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第1部 開放型
第5章 ルイ・ロペス
第103局
白 カパブランカ
黒 マーシャル
(番勝負、1909年)
歴史的に見てこの試合は新手(5...f5)が現れたことに意義がある。白は大変な苦労を強いられた。
この手はその後注目されないままだったがその価値を認識したカパブランカは18年経った1928年ブタペストでの大会でよみがえらせた。これが「シエスタ・ギャンビット」の由来である。
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 d6 5.c3 f5
この手はシュリーマン防御(3...f5)を連想させるがそれほど危険を伴わない。以下の手も独創性には欠けるが立派な手である。
(a)5...Bd7 自陣内を固める手である。
(b)5...Nf6 純粋に展開を図る手である。
6.exf5
これは普通の応手である。6.d4 は剣の刃渡りのような捨て駒によって一直線に引き分けに至る(第105局のレーティ対カパブランカ戦を参照)。
6...Bxf5
すぐに 6...e4 と突くのは 7.Nd4 とかわされて良くない。
7.d4
7...e4
この手は効果的な橋頭堡を築こうとしている。7...exd4 は 8.Nxd4 で、また 7...b5 も 8.Bb3 で黒が良くならない。
8.Qe2
中原も戦場になってきた。8.Ng5 には 8...d5 がしっかりした応手である。また 8.d5 は小ぜりあいの末に引き分けになる。中間手の捌きの 8.Bg5 は第104局のA.シュタイネル対カパブランカ戦に現れる。
8...Be7 9.Nfd2 Nf6 10.h3
白の展開はゆっくりしているがいずれ黒の伸びすぎを咎めるつもりである。
10...d5
この間に黒は中原の陣形を強化した。
11.Nf1 b5
この手は 11...O-O よりも緊急性が薄い。
12.Bc2 Na5 13.Ne3 Bg6 14.Nd2 O-O 15.b4
陣容を整備した白は側面で攻勢に出た。
15...Nc4 16.Ndxc4
16...dxc4
16...bxc4 は 17.a4 で白がクイーン翼で多数派ポーンを確立して楽な展開になる。本譜は黒のeポーンが孤立した。
17.a4 Nd5 18.Nxd5 Qxd5
19.axb5
19.Be3 は 19...a5 で白のクイーン翼がばらばらにされる。
19...e3
中原の形がほぐれた。
20.O-O Rxf2 21.Rxf2 exf2+ 22.Qxf2 Rf8 23.Qe2 Bxc2 24.Qxc2 axb5 25.Be3 Bd6
白はクイーン翼のポーンの形が優っているが、駒の働きは黒の方が良い。形勢はほぼ互角になっている。
26.Bf2 Qg5 27.Qe4
27...Qf4 を防いだ。
27...h6
27...Qd2 と突っ込んでも 28.Be1 で何も起こらない(28.Qe3 でもよく、クイーン交換は白が有利である)。
28.Re1
28.Ra8 と突っ込むのは 28...Qc1+ 29.Be1 Rxa8+ 30.Qxa8+ Kh7 31.Qe4+ g6 となって白陣もあまり威張れない。
28...Rxf2
この清算は賢明な策である。
29.Kxf2 Bg3+ 30.Kg1 Bxe1 31.Qxe1 引き分け
この試合でマーシャルは自分の考案した布局の優秀さをほめられてよい。
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