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チェス世界選手権争奪史(37)

第2章 ビルヘルム・シュタイニッツ(続き)

 ミハイル・イワノビッチ・チゴーリンはがっしりしたロシア人で、濃く黒いあごひげをたくわえていた。当時38歳でその時まで国際的な舞台ではほとんど目立った実績がなかった。ただ、「旧派」の選手としての評価は得ていた。彼の棋風は次のようなものだった。

 『・・・敵キングに対する攻撃にかけてはめざましいものがある。恐らく美しいという簡明な言葉によって描写するのが最善だろう。彼はたぶんキング翼攻撃の最高のマスターであり、面白くないチェスを指すことはめったにない。彼の主要なエネルギーは序盤でなく中盤戦に注ぎ込まれる。序盤は時々むとんじゃくに指すことがある。』

 この記述は1895年ヘースティングズ大会の記録誌から引用したが、その本の編集長はチゴーリンの同時代の者の間でよくささやかれていた意見を表している。実際はチゴーリンは優れた万能選手で序盤も労を惜しまず研究していた。今日でもよく指される多くの序盤戦法は彼の努力によるところが大きい。しかし彼はギャンビット、それも多くのギャンビットの戦型から生じるキング翼攻撃が極度に好きだった。そして引き分けが嫌いで、少なくとも棋歴の後半ではほとんど病的なまでに嫌っていた。シュタイニッツが対戦相手にチゴーリンを選んだのは恐らく彼のギャンビット好きのためだった。それはチゴーリンの一番好きなギャンビットであるエバンズギャンビットに対してひねくれた挑発的な防御を試すことができるからだった。

(この章続く)

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2009年09月22日 08:36に投稿されたエントリーのページです。

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