第4章 ルーク・エンディング
4.2 ルーク+ポーン対ルーク(続き)
B ルーク+ルーク列以外のポーン
(c)2段目から6段目までのポーン
いよいよフィリドールの局面(図130)から派生した局面を採り上げて彼の分析をたどることができる。彼はこの局面に対して白の勝ちという間違った結論を与えていた。
図163
フィリドール、1777年
フィリドールの分析した手順は次のとおりである。
1...Rf1+?
最初の疑問手である。しかしまだ引き分けの機会を逃がしてはいない。もしここで白ルークがa7にいたら白は 2.Ke6 で勝ちになる。以下は 2...Kf8 なら 3.Ra8+ Kg7 4.Ke7 から 5.e6(図156)、2...Kd8 なら 3.Ra8+ Kc7 4.Ke7 から 5.e6(図161)である。
図162の分析で示したように黒の正しい受け方は次のとおりである。1...Re1! 2.Ke6 Kf8 一般原則としてはキングは狭い側にいるのが最善である。しかしここでは 2...Kd8 3.Rh8+ Kc7 4.Re8 Rh1! でも黒は引き分けにできる。3.Rh8+ Kg7 4.Re8 4.Ra8 なら 4...Re2! である。4...Ra1! 5.Rd8 Re1 で引き分けになる。
2.Ke6
2...Kf8!
この手以外はだめである。2...Kd8 は 3.Rh8+ Kc7 4.Ke7 で図161のように白が勝つ。
3.Rh8+ Kg7 4.Re8
4...Re1
これも最も正確な手とは言えない。図162で見たように正しい受けは 4...Ra1! 5.Rd8 Re1! である。
5.Kd7
5...Kf7?
これは本当の敗着である。5...Rd1+ 6.Ke7 Re1 7.e6 Ra1! で黒は図154の分析のように引き分けにすることができた。この手順中の 6...Re1 は黒の受けを簡単にしている。代わりの 6...Ra1 は 7.Rd8 Ra7+ 8.Ke8 で黒は引き分けるためには 8...Ra6! 9.Rd7+ Kg8 10.Rd6 Ra8+ 11.Rd8 Ra6! という巧妙な手順を見つけなければならない。もし 8...Kg6 と指すと 9.Rd6+ Kf5 10.e6 Ke5 11.Rb6 から 12.e7 で白の勝ちになる。
6.e6+
6...Kg7
6...Kf6 なら 7.Rf8+ から 8.e7 で白が勝つ。
7.Ke7?
勝ちを逃がす理解できない誤りである。正着は 7.Ra8! Rd1+ 8.Ke8 から 9.e7 で白が苦労せずに勝つ。
7...Re2?
これで最後の引き分けの機会も逃がした。図154によれば 7...Ra1! が唯一の正しい受けで 8.Rd8 Ra7+ 9.Rd7 Ra8(又は 9...Ra1)で引き分けだった。
8.Rd8
8...Re1
8...Ra2 はもう手遅れで 9.Ke8 から 10.e7 で白が勝つ。
9.Rd2
もっと早く勝つ手は 9.Kd7 Rd1+(9...Kf6 なら 10.Rf8+ から 11.e7)10.Ke8 から 11.e7 である。
9...Re3
もうどうやっても黒の助かる道はない。
10.Rg2+ Kh7 11.Kf7 Rf3+ 12.Ke8 Re3 13.e7
これで白が勝つ。
最も単純そうに見える局面に巧妙な手が隠されている素晴らしい例で、これまでに習得してきた知識を試す適切なエンディングだった。
(この節続く)