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チェス500名局(104)

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第1部 開放型

第5章 ルイ・ロペス

第104局

白 シュタイネル
黒 カパブランカ
(ブダペスト、1928年)

 本局はこの戦型がいわば正式に捧げられたことに定跡の面からの興味がある。ついでに言えばこの戦型は1928年にブダペストで開催された大会が「シエスタ大会」とも呼ばれたことに由来している。

 試合内容自体も非常に興味深い。黒はまず序盤で相手のもくろみをつぶし、その後はクイーン交換に続いてゆっくりと着実に局面の制圧を進め、戦力的に優勢に至った。これはまさに偉大なる技巧派であり芸術派の成せる技である。

1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a6 4.Ba4 d6 5.c3 f5 6.exf5 Bxf5 7.d4 e4

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 黒がこの橋頭堡を維持できれば優勢な勢力を保つのは明らかである。

8.Bg5 Be7 9.Nh4 Be6

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 黒はすべての危険をかわしながら陣容を固めた。

10.Bxe7 Ngxe7

 10...Qxe7 と取るのはずっと劣った手で 11.d5 Qxh4 12.dxc6 b5 13.Bb3 e3 14.O-O となる。

11.Qh5+ g6

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12.Qh6

 この手はあまりに楽観的な手である。代わりに 12.Qe2 d5 13.O-O と分別のある戦略に従うことが必要だった。

12...Ng8

 この斬新な逆捌きで黒は陣容を立て直した。

13.Qf4

 13.Qg7 に対して黒は 13...Qxh4 14.Bxc6+ bxc6 15.Qxh8 O-O-O と犠牲を伴う手を指す必要はない。単純に 13...Qf6 14.Qxc7 Nge7 とすれば黒が有望である。

13...Nf6 14.Nd2 O-O

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 これは理にかなった精力的な手である。

15.O-O

 白もキングを安全な所に移すのを急いだ。その前に 15.Nxe4 と取るのは危なすぎる。例えば 15...Nxe4 16.Qxe4 Re8 17.O-O-O(17.O-O は 17...Bc4 で白の交換得)17...Qg5+ 18.Rd2 d5 で黒の勝勢である。

15...d5

 この手には 16...Nh5 でh4のナイトを取る狙いがある。

16.Qg5

 その狙いをかわすために 16.g3 と突くと今度は 16...Ng4 でクイーンが取られる。本譜の手の後白は 17.Nxg6 hxg6 18.Qxg6+ Kh8 19.Qh6+ Kg8(19...Nh7 は 20.Qxe6)20.Qg6+ によるチェックの千日手を狙っている。

16...Nh5 17.Qxd8

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17...Nxd8

 黒が 17...Raxd8 18.Bxc6 bxc6 19.g3 を避けたのは収局のためにポーンの形を弱めたくなかったからである。

18.g3

 18...g5 の狙いに備えた。

18...Bh3 19.Ng2 Ne6 20.Bb3 c6 21.Bd1

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 白はこの手か次の手で f4 と突く方が良かった。本譜の手からの交換は黒の攻撃力を強めてしまう。

21...Rae8 22.Bxh5 gxh5 23.f4 h4

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 黒は巧妙に孤立ポーンの解消を図った。

24.Rfe1 hxg3 25.hxg3 Bxg2 26.Kxg2 Re7 27.Nf1 Rg7

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 28...Nxf4+ の狙いがあるので白キングはまた位置を変えなければならない。

28.Kh1 h5

 黒はまた(29...h4 で)白の防御陣を打ち破ろうとしている。

29.c4

 そこで白は戦線の別の方面で敵をかく乱させようとした。

29...Nxd4 30.Red1 Nf3 31.cxd5

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31...h4

 先に 31...cxd5 32.Rxd5 と交換してから 32...h4 と突く方がもっと簡明だった。本譜の手の後白は反撃の機会を得た。

32.d6 hxg3 33.Kg2 Nh4+ 34.Kg1

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34...g2

 この時期尚早のポーン突きで黒の手が難しくなってしまった。34...Rxf4 も 35.d7 とされるので誤りである。正着は 34...Kh7 と備えておく手だった。以下は例えば 35.Rac1 Rxf4 36.d7 Rf2 37.Nxg3(37.d8=Q は白キングが2手詰みになる)37...Rg2+ 38.Kh1(38.Kf1 は 38...Rf7+ 39.Ke1 Nf3#[訳注 40...Kf1 で詰まないので正着は 38...e3 です])38...R7xg3 39.Rc3 Nf3 30.Rxf3 exf3
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の後 41...Rh3# で詰みになる。

35.Nh2 Rxf4

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 この手には大きな落とし穴が用意されていたが白ははまらなかった。

36.Rd4

 この手は 37.d7 の狙いがあるので先手になる。それによりもう一つのルークが戦闘に加われる。すぐに 36.d7 と突くのは時期尚早で 36...Rf1+ 37.Nxf1(37.Rxf1 は 37...gxf1=Q+ 38.Kxf1 Rxd7 で黒が2ポーン得のままである)37...Nf3+ 38.Kf2 g1=Q+ 39.Ke2 Rg2#
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で詰みになる。

36...Rd7 37.Re1 Nf5 38.Rdxe4 Rxe4 39.Rxe4 Rxd6

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40.Nf3 Rg6 41.Re5 Nd6 42.Re2 Kf8 43.Rxg2

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43...Rf6

 43...Rxg2+ 44.Kxg2 からのナイト収局はほとんど勝つ見込みがない。

44.Ne5 Ke7 45.Rf2 Re6 46.Nd3 Re3 47.Nf4 Nc4

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48.b3 Ne5 49.Ng2 Rc3 50.Re2 Kd6 51.Kf1 Rc1+

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 これは油断のならないチェックである。52.Ne1 は 52...Nd3 で駒が全部清算されるし 52.Re1 は 52...Nd3 53.Rxc1 Nxc1 でまたポーンが落ちる。

52.Kf2 Nd3+ 53.Ke3 Nb4 54.a3

 さもないと 54...Ra1 51.a4 Rb1 とされる。

54...Rc3+ 55.Kd4 Rc2

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 これはうまい手段である。

56.Re1 c5+

 これで2ポーン得になる。そして白の懸命の抵抗にもかかわらず黒の勝ちが決まった。

57.Ke4 Rxg2 58.axb4 Rg4+ 59.Kd3 Rxb4

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 白はもう少し指して投了した。

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2009年09月21日 15:35に投稿されたエントリーのページです。

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