
B39 ICC 15m++12s 2004.08.30

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 g6 5. c4 Bg7 6. Be3 Nf6 7. Nc3 Ng4 8. Qxg4 Nxd4 9. Qd1 Ne6 10. Rc1 O-O

YItte0160.JPG

11. Be2

定跡は 11. b4 でした。

11... d6 12. O-O Nc5 13. f3 Be6 14. b3 {Game adjourned when Black got disconnected}

2008年05月12日

実戦に役立つエンディング(169)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(c)2段目から6段目までのポーン

YKeres169.JPG 図169

 また黒キングが進みすぎた場合も(例えば図169のようにe4にいる場合)黒が次のように負ける。1.Rd6! Ke5 2.Ra6 Kd5 3.Ka4
YKeres169A.JPG
これで白ポーンが進むことができる。白は次のようにもっと複雑な手で勝つこともできる。1.Rd7 Ke5 2.Kc4 Rc8+ 2...Ke6 は 3.Rd4 で図168の変化手順と同じになる。3.Kb5 Rb8+ 4.Kc5 Rc8+ 5.Kb6 Rb8+ 6.Rb7 で白が勝つ。
YKeres169B.JPG

(この節続く)

一手一手の定跡習得(161)

Asahigaoka 1919 - buratino 1887
B93 ICC 15m++30s 2004.09.03

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. f4 e5 7. Nf3 Nbd7 8. a4 Be7 9. Bd3 O-O 10. O-O exf4 11. Bxf4 Qb6+ 12. Kh1 Qxb2

YItte0161.JPG

13. Qd2

定跡は 13. Nd5 でした。

13... Qb6 14. Rab1 Qc7 15. Nd4 Ne5 16. Bxe5 dxe5 17. Nf5 Bxf5 18. Rxf5 Rac8 19. Nd5 Nxd5 20. exd5 Rfd8 21. Rh5 h6 22. Rxh6 gxh6 23. Qxh6 f6 24. Bh7+ Kh8 25. Bf5+ Kg8 26. Be6# 1-0

チェス500名局(33)

******************************

第1部 開放型

第2章 エバンズ・ギャンビット

第33局

白 リール市
黒 パリ市
1897年

 序盤の穏やかな出だしから白はa列に有望なパスポーンを得た。この脅威を回避するために黒は欲しようと欲しまいと白ルークに7段目に侵入させて猛威を振るうことを許さなければならない。収局は痛快な立ち回りが一杯である。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Bc5 4.b4

Y080512A.JPG

4...Bb6

 この手はギャンビットを拒否して穏やかな展開になることを望んでいる。逆襲の 4...d5 は黒が悪い。5.exd5 Nxb4 6.Ba3 となって白が良い。

Y080512B.JPG

5.a4

 白は断固たる決意の下に左端での攻勢を続ける。しかし穏やかな作戦も考えられた。それは 5.c3 Nf6 6.Qb3 O-O 7.d3 d6 8.Bg5 Qe7 でジュオコ・ピアノの1変化を思い起こさせる形になり互角の形勢である。

Y080512C.JPG

5...a6

 この手は白からの 6.a5 Bd4 7.c3 に備えた。同じようでも 5...a5 はあまり良くない。つまり 6.b5 Nd4 7.Nxd4(7.Nxe5 は 7...Qg5)7...Bxd4 8.c3 Bb6 9.d4 Qf6 10.Be3 で白が良い。同様に 5...Nxb4 は 6.a5 Bc5 7.c3 Nc6 8.O-O で白が優勢である。

6.c3

 慎重に手を進めている。

6...d6

Y080512D.JPG

7.Qb3

 このクイーン出をさしはさんで白の主導権は維持されている。

 代わりに 7.d3 Nf6 8.O-O とうわべだけの手を指していると黒は 8...Ne7 の後 ...c6 から ...d5 で局面を支配する機会を得る。

7...Qe7 8.a5 Ba7 9.b5

Y080512E.JPG

9...axb5

 9...Nd8 は 10.b6 cxb6 11.axb6 Bb8 とクイーン翼を押し込められてもっと具合が悪い。

10.Bxb5

Y080512F.JPG

10...Nf6

 10...Bd7 は 11.a6 bxa6 12.Rxa6 で圧迫を受ける。本譜の手の後で 11.a6 ならば 11...O-O で大丈夫である。

11.O-O

Y080512G.JPG

11...O-O

 11...Nxe4 は 12.Bxc6+ bxc6 13.Qa4 でポーンとナイトの両当たりになる。

12.Bxc6 bxc6 13.d3

Y080512H.JPG

 序盤戦は白がわずかに有利で終わった。白のパスポーンは役に立たないように見えるが後になって重要になってくる。

13...h6 14.Be3 Be6 15.c4 c5 16.Nc3

Y080512I.JPG

16...Nh7

 この手はキング翼攻撃を意図している。しかし 16...Rfb8 を手始めに反対翼に兵力を集中する方が賢明な策だった。

17.Nd2 c6 18.f4

Y080512J.JPG

18...exf4

 黒はここで 18...f6 と受けることができた。しかし次の手を見れば分かるように黒はもっと積極的な作戦を考えていた。

19.Rxf4 f5 20.exf5 Bxf5 21.Nce4 Ng5 22.Re1 Nxe4 23.dxe4

Y080512K.JPG

 大砲を隣のf列に集めるためにe列を閉じた。

23...Be6 24.Ref1 Rxf4 25.Bxf4 Rf8 26.Qg3 Bb8

Y080512L.JPG

27.Rb1

 瞬く間に目標を変えたことには感心させられる。白の狙いは 28.Rxb8 Rxb8 29.Bxd6 である。27.Bxh6 は明らかにだめで 27...Rxf1+ 28.Kxf1(28.Nxf1 は 28...Bxc4)28...Qf6+ 29.Bf4 d5 で黒の勝ちとなる。

Y080512M.JPG

27...Qf6

 狙われたhポーンを守りちょっとした罠(28.Bxd6 は Qd4+ で黒の勝ち)を含んでいる。白ビショップに対する狙いも持っているがそれははかなく消えることになる。

28.h4

Y080512N.JPG

28...Bc7

 これで白ビショップに対する狙いは本物であると考えた。しかし実際には白はお見通しである。いずれにしても黒にとって形勢は険しくなっている。例えば 28...Qxf4 は 29.Qxf4 Rxf4 30.Rxb8+ Rf8 31.Rb6(駒を清算するのは 31.Rxf8+ Kxf8 32.a6 Bc8 33.a7 Bb7 34.Nb1 Ke7 35.Nc3 Kd7 36.Na4 Kc7 で何にもならない)31...Ra8 32.Rxc6 Rxa5 33.Rxd6 で白が駒数的に得をしている。

29.a6

Y080512O.JPG

 このポーンは気まぐれに行動をおこす。29...Qxf4 は 30.Qxf4 Rxf4 31.a7 Rf8 32.Rb7 Ra8 33.Rxc7 で白の有利は動かない。

29...Rb8 30.a7

Y080512P.JPG

 この頼もしいポーンは進撃を続ける。黒は 30...Rxb1+ 31.Nxb1 Qf8 とはできない。それは 32.Bxh6 でつぶれる。

30...Ra8 31.Rb7

Y080512Q.JPG

 良く読んである手である。要点は三つある。途中の 33.Nb3 の捌き、パスポーンが消えた後の(黒クイーンがg7の守りから離れた)34.Bxh6(即詰みの狙い)それから最後に 38.Nxc5 の後の白ナイトの大活躍である。

31...Qa1+ 32.Kh2 Rxa7 33.Nb3 Qa3 34.Bxh6 d5

Y080512R.JPG

35.Rxc7 Rxc7 36.Qxc7 gxh6 37.exd5

Y080512S.JPG

37...cxd5

 37.Bxd5 は 38.Qb8+ から 39.cxd5 で白が駒得になる。

38.Nxc5 Bf7 39.cxd5

Y080512T.JPG

39...Qe3

 39...Bxd5 は 40.Qd8+ でビショップが取られてしまう。本譜の手の後 40.d6 は 40...Qf4+ があるので白はポーンを進められない。しかし白は全軍を動員し形勢を決める策を見つけた。

40.Nd7 Qd4 41.Qd8+

Y080512U.JPG

41...Kh7

 41...Kg7 と逃げるのは 42.Qf8+ kg6 43.h5+ で白の勝ちである。

42.Qe7 Qf4+ 43.Kh3 Qf5+ 44.Kg3 h5 45.Ne5 Kg8 46.Qxf7+

Y080512V.JPG

 清算を強制させる。

黒投了

******************************

2008年05月13日

実戦に役立つエンディング(170)

第4章 ルーク・エンディング

4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)

 ルーク+ルーク列以外のポーン

(c)2段目から6段目までのポーン

 ポーンがナイト列にある場合に白が必ず勝てるためには黒キングがポーンから少なくとも3列離れていなければならない。これをわざわざ示す必要はないであろう。ただポーンが3段目にある場合は要領は同じであるが興味深い点もある。いろいろな可能性は極めて複雑で次の例に見られるように非常に正確な手順が要求される。

YKeres170.JPG 図170
グリゴリエフ、1937年

 この局面を詳しく分析する前に要点を少し述べよう。白がキングを先に進めれば次のような手順をたどる。1.Kc3 Rc8+ 2.Kd4 ここで黒がチェックを続けるのは勧められない。例えば 2...Rd8+ 3.Kc5 Rc8+ 4.Kd6 Rb8 の後 5.Rf1+ で黒キングがさらに追われてしまう。そこで次のように進む。2...Rb8 3.Kc4 Rc8+ 4.Kd5 Rb8 白はポーンを守らなければならないが 5.Rb1 は 5...Ke7 で黒キングをクイーン翼に近づけさせてしまう。そして 5.Re3 Kf5 6.Rf3+ Kg4
YKeres170A.JPG
は白ルークが追われてしまう。だから白はまずキングを進める準備をしなければならない。

 上の分析から分かることは黒キングが比較的良い位置にいるということである。もし黒キングの位置がf8だったら 1.Re4 から 2.b4 で白が楽に勝つ。f4も良い位置でなく白が次のように勝つ。
YKeres170B.JPG
1.Kc3 Rc8+ 2.Kd4 Rb8 2...Rd8+ は 3.Kc5 Rc8+ 4.Kd6 Rb8 5.Rb1! Ke4 6.b4 Kd3 7.b5 Kc2 8.Kc7! で白が勝つ。3.Rb1! 3.Kc4 はだめで 3...Rc8+ 4.Kd5 Rb8 5.Rb1 Ke3! 6.b4 Kd3 7.b5 Kc2 8.Rb4 Kc3 で引き分けになってしまう。3.Rf1+ も 3...Kg5 4.Rb1 Kf6 でだめである。3...Kf5 4.Kd5! 貴重な手が稼げる。4...Kf6 5.b4 Ke7 6.Kc6
YKeres170C.JPG
から 7.b5 で白が楽に勝つ。

 黒はキングがf5にいる時も次のように負ける。
YKeres170D.JPG
1.Kc3 Rc8+ 2.Kd4 Rb8 3.Kc4 Rc8+ 4.Kd5 Rb8 4...Rd8+ は 5.Kc5 Rc8+ 6.Kd6 Rb8 7.Rb1 Ke4 8.b4 Kd3 9.b5 Kc2 10.Kc7! で白が勝つ。5.Rb1 これで前の変化と同じになる。

 黒キングがf7の場合は本譜の中で分析する。黒キングがさらに上のほうに来て例えばf3にいる場合は次のように白が楽に勝つ。
YKeres170E.JPG
1.Re6 Kf4 2.Ka3 Kf5 2...Ra8+ は 3.Kb4 Kf5 4.Rc6 Ke5 5.Kc5 から 6.b4 で白が勝つ。3.Ra6 Ke5 4.b4 Kd5 5.Ka4 Kc4 6.Rc6+ Kd5 7.b5 Ra8+ 8.Kb4
YKeres170F.JPG
時々ではあるが黒キングをもう1列右側に追いやってから分析を続けなかった所がある。これが白の勝ちであることは後で示す。

 これまで出てきた変化はf6の地点を除いてすべて黒キングの位置が悪いことを示している。このことは図170で黒キングが実質的に手詰まりの状態にいるという驚くべき結論に到達する。この事実に気付けば最も簡明な勝つ手順を見つけるのはもはや難しいことではない。

1.Re4

 この手と次の手の目的は図170で白ルークがe3にいる局面にすることである。何でこれが必要かは後で分かる。最初の時に次の変化を示した。1.Kc3 Rc8+ 2.Kd4 Rb8 3.Kc4 Rc8+ 4.Kd5 Rb8 5.Rb1 Ke7
YKeres170G.JPG
グリゴリエフはここから次の手順で引き分けになると考えていた。6.Kc6 Rb4! 7.Re1+ Kd8 7...Kf6 は 8.Re3 Rb8 9.Kc7 Rb4 10.Kd6! で本譜と同じになる。8.Re3 Rh4!
YKeres170H.JPG
9.Re5? Rh6+ 10.Kb7 Rh7+ 11.Kb8 Kd7! 12.Rc5 Rh4 13.Rb5 Kc6
YKeres170I.JPG
しかし後にコパイェフは次のような白の正しい手順を見つけた。
9.Rg3! Rh6+ 10.Kb7 Rh7+ 11.Kb8 Rh4 11...Kd7 なら 12.Rg6! Rh4 13.Rb6 から 14.b4 で白が勝つ。12.Rd3+ Ke7 13.Kc7 Rb4 14.Re3+ Kf6 15.Kd6
YKeres170J.JPG
これで本譜と同じように白の勝ちとなる。

 しかしこの手順は本譜よりもずっと手数がかかりしかも難解である。

1...Kf5

 1...Kf7 は 2.Kc3 でポーンを b4 と突けるので白が勝つ。

2.Re3

YKeres170K.JPG

2...Kf6

 2...Kf4 は 3.Ke1 で既に分析した黒キングがf3、f4又はf5のいずれかの局面になる。本譜の手の局面は黒キングが元々f7にいた局面からも生じる。つまり 1.Re3 の後黒は 1...Kf6 と指すよりない。しかし白は 1.Re4 Kf6 2.Kc3 Rc8+ 3.Kd4 Rb8 4.Kc4 Rc8+ 5.Kd5 Rb8 6.b4 Kf5 7.Rh4
YKeres170L.JPG
でも楽に勝てる。

 本譜の 2...Kf6 の代わりに黒は 2...Rh8 3.b4 Kf4! 4.Re1 Rh3!
YKeres170M.JPG
で白キングの進出を防ぐ巧妙な受けがある。それでも白は次のようなうまい手段で勝つことができる。5.Kc2! 5.b5? は 5...Rh5 でもちろんだめである。5.Re8 は 5...Kf5! 6.b5 Rd3! 7.b6 Rd6 8.Rb8 Ke6、5.Ka2 は 5...Rd3! 6.b5 Rd5 7.Rb1 Ke5 8.Ka3 Kd6 9.b6 Kc6 で引き分けになる。5...Kf5 手待ちの 5...Rg3 は 6.b5 Rg5 7.b6 Rc5+ 8.Kd3 Rb5 9.Re6 で黒が負ける。6.b5
YKeres170N.JPG
6...Kf6 6...Rg3 は 7.b6 Rg7 8.Kc3 Rb7 9.Rb1 Ke6 10.